魔術師終始武術中！ ～魔術師になってワクワクしてたら肉弾戦でした～

1話

1-1 プロローグ

目を開くと、青い空だった。背中に柔らかい芝を感じる。

「ん...ここ...」

あたりを見回すと、そこは芝生が青々と茂る広原だった。

「なんもなっ...てかどこだよここ！」

どうしてこうなったんだっけ...？

俺は九州の片田舎に住むただの高校生だったはずだ。いたって平和に、いたって普通に生活していた。

そのはずだが。

長い回想に入ってもしょうがないので、思い出せるだけ早く説明すると、

①俺は高校生の新田成人あらたなりひと！
②俺はバスに子猫がひかれそうになっている場面を目撃する。
③子猫を助けようと必死になっていた俺は、すぐそこまで来ていたバスに気が付かなかった！
④気づくと、俺は異世界転生してしまっていた！

というわけだ。

どういうわけだ？

えーと、とりあえず。

「ここ...どこ？」

360度見回してみる。

「なんもねえ...」

助けを呼んでみる。

「だれかー！」

誰も来ない。そりゃそうか。

適当に走ってみる。

「うおrrrrりゃあああああ」

すると、塀に門が見えてきた。町があるようだ。

「お？あれ、行けんじゃねえか？」

その町へ歩いて行ってみる。

スタスタスタ...

「とまれ！貴様何者だ！」

門の前にいた守衛が俺を引き留める。武器などは持っていない。甲冑などを着ているわけでもなく、筋肉質な体があらわになっている。防御力より動きやすさを重視しているような印象だ。

「ああ、すいません。入国の条件なんかは知らないもんで」

「うん？お前、よく見たら魔術使いじゃねえか。マナが流れてる。変な格好してるが、シルヴァの人間か。入りな。おかえり」

守衛はにこやかに俺を通した。変な格好というのはおそらく制服のことだろう。そのままなの忘れてた。てかこの国シルヴァっていうのか。

「...ちょろっ」