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ⅩⅦ ドッキリ
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「あの赤城さん、エンの検査結果ってもう出ましたか?」
仮面の男捕縛から翌日、出勤するなり赤城に詰め寄る。
「ああ、あいつか。手続きは済ませたんだけどな...警視総監からNG出たかな?...いやまさか...」
「出たんですか?出てないんですか?」
「やあシュウ。久しぶりだね」
後ろから声がした。シュウが振り向くと、そこにいたのは黒スーツの向こうにモヤのかかった尾を生やす、まごうことなきエンの姿だった。
「エン!」
「やあ、久しぶり。赤城さんの計らいでここで働かせてもらうことになったんだ。赤城さん、ありがとうございます」
「人手は多くて困ることはねーよ」
「はい。ありがとうございます」
「いらっしゃいエン。エンの机はえーと...」
「そこだそこ。その安眠グッズ散らかってるとこ」
「え?でも明らかに別の人の机...」
「いいからいいから。座っとけって」
「はあ...」
エンは言われたとおりにした。
「ちわーす...」
寝ぼけたアクトが出勤した。
「アレ...俺の机...てか誰?」
エンが座っていたのは、もちろんアクトの席だ。
「誰?」
「エンです」
「いや誰?」
「仮面の男です」
「仮面付けてないやん」
「昨日の...」
「ああ、赤城さんに引き抜かれたのか。いらっしゃい」
「僕の時と違いすぎ...アクト君ひどい...」
「はは。アクトも来たな。あとはレイラか...じゃあそこの机座っといて。いや、そこは本当にお前の席」
エンはまた席に着いた。
「おはよーございまーす」
レイラ出勤。
「おはよ」
「おはいざっす」
「おはようございます。レイラさん」
「おはようございます」
「うん。おはよ...って、なんか挨拶が一人分多い気が...」
赤城は気に介さない。
「レイラ、この作業今日中にやっといてくれ」
「はい」
「お前らは俺と一緒にパトロールだ。見回りだけだとは思うが、3人とも戦闘の準備はしておけよ」
「「はい」」
「へーい」
「いってらっしゃーい」
レイラはそういうと、まだ釈然としない顔をしている。
「誰ですかこの子!」
レイラが急に声を荒げた。
「初めまして。エンです」
「誰ですか!」
「仮面の男です」
「ますますわかりませんよ」
「シュウの親友です」
「ああ、いらっしゃい。で...どちらさん?」
「俺から詳しく説明しよう。シュウと同じファームの出身だ。検体番号フタマル-に。リツがもう問題ないっていってたから、じゃあ人手になってもらおうって感じだな」
「人手って...最近はうまく回ってるじゃないですか」
「今まではな。しかし最近フィフスも増加傾向にある。いつ同時に何体出るかわからないからこそウチはいつも人手不足なんだよ」
「そうですか。なんにせよ私はいつだって新人は歓迎しますよ。私の仕事も減るかもですしね!」
「仕事の総量が増えるだけだぞ」
「そんな!」
レイラは机に突っ伏した。
「じゃ、パトロールだ。行くぞ」
赤城は3人を引き連れて部屋を出た。
「赤城さん、急にパトロールなんてどうしたんすか?いつもそんな真面目な人じゃないじゃないすか」
アクトが歩きながら赤城に話しかける。
「行けばわかるさ」
「行くって...今こそパトロールしてると思うんですけど...」
「行けばわかる。な」
「ふーん」
赤城がパトロールをしに来ていないのは明白だった。
「赤城さん、そういうとこありますよね。放せないことくらいあると思いますけど」
「あれ見ろ」
赤城は、話を切って急に前方を指さす。
「あそこに書いてあんだろ。『人鳥不動産』だ。かわいい名前してるが、なめられないようにな」
「かわいいって、どこがすか」
横からエンが口をはさむ。
「ペンギンは中国語で人鳥って書くんですよ」
「ほー。物知りだな」
「エンはファームにいるときから勉強が得意だったよね。なんでも知ってた」
「ほー、俺は訓練しかやってねえからな。勉強はさっぱりだ。せいぜい大学の博士課程までか...」
「待って、アクト君18っていってたよね」
「おう。アメリカには飛び級があんだろーが」
「アクト君アメリカにいたの!?」
「ああ、別にそんな驚くことでもねーだろ」
「そうだよ。シュウはアメリカ行ったことないの?」
「えっ、エンはあるの?」
「僕はファームから出た後アメリカに...」
「エン」
赤城が止めた。
「あ、そうだった。いっけね」
「ここだな。人鳥不動産。ここの中はお前らの常識は通じないからな」
「だから不動産屋がなんなんすか...って、まさかそういうこと?」
「お察しのとおりだ」
赤城はそれ以上何も言わなかった。
自動ドアが開く。
「いらっしゃい。物件の相談なら受付でお聞きしますよ」
そういって案内してくれたのは、言葉の丁寧さとは裏腹に、ごつい強面で明らかにヤクザのおっさんだった。
仮面の男捕縛から翌日、出勤するなり赤城に詰め寄る。
「ああ、あいつか。手続きは済ませたんだけどな...警視総監からNG出たかな?...いやまさか...」
「出たんですか?出てないんですか?」
「やあシュウ。久しぶりだね」
後ろから声がした。シュウが振り向くと、そこにいたのは黒スーツの向こうにモヤのかかった尾を生やす、まごうことなきエンの姿だった。
「エン!」
「やあ、久しぶり。赤城さんの計らいでここで働かせてもらうことになったんだ。赤城さん、ありがとうございます」
「人手は多くて困ることはねーよ」
「はい。ありがとうございます」
「いらっしゃいエン。エンの机はえーと...」
「そこだそこ。その安眠グッズ散らかってるとこ」
「え?でも明らかに別の人の机...」
「いいからいいから。座っとけって」
「はあ...」
エンは言われたとおりにした。
「ちわーす...」
寝ぼけたアクトが出勤した。
「アレ...俺の机...てか誰?」
エンが座っていたのは、もちろんアクトの席だ。
「誰?」
「エンです」
「いや誰?」
「仮面の男です」
「仮面付けてないやん」
「昨日の...」
「ああ、赤城さんに引き抜かれたのか。いらっしゃい」
「僕の時と違いすぎ...アクト君ひどい...」
「はは。アクトも来たな。あとはレイラか...じゃあそこの机座っといて。いや、そこは本当にお前の席」
エンはまた席に着いた。
「おはよーございまーす」
レイラ出勤。
「おはよ」
「おはいざっす」
「おはようございます。レイラさん」
「おはようございます」
「うん。おはよ...って、なんか挨拶が一人分多い気が...」
赤城は気に介さない。
「レイラ、この作業今日中にやっといてくれ」
「はい」
「お前らは俺と一緒にパトロールだ。見回りだけだとは思うが、3人とも戦闘の準備はしておけよ」
「「はい」」
「へーい」
「いってらっしゃーい」
レイラはそういうと、まだ釈然としない顔をしている。
「誰ですかこの子!」
レイラが急に声を荒げた。
「初めまして。エンです」
「誰ですか!」
「仮面の男です」
「ますますわかりませんよ」
「シュウの親友です」
「ああ、いらっしゃい。で...どちらさん?」
「俺から詳しく説明しよう。シュウと同じファームの出身だ。検体番号フタマル-に。リツがもう問題ないっていってたから、じゃあ人手になってもらおうって感じだな」
「人手って...最近はうまく回ってるじゃないですか」
「今まではな。しかし最近フィフスも増加傾向にある。いつ同時に何体出るかわからないからこそウチはいつも人手不足なんだよ」
「そうですか。なんにせよ私はいつだって新人は歓迎しますよ。私の仕事も減るかもですしね!」
「仕事の総量が増えるだけだぞ」
「そんな!」
レイラは机に突っ伏した。
「じゃ、パトロールだ。行くぞ」
赤城は3人を引き連れて部屋を出た。
「赤城さん、急にパトロールなんてどうしたんすか?いつもそんな真面目な人じゃないじゃないすか」
アクトが歩きながら赤城に話しかける。
「行けばわかるさ」
「行くって...今こそパトロールしてると思うんですけど...」
「行けばわかる。な」
「ふーん」
赤城がパトロールをしに来ていないのは明白だった。
「赤城さん、そういうとこありますよね。放せないことくらいあると思いますけど」
「あれ見ろ」
赤城は、話を切って急に前方を指さす。
「あそこに書いてあんだろ。『人鳥不動産』だ。かわいい名前してるが、なめられないようにな」
「かわいいって、どこがすか」
横からエンが口をはさむ。
「ペンギンは中国語で人鳥って書くんですよ」
「ほー。物知りだな」
「エンはファームにいるときから勉強が得意だったよね。なんでも知ってた」
「ほー、俺は訓練しかやってねえからな。勉強はさっぱりだ。せいぜい大学の博士課程までか...」
「待って、アクト君18っていってたよね」
「おう。アメリカには飛び級があんだろーが」
「アクト君アメリカにいたの!?」
「ああ、別にそんな驚くことでもねーだろ」
「そうだよ。シュウはアメリカ行ったことないの?」
「えっ、エンはあるの?」
「僕はファームから出た後アメリカに...」
「エン」
赤城が止めた。
「あ、そうだった。いっけね」
「ここだな。人鳥不動産。ここの中はお前らの常識は通じないからな」
「だから不動産屋がなんなんすか...って、まさかそういうこと?」
「お察しのとおりだ」
赤城はそれ以上何も言わなかった。
自動ドアが開く。
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