2 / 13
1話
1-2
しおりを挟む
ただ、これでよかったのかはわからないが、どうやらこの国にしかない要素を持っていたみたいだ。
「マナ...魔法とか使えんのかな?」
「やー、そこ変な格好の人~、寄ってかないかい?美味いもんそろってるよ!」
バルの客引きに呼び止められる。
「あ、すいません、俺今金持ってないので...」
「そっか。残念だけど金が入ったら来てくれな!」
客引きはそういうと去っていき、別の通行人に声をかける。
「ずいぶん活気ある国なんだな。ってか入ったはいいものの、物乞いするのもな...」
その時、後ろから声をかけられる。若い男の声だ。
「ねえそこの変な格好の君、うちのチームに所属してくんない?」
背丈が俺より一回り大きいくらい、金髪マッシュのイケメンだ。
「チーム...って何のことですか?」
「えっと...君、クランは?」
「クランって何ですか?」
「え...本気で言ってる?」
男がわかりやすく困惑する。
「君、ホントに何もわかんないの?」
「はい。さっき気づいたらここにいて」
「へー...でも、君、おかしいよ」
「おかしい?」
「君の体は継続的にマナが流れている。それは身体強化や魔術の発動がスムーズになったり...少なくともトップクラスの人間にしかできないんだ。それをどうして君が...」
「よくわかりませんけど、今宿も仕事もないんです。そのチーム(?)に入れば生活できますかね...」
「ああもちろん」
「行きます!」
「...ありがとう。ちょうど一人足りなかったんだ。ついてきて」
俺はこれが異世界転生かと、うまくいっていることに説明をつけながらついて行った。
「みんな~、あと一人連れてきたよ。めっちゃ無知だったけどいいよね」
つれてこられたのはさっきのバルだった。男に席まで案内される。
そこには、ほかのメンバーが3人いた。一人は背が低いながら身長ほど長い大太刀を背中にさす少年、空中に寝転がって本を読む少女(ぱっと見JK?)、前髪ぱっつんで姿勢よく座る、黒髪ロングの女性。
「あの、初めまして」
「ほら、名前も」
さっきの男が促す。
えっと、新田成人だから、なりひとなりひと...
「名前はリヒトです。よろしくお願いします」
すると、前髪ぱっつんの人が反応する。
「私はアンナ・リービッヒ。こちらこそよろしくお願いしますね」
好意的で好印象だ。真面目な人に見え、好印象だ。屈託のない笑顔、好印象だ。
「ファーブさんはもう挨拶したんですか?」
アンナさんが、俺を連れてきた男に促す。
「ファーブ・ハーバーだ。シルヴァで3番目くらいに強いんだけど...知ってる?」
「すいませんちょっと知らないです」
「あ、そう...」
ファーブさんは不安そうな顔になった。アンナさんがそれを見て慰めに入る。
「ファーブさん、大丈夫なんで、この人が知らないだけなんで。ファーブさん強いじゃないですか」
「俺、強い?」
「強いですよ」
「うん。わかった」
すると、太刀の少年がヤジる。
「ファーブぅ、いい加減自信持てって。そんなんだからメンバーが集まらないんだって」
「うっ!」
「戦闘時以外ほんとにヘタレだな」
「うっ!」
傷付くファーブさんにアンナさんがフォローを入れる。
「リック!やめなさい!ファーブさんはメンタル弱いんですから!」
「うっ!」
「あっすいません。ところでリック、自己紹介ぐらいしなさい」
「リック・デービー。太刀使いだよ」
それに便乗して、少女も自己紹介する。
「ミリア・デービー。リックの姉。念力。よろしく」
不愛想だ。
「3人の紹介も済んだね。じゃ、グァラッチのオルパラ交流会についてなんだけど...」
ファーブさんが話し出したが、俺は思わずそれに割って入る。
「ぐぁらっち...?って何ですか?」
「この辺の警務組織だよ。最大勢力で、他国の侵攻なんかがあったときにはうちが対応するね」
リックも割って入る。
「その中で、オルトとパラに分かれてるんだ。正式名称はo-LOSSとp-DOXE。俺らはオルトだね」
「そう。そしてそのうち幹部...第3級以上は自分のチームを設けることになるんだけど、そのチームの実力向上を図るためにオルトとパラで交流会って形で試合みたいなことをさせるんだよね」
「まあ、オルトとパラは仲悪いし交流会の皮をかぶった喧嘩大会だけどね」
なんとまあ...物騒な。そんなのが国衛って...まあ戦闘ができるのはいいのか。
「ルールは殺さないことだけ。いきなり入ってきて申し訳ないけど覚悟は決めてもらうよ」
「...えっ?」
何か、よからぬことに巻き込まれているようだった。
「マナ...魔法とか使えんのかな?」
「やー、そこ変な格好の人~、寄ってかないかい?美味いもんそろってるよ!」
バルの客引きに呼び止められる。
「あ、すいません、俺今金持ってないので...」
「そっか。残念だけど金が入ったら来てくれな!」
客引きはそういうと去っていき、別の通行人に声をかける。
「ずいぶん活気ある国なんだな。ってか入ったはいいものの、物乞いするのもな...」
その時、後ろから声をかけられる。若い男の声だ。
「ねえそこの変な格好の君、うちのチームに所属してくんない?」
背丈が俺より一回り大きいくらい、金髪マッシュのイケメンだ。
「チーム...って何のことですか?」
「えっと...君、クランは?」
「クランって何ですか?」
「え...本気で言ってる?」
男がわかりやすく困惑する。
「君、ホントに何もわかんないの?」
「はい。さっき気づいたらここにいて」
「へー...でも、君、おかしいよ」
「おかしい?」
「君の体は継続的にマナが流れている。それは身体強化や魔術の発動がスムーズになったり...少なくともトップクラスの人間にしかできないんだ。それをどうして君が...」
「よくわかりませんけど、今宿も仕事もないんです。そのチーム(?)に入れば生活できますかね...」
「ああもちろん」
「行きます!」
「...ありがとう。ちょうど一人足りなかったんだ。ついてきて」
俺はこれが異世界転生かと、うまくいっていることに説明をつけながらついて行った。
「みんな~、あと一人連れてきたよ。めっちゃ無知だったけどいいよね」
つれてこられたのはさっきのバルだった。男に席まで案内される。
そこには、ほかのメンバーが3人いた。一人は背が低いながら身長ほど長い大太刀を背中にさす少年、空中に寝転がって本を読む少女(ぱっと見JK?)、前髪ぱっつんで姿勢よく座る、黒髪ロングの女性。
「あの、初めまして」
「ほら、名前も」
さっきの男が促す。
えっと、新田成人だから、なりひとなりひと...
「名前はリヒトです。よろしくお願いします」
すると、前髪ぱっつんの人が反応する。
「私はアンナ・リービッヒ。こちらこそよろしくお願いしますね」
好意的で好印象だ。真面目な人に見え、好印象だ。屈託のない笑顔、好印象だ。
「ファーブさんはもう挨拶したんですか?」
アンナさんが、俺を連れてきた男に促す。
「ファーブ・ハーバーだ。シルヴァで3番目くらいに強いんだけど...知ってる?」
「すいませんちょっと知らないです」
「あ、そう...」
ファーブさんは不安そうな顔になった。アンナさんがそれを見て慰めに入る。
「ファーブさん、大丈夫なんで、この人が知らないだけなんで。ファーブさん強いじゃないですか」
「俺、強い?」
「強いですよ」
「うん。わかった」
すると、太刀の少年がヤジる。
「ファーブぅ、いい加減自信持てって。そんなんだからメンバーが集まらないんだって」
「うっ!」
「戦闘時以外ほんとにヘタレだな」
「うっ!」
傷付くファーブさんにアンナさんがフォローを入れる。
「リック!やめなさい!ファーブさんはメンタル弱いんですから!」
「うっ!」
「あっすいません。ところでリック、自己紹介ぐらいしなさい」
「リック・デービー。太刀使いだよ」
それに便乗して、少女も自己紹介する。
「ミリア・デービー。リックの姉。念力。よろしく」
不愛想だ。
「3人の紹介も済んだね。じゃ、グァラッチのオルパラ交流会についてなんだけど...」
ファーブさんが話し出したが、俺は思わずそれに割って入る。
「ぐぁらっち...?って何ですか?」
「この辺の警務組織だよ。最大勢力で、他国の侵攻なんかがあったときにはうちが対応するね」
リックも割って入る。
「その中で、オルトとパラに分かれてるんだ。正式名称はo-LOSSとp-DOXE。俺らはオルトだね」
「そう。そしてそのうち幹部...第3級以上は自分のチームを設けることになるんだけど、そのチームの実力向上を図るためにオルトとパラで交流会って形で試合みたいなことをさせるんだよね」
「まあ、オルトとパラは仲悪いし交流会の皮をかぶった喧嘩大会だけどね」
なんとまあ...物騒な。そんなのが国衛って...まあ戦闘ができるのはいいのか。
「ルールは殺さないことだけ。いきなり入ってきて申し訳ないけど覚悟は決めてもらうよ」
「...えっ?」
何か、よからぬことに巻き込まれているようだった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる