TAIL BERSERKER

滝永ひろ

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ⅩⅧ 旧友

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「おう。悪いが物件の相談じゃねーんだ。ペンギンはいるか?」
「ああ?アンタ何もんだ?」
おっさんは赤城の言葉を聞くと豹変して声を荒げた。
すると、奥から男が出てくる。身長がとても高く、通常の扉を高さすれすれで通っているがよく見ると背中を丸めている。筋肉質、顔は非常に男前である。
「あー、やめとけやめとけ。殺されんぞ」
男はそういって赤城の前までくる。赤城も決して小さいわけではないのだが、並ぶと赤城が中学生くらいに見える。
「久しぶりじゃねーか。横野はなんだ、新人か?いいなあ」
「やらねえよ。やっと来た使える新人なんだ」
「で?新人の挨拶か?」
「いや?もっと話すべきことがあんだろ。とりあえず話ができる場所まで案内してくれや」
「おう。おい高木、茶用意しろ」
「はっ」
さっきのおっさんが頭を下げると、給湯室へいく。
「奥に部屋がある。とりあえず全員こい」
振り向いて歩き出した男の腰からはオオカミのような尾が生えていた。

「お前が何のことで来たかは察してるぜ」
男はソファに座って足を組むなりそういった。
「俺以外は初めましてだ。自己紹介くらいしな」
赤城が促す。
「おうそうだな。俺の名前は...なんだっけかな。ペンギンでいーや」
「本名は烏丸一人。職業は」
「ギャングのボスでーす」
「年齢住所電話番号!」
「んな個人情報言うかあ!」
「こちとら警察やぞ」
「お前ら全員正式な警察資格持ってねーだろ」
「警察手帳なら持ってるわ。言えよ」
「職権乱用だろ」
「民事不介入だから大丈夫だろ」
「それはちげえ!」
赤城とペンギンのやり取りは旧友のようだった。
「えっと...赤城さんと同じファームの出身とかですか?」
仲が長そうだったので、シュウは聞いてみる。
「いや、ちげえよ。俺はファーム出てねえし」
「え?でも尾が...」
「人工尾ですか」
アクトが反応する。
「ちげえ。俺は唯一ファーム出身じゃない尾もちだ。最も古い尾でもある。敬ってくれていいんだぜ」
「年齢言ってやれ」
「ん?126歳3か月だ」
「赤ん坊か」
「ははっ。まあそれはいいや。お前らの紹介は...もいいか。来た目的はなんだ?一応聞いといてやるよ」
「ああ。人工尾所持者の話だ。確認できたうちの全員がお前んとこの組員だってのはわかってんだよ」
「...そうだな」
ペンギンはポケットから煙草を出した。
「ん、吸っていいよな?」
「ああ。かまわない」
赤城が返事する。
「この組が人工尾に関与しているのはわかってるんだ。取り締まらせてもらう」
「そうだな。俺もそうしたいのはやまやまだが...」
ペンギンは煙草の灰を灰皿に落とした。
「どこから流れてきてんのかは知ってんだろ」
「...そうだな」
赤城はその答えをするのを渋っているようだった。
「末端組織が勝手にやってんだ。俺はあんな半端なブツ断じて認めねえ」
「口では何とでも言えるだろ」
「俺の代からお天道さんに顔向けられねえシノギからは足洗ったんだ。疑うってんならそれ相応の対応があるぜ」
「警官に脅したあいい度胸じゃねえか」
「今やって結果がどうなるか、おめえはわかんだろ?」
「事務所壊滅だな」
「やるか?」
二人は一触即発といった感じだった。新人3人は隅で萎縮しているしかなかった。その時、部屋のドアが開いた。
「お茶が入りました。失礼します」
ちょうどドアの前にいたエンに直撃した。
「いたっ!」
「すいません。まさかドアの前にいるとは...」
「高木~、客人だぞ」
「すいません組長」
「謝るのは俺にじゃねえだろ」
「はっ。吸いません客人さん」
「あ、大丈夫ですよ」
「では自分はこれで失礼します」
高木はそれで出て行った。
「まあ落ち着こうか。人工尾は俺らも知らない。聞くところによると植えた瞬間に死ぬんだろ?組員が減ってしょうがねえ」
「お前は何も知らないんだな」
「ああ。天上人に誓ってやるよ」
「...そうか」
赤城はその発言に苦い顔をした。
「せっかく来たんだし、赤城もなんか物件見てくか?女とはうまく言ってんだろ」
「ああ、最近はな」
「アレ?別れたんじゃねえのか?」
「より戻したんだよ」
「それはご苦労なこって」
ほら帰った帰った、とペンギンは赤城らを帰した。
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