13 / 45
2章 え…交流会?初耳なんだが…って、なんか変じゃね?
5話 解決
しおりを挟む
表彰式では俺が一番高い位置に立った。それでも俺はまだ勝った気になれなかった。終わってから、アダムとハルが駆け寄ってきた。
「すごいよリック君!初出場で優勝しちゃうなんて」
「異例中の異例だぞ!君の友達であることを誇りに思うぞ」
そういうアダムの手にはしっかり優勝杯が握られていた。
「お前にだけは言われたくねえ!」
「さ、みんな待っているぞ。行こうじゃないか」
「先に行っててくれ。まだ用事がある」
「?そうか。待っているからな」
「さ、お話を聞きましょうか黒幕さん」
クリス先輩のほうを向くと、まだ険しい表情のままのクリス先輩がそこにいた。
「汚いことで勝とうなんてプライドないのかアンタ」
俺はクリス先輩にわざと強めに言う。
「何のことだ」
「とぼけんな。変な刺客差し向けて不戦勝狙ったのはアンタだろ。間に合っても体力切れでアド取ろうって魂胆だったんだろ」
「本当に知らない。そっちこそ僕が用意していた粘着型空気圧縮爆弾を盗んで...」
「ん?今なんて?」
「本日の主役さんたち、喧嘩はそこまでだよ」
突如として女の声がした。見ると、魔法陣が空中に浮いている。
「よいしょっと...」
「うんしょ...わあ!」
魔法陣から二人が出てきた。(ラニがこけたのは黙っておこう)
「その争い、このおねーさんが全部解決して見せよう!」
「部外者は引っ込んでろ。今僕がこいつに...」
クリス先輩が頭に血管浮かべながら怒鳴る。
「どうどう。二人とも、何で怒っているのかは把握済みだよ。二人とも違ってるけどね」
「どういうことすか、シャル先輩」
「後輩君は素直でいい子だねえ。じゃあ、あの爆弾魔のことなんだけど」
「ああ、あれって俺が会場にたどり着かないように妨害で...」
「4分の1くらいはあってる。でもリック君が会場に行くのを邪魔してクリスを勝たせようとしていたのは確かね」
「勝たせる...?」
「じゃあ僕の爆弾は...」
「俺に投げてきた輩がいたんです。あれは何なんですか」
「それはあの爆弾魔たちが持ち出したの。これまたクリスを勝たせるために」
「さっきからクリス先輩を勝たせるって...いったい誰が?」
「クリスはもう気づいてるんじゃない?」
「...」
「私が言ったほうがいいかしら?」
「信じたくないが...」
「クリスの思ってる通り、あんたの爺やよ」
「やはり...そうか」
「ちなみに」
ラニ、とシャル先輩が声をかけると、ラニが出した魔法陣から拘束されたご老人が出てきた。
「爺や!」
「ラニに捕まえてもらったわ。そいつが黒幕よ」
「なるほど...そういうことか」
全てが腑に落ちた。
恐らくこの爺さんは、俺に負けた話をきいて主人の助けになればと思ってわざわざ人を雇ってまで俺に資格を差し向けた。広い敷地の中で比較的会場から近場だったのは勝手に疲れてやってきた俺を公衆の面前で主人に討たせるため。
「爺や」
「はいっ」
爺さんがびくびくしながら返事をする。
「僕は怒っている」
「これはとんだ失態を...」
「そうじゃない。僕には貴族に生まれたプライドがある。いついかなる時も絶対的頂点として君臨し、いざというときにみなの支えとなる王としての使命のことだ」
「承知しております」
「お前はこんな些末な作戦をたて、僕の地位を汚したのだ。わかっているのか」
「申し訳ありません」
「挙句何だ。見つかってわが一族に泥を塗って」
「わたくしの力不足のせいでございます」
「そうじゃない」
クリス先輩は爺やの胸倉をつかんで持ち上げた。
「不正なんかで勝ってこの僕が喜ぶと思うのか。そんな勝利で今までクレバーを引き継いできた先人に顔向けできるのかと聞いているんだ」
「...」
「僕の敗北も僕の醜態も僕の血肉だ。これからの僕の血肉を見届ける勇気がないならお前とは今日限りだ」
「そこまで言わなくても...」
シャル先輩がなだめに入ったが、クリス先輩は聞かない。
「僕は怒っている」
「はい」
「お前はこれからもまだうちにいられるか」
「...短い老い先、ささげる覚悟であります」
「そうか。安心したぞ」
この一組の主従関係に、今までより太い糸ができたように見えた。
ところで...
「あの...いいですか?」
ラニが申し訳なさそうに話に入ってきた。
「2-Aの打ち上げが...めっちゃ盛り下がってるんですけど...」
「まじか...」
「いくといいリック君。友達は大切にしな」
「せっかくなんで、4人も一緒に...」
「おっ、いいのかい?おねーさんうれしいな~」
「私が行っていいんでしょうか...」
「いくぞ爺や」
「かしこまりました」
今日は賑やかなパーティーになりそうだ。
「すごいよリック君!初出場で優勝しちゃうなんて」
「異例中の異例だぞ!君の友達であることを誇りに思うぞ」
そういうアダムの手にはしっかり優勝杯が握られていた。
「お前にだけは言われたくねえ!」
「さ、みんな待っているぞ。行こうじゃないか」
「先に行っててくれ。まだ用事がある」
「?そうか。待っているからな」
「さ、お話を聞きましょうか黒幕さん」
クリス先輩のほうを向くと、まだ険しい表情のままのクリス先輩がそこにいた。
「汚いことで勝とうなんてプライドないのかアンタ」
俺はクリス先輩にわざと強めに言う。
「何のことだ」
「とぼけんな。変な刺客差し向けて不戦勝狙ったのはアンタだろ。間に合っても体力切れでアド取ろうって魂胆だったんだろ」
「本当に知らない。そっちこそ僕が用意していた粘着型空気圧縮爆弾を盗んで...」
「ん?今なんて?」
「本日の主役さんたち、喧嘩はそこまでだよ」
突如として女の声がした。見ると、魔法陣が空中に浮いている。
「よいしょっと...」
「うんしょ...わあ!」
魔法陣から二人が出てきた。(ラニがこけたのは黙っておこう)
「その争い、このおねーさんが全部解決して見せよう!」
「部外者は引っ込んでろ。今僕がこいつに...」
クリス先輩が頭に血管浮かべながら怒鳴る。
「どうどう。二人とも、何で怒っているのかは把握済みだよ。二人とも違ってるけどね」
「どういうことすか、シャル先輩」
「後輩君は素直でいい子だねえ。じゃあ、あの爆弾魔のことなんだけど」
「ああ、あれって俺が会場にたどり着かないように妨害で...」
「4分の1くらいはあってる。でもリック君が会場に行くのを邪魔してクリスを勝たせようとしていたのは確かね」
「勝たせる...?」
「じゃあ僕の爆弾は...」
「俺に投げてきた輩がいたんです。あれは何なんですか」
「それはあの爆弾魔たちが持ち出したの。これまたクリスを勝たせるために」
「さっきからクリス先輩を勝たせるって...いったい誰が?」
「クリスはもう気づいてるんじゃない?」
「...」
「私が言ったほうがいいかしら?」
「信じたくないが...」
「クリスの思ってる通り、あんたの爺やよ」
「やはり...そうか」
「ちなみに」
ラニ、とシャル先輩が声をかけると、ラニが出した魔法陣から拘束されたご老人が出てきた。
「爺や!」
「ラニに捕まえてもらったわ。そいつが黒幕よ」
「なるほど...そういうことか」
全てが腑に落ちた。
恐らくこの爺さんは、俺に負けた話をきいて主人の助けになればと思ってわざわざ人を雇ってまで俺に資格を差し向けた。広い敷地の中で比較的会場から近場だったのは勝手に疲れてやってきた俺を公衆の面前で主人に討たせるため。
「爺や」
「はいっ」
爺さんがびくびくしながら返事をする。
「僕は怒っている」
「これはとんだ失態を...」
「そうじゃない。僕には貴族に生まれたプライドがある。いついかなる時も絶対的頂点として君臨し、いざというときにみなの支えとなる王としての使命のことだ」
「承知しております」
「お前はこんな些末な作戦をたて、僕の地位を汚したのだ。わかっているのか」
「申し訳ありません」
「挙句何だ。見つかってわが一族に泥を塗って」
「わたくしの力不足のせいでございます」
「そうじゃない」
クリス先輩は爺やの胸倉をつかんで持ち上げた。
「不正なんかで勝ってこの僕が喜ぶと思うのか。そんな勝利で今までクレバーを引き継いできた先人に顔向けできるのかと聞いているんだ」
「...」
「僕の敗北も僕の醜態も僕の血肉だ。これからの僕の血肉を見届ける勇気がないならお前とは今日限りだ」
「そこまで言わなくても...」
シャル先輩がなだめに入ったが、クリス先輩は聞かない。
「僕は怒っている」
「はい」
「お前はこれからもまだうちにいられるか」
「...短い老い先、ささげる覚悟であります」
「そうか。安心したぞ」
この一組の主従関係に、今までより太い糸ができたように見えた。
ところで...
「あの...いいですか?」
ラニが申し訳なさそうに話に入ってきた。
「2-Aの打ち上げが...めっちゃ盛り下がってるんですけど...」
「まじか...」
「いくといいリック君。友達は大切にしな」
「せっかくなんで、4人も一緒に...」
「おっ、いいのかい?おねーさんうれしいな~」
「私が行っていいんでしょうか...」
「いくぞ爺や」
「かしこまりました」
今日は賑やかなパーティーになりそうだ。
0
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした
高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!?
これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。
日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる