異世界転生したので俺TUEEEを期待してたら戦闘向きの能力じゃなかったので頭を捻ろうと思います。

滝永ひろ

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3章 職業体験…おお、学校っぽい! でも俺が行く職場って…

3話 職業体験 その2

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ドンドンドン

早朝、教会のドアをたたく音がする。

「はーい」

ミリアさんが出る。俺はオフトゥンの魔力と戦っている。うーん強敵。

「えーと、どちら様でしょうか」

「ルーク・U・マーロウ、この町で探偵をやってるものです。リック君を迎えに来ました」

男の声がした。

「リック君が何かやってしまいましたか!?」

「いや、職場体験で」

そうかあ、起きないとなあ。でも

「なんだ、びっくりしました。今起こしてきますね」

オフトゥンとの戦いに光明が見えた。

「リックくーん、お迎えがいらしてますよー」

ミリアさんの呼ぶ声がした。

「おはようございます...」

寝巻のままだが、一応出ていく。

「リック君、時間には起きないとだめですよ。言ってくれれば起こしましたのに」

「いいんですよ。私が規定より早く来ただけですので」

「あらそうでしたか。ではリック君、急いで支度して」

「へいへい」

40秒で支度した。

支度が済んで玄関から出ると、手帳を眺めている がいた。

「お待たせしました。さ、行きましょう」

「2-Aのリック君だね。僕、こないだの大会見てたんだけど、君の能力って『自分の体を透過させる』能力なんだよね」

「はい」

「話は聞いてるよ。異国から来たんだって?」

「ええ。困っちゃいますよね」

「ほんとは違うんじゃない?」

「え?」

初対面で失礼な人ではあるが、図星なだけにうまく返せていないのが自分でもわかった。

「なんでまたそんなことを?」

「ふーん。いや探偵は疑うのが仕事だから適当にカマかけただけなんだけど」

「いきなりなんですか...」

「質問に質問で返すときは図星の時らしいけど、ホントかなあ」

「知りませんよ。仕事いかなくていいんですか?」

「話を早く終わらせたがるんだね。何か都合の悪いことでも?」

「...」

「ふふっ。沈黙は金ってね」

「いきましょう。仕事なんですよね?」

「いや、違うよ」

「え?じゃあなんだってこんな時間に」

「違うと思うんだよね」

「なんですか、さっきから」

「いやあ、僕、他人のうそを見抜けるんだよね。なんか嘘いわれるとモヤっとするっていうか」

「はあ...」

「で、確認するごとにモヤっとしたからさあ。ほんとは異国から来て記憶がないって嘘なんでしょ?」

「...」

「生まれはこの国?」

「違います」

「今のは嘘じゃないんだ」

なんか、怖い。

「この国で生まれてないのに異国の生まれじゃない、僕は君にすごく興味がわいたよ」

獲物を狩る肉食獣の目をしている。数秒間、緊張が走る中沈黙が流れた。

「あら二人とも、まだ行かないんですか?」

沈黙を解いたのは窓から俺たちを見つけたミリアさんだった。とっくに出発したと思っていたようだ。

「ああ、すぐ行きます。まだ事業開始時間には余裕があるんで、立ち話をね」

「そうですか。遅刻がないよう気を付けてくださいね」

「は~い」

ルークはさっきまでとは打って変わって、少しふざけた雰囲気に戻った。

「ごめんね。興味を惹かれると我を忘れて突き詰めたくなっちゃうんだ」

「...探偵向きなんじゃないですか」

「いこうか」

俺たちはいつも学校に行くのとは逆向きに歩き出した。

「きもいならきもいって言っていいんだよ」

「いや、興味を突き詰められるのはいいことなんじゃないですか」

「お世辞はわかるんだからやめなよ」

「面倒です」

「正直でいいじゃないか」

...やりずれっ。

「ここを右に曲がると事務所だよ。まっすぐ行こうか」

「え?事務所いかなくていいんですか」

「うん。奥さんから浮気調査の依頼入ってて」

「それでこの先に何が?」

「うん?さっき調査対象が女と歩いてたから」

「よく見てますね」

「そんなあ。君も昨日指名手配犯見つけたって聞いたよ」

「そうですね」

変な共通点を...

「いたいた。宿入ってった。黒だね」

「証拠抑えなくていいんですか」

「...どうやって抑えるのさ」

「え?じゃあどうやって浮気のこと伝えるんですか?」

「ふつーに言うだけだよ。旦那さん浮気してましたって」

「それでいいんですか?」

「いいのさ。来る人も可能性だけ求めてるのさ」

そういうもんか。

「さ、現場も見たし事務所行こうか」
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