異世界転生したので俺TUEEEを期待してたら戦闘向きの能力じゃなかったので頭を捻ろうと思います。

滝永ひろ

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6章 バレンタインだー!!ソワソワ アダム…ご愁傷さま。

1話 バレンタインデー

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「ストーカー?」

2月13日放課後、一緒に帰るハルから相談をされた。

「うん...最近一人で帰るときとか、なんか視線を感じるっていうか...」

「視線かあ...大会でも目立ったし、何かあるのかもなあ」

「他人事みたいに言わないでよ。困ってるんだから」

「悪い悪い。でもハルだし、動物の視線だったりすんじゃね?」

「人間と動物の違いくらい分かるよ!」

「そっかそっか。ごめんて」

話を聞くと、どうやら大会に出た直後あたりかららしい。

「それならまあ、ひとめぼれのキチガイとかだろ」

「めっちゃいうじゃん」

「ストーカーなんて、国によっちゃ犯罪だからな」

「そうなの?」

「ああ。俺のいた国では犯罪...」

「また思い出してきてるんだね」

しまった。

「ああ。細かいこと少しずつ思い出してるかも」

「そっか...」

そうか。あの時の宿で聞いちゃったんだよな。あまり思い出したような話はしないようにしてたんだが、うっかりしていた。

「ねえ、毎日一緒に帰ってもらっていい?」

「ああ。もちろんだとも」

「ほんと?ありがと!」

この時はまだ、ことを深刻にとらえていなかった。



冬が来た。

早いもので、年も越して今日は2月14日だ。

そう。今日は世界中の男子がそわそわしだすバレンタインデー。

そして、それはこのリック・ニュートンも例外ではなかった!!

「お、おうリック君、おはよう」

早朝校門にて、アダムがそわそわしながら挨拶してくる。

「お、おはよう」

俺もそわそわしながら答える。

「...とりあえず教室に向かおう。何を期待しているわけではないがな」

「おっ、そうだな」

「ないな」

アダムが靴箱を確認して落胆した。

「...」

「どうだった?リック」

「あった」

「...は?なぜだリック!俺は去年からこの学校にいるというのに!」

「2個...」

「なぜだああ!俺のほうが大会での優勝回数も多いのに!」

「今朝ミリアさんからももらった」

「ぐはあっ」

俺の3連撃でアダムは崩れ去った。ちなみに3撃目は嘘だ。まだもらってない。「まだ」もらってない。というかアダムの本音ゲスすぎだろ。ギャグだろうけど。そういうノリがいいとこ好きだぞ。俺が女でもチョコはやらんけど。

「このチョコ、ラニとシャル先輩からだ」

「俺も知り合いなんだが!義理でくれてもいいんではないのか!」

「そういうこと言ってからもらえないんだよ」

てか、なんで靴箱に入れるんだろうな。ポストじゃねえよ。

「教室行くか。さすがに女子からなんかもらえんだろ」

これぞTHE適当。

「おはよー」

「みんな、おはよう」

俺たちが教室に入ると、途端に女子がざわつき始めた。

「ほらアダム、チョコもらえんじゃない?」

「そうだな!やはり大会優勝者なんかになるとそうなるよな!」

「チョコもらってくださ~い!」

何人かの女子が駆け寄ってきた。

「リック君♥」

俺に。

「すまんなアダム。お前に希望なんてないらしい」

「...俺帰る」

「わー!誰か彼にチョコを!この中にチョコが余っている人はいませんか!彼にチョコを!」

誰も来なかった。

そっとしとこ。

とにかく。

「チョコはもらっとくよ。ありがとう。お返しできっかな~」

結果5人ほどからチョコをもらった。どれもなかなかに手が込んでいる。
手作りか?

女子たちが教室の隅に散っていったあと、ポツンと机に置かれたチョコが見えた。それが妙に気になった。なぜなら、それはハルの席だったからだ。もちろん友チョコなんかがあるだろうし、本命だとしてもマイノリティーは認められるべきだから、おかしいとは言わないんだが。
すると、急に後ろから肩をたたかれた。

「リック君」

後ろを振り向くと、ハルだった。

「おう。どうした?」

「僕、なんかチョコもらっちゃって」
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