WHO?

8話 明日

またあの世界。

今度は、死にに来た。

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛...」

「田崎さん、最初で最後の感謝をするよ」

僕は田崎さんの形のバケモノに近寄る。

田崎さんの姿が目と鼻の先まで来ていた。

「ねえ、僕を殺さないの？」

「ア゛ア゛...ア゛ア゛ア゛...」

「そっか。君を怖がってないから。そっか。田崎さん、結局君に感謝することはないみたいだね」

僕は腕をつかんだ。

「結局君に感謝することはないみたいだ」

コントローラーしか握ってこなかった僕の手がその腕を締め付けていく。

風船をつかんでいるみたいだ。

ぐにゅ、と手が食い込んでいく。

パンッ！と腕から破裂した。

「ごめんね...モモさん」

「いやあ～、すごいな～」

「！？」

声がしたほうを見ると、そこにいたのはモモさんだった。

「さっき...」

「ここは君のおころの中って言ったよね。だから君さえ死ななければ君がここに戻ってくるたびに再生できる。安心して」

「よかった...よかった...」

「あはは、君は泣き虫だなあ」

「泣いて...ない...」

目をこする。

「あはは、泣いてるって」

「...うっ...えぐっ」

「はいはい。泣いてない、泣いてないね」

モモさんが僕を抱きしめて慰めてくれた。

「よしよし...」

「...ぐずっ」

「かわいいなあ、まったく」

今日はここから出なくていい。

そう思った。