魔術師終始武術中! ~魔術師になってワクワクしてたら肉弾戦でした~

滝永ひろ

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1話

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俺はアンナさんと林の陰に隠れていた。

ファーブさんは砂漠エリアに一人、リックとミリアさんは俺らよりファーブさんに近い茂みに隠れている。

人目につかないからファーブさんに敵を見つけてもらって、相手してる間に奇襲を仕掛けようというわけだ。

あらゆる可能性を把握するといっても未来予知ではないのだから低い可能性は捨てざるを得ない。

あとは、その場でどちらが読み勝つか。

「リヒト君、来ましたよ」

アンナさんが小声で声をかける。指さす方を見ると、仁王立ちのファーブさんの前に、紺色の髪の男がこれまた仁王立ちしていた。恐らくあの男がケルス・ハーバー。

ファーブさんがケルスに向かって手をかざす。

「STRINE!」

ケルスがファーブさんに向かって吸い込まれるように飛ぶ。

「STRINE!」

さらに、反対方向に吹っ飛ぶ。

何か話しているようだが、聞き取れない。それから、あの二人確か苗字が一緒だったがどういうことなんだろうか。

「...どういうことだ?」

ケルスはぴんぴんしている。

ファーブさんも半端な火力の攻撃ならしないだろうし、何より聞いていた能力は身体的に強いものではない。

「何やってるんだ?」

ファーブさんの後ろに、斬撃が見える。おそらくリックだろう。味方を背後から攻撃?

「STRINE」

その斬撃は、ファーブさんに当たることなくケルスの前に瞬間移動した。

その斬撃が直撃する。

「上手い...背後の物をあんな正確に」

ファーブさんが押しているのか?

「これじゃ俺らいなくても勝てるんでは...?」

すると、ケルスが銃を取り出した。

「はっ!?殺しは反則のはずじゃ...」

そして、それをファーブさんの方に向かって撃った。

それは、ファーブさんの数m前で停止する。

「ほっ...」

としたのもつかの間。

ケルスはファーブさんに向かって連射した。

「でも一回止めたなら次も...」

「無理です」

アンナさんが答える。

「ファーブさんの魔術はSTRINE...物の長さを自在に操る能力。銃弾などと速いものを対象にするとなると個別にするのではなく自分と自分以外で指定売る必要があります」

「それでなんでいけないんですか?」

「触る者すべて指定していたらどうなるか、それは大量のマナの消耗です」

「...どういうことですか」

「ああやっていくつも対象にされると、マナの同時使用料がキャパを越えます」

「越えると..,どうなるんですか」

「撃たれます」

その時、ファーブさんの肩に銃弾がヒットした、キャパオーバーがここで来たのだ。

「まだ...一発じゃ人は死んだりは...」

「あれは麻酔銃です。一発で眠りにつく致死量ギリギリの量仕込んであります」

「そんな...」

「どうするんですか。このままじゃリック君の居場所もばれます。あの銃、結構射程長いですよ」

ケルスはさっき斬撃が来た方を記憶していたのか、眠ったファーブさんを置き去りにリックがいる方へスタスタと歩いていた。

「そんな...」

「どうするんですか!?このまま全滅したら終わりです。私たちもじきに見つかりますよ!」

「そんな...」

茂みから出るリックが見えた。やたら体がでかく、肌が赤い。どうなっているのか服は破れていない。

「ヴアアア!」

リックが剣を振り回す。さっきより一回りも二回りも大きい斬撃が飛ぶ。

それも、まるで未来予知でもしたかのように剣が降られた瞬間にはよけている。

「だめだ...可能性をすべて把握するってことは限られた未来は確実に予知するってこと。絶対的警戒範囲外から攻撃しなきゃ」

リックに銃口が向けられた。

「アンナさん!」

「待ってました」

もう勝つ見込みはない。でも、やらなきゃ負けるのは俺でも予知できる。

アンナさんが俺を担ぎ、思いっきり振りかぶってケルスの方に投擲した。

ケルスがどんどん大きく見えてくる。

ケルスもリックに向けた銃を下した。

気づかれたか。まあいい。はじめからそのつもりだ。

「奇襲が甘いな」

ケルスが落ち着いた低い声で言う。

銃口は俺に向き、その銃口から発射された弾が見えた気がした。

「STEP!」

銃弾が俺の肌に着いた瞬間にすべて停止する。

「解除、解除、解除!」

背中と足裏を解除してケルスの方に飛び、足を解除してケルスの頭めがけて空中回し蹴りを仕掛ける。

それらすべてを避けられる。

「解除解除解除解除!」

完全にやけくそなのはわかってる。でも、今はこれしか頭にない。

「よくわからんが、空中戦は終わりか?」

ケルスに言われた通り、気づくと俺は着地していた。

こうなったら、行動の全初動からのちの動きを読まれる。

「まだまだ!」

俺は解除を繰り返しながら殴り掛かる。

「普通の速さではないようだが、それでも所詮人の動きだな。読める」

ラッシュもすべて読まれて回避される。

残弾は左足の一発と右手に一発のみ。

解除。

俺の左足がケルスに飛び掛かる。

「読めている」

それをあしらうように蹴り返される。すねに当たり、こちらがダメージを受ける。

「まだ...解除!」

右腕がケルスに襲い掛かる。

「無駄だといっているだろう」

それもケルスは片手で受け止める。

「くそッ..くそっ!」

「銃弾は効かないようだな。しかし俺に勝てないことを知れ」

俺の体からは力が抜けていた。

俺の力もここまでか...

「まだあきらめちゃいけませんよ!」

アンナさんの声がした。この人がいた。でも、ファーブさんもやられて今太刀打ちは...

アンナさんに向かって銃が発射される。

もう終わりか...

アンナさんは、あろうことか銃弾を手でキャッチし、それをケルスに向けて投げ返す。

さらにそれをケルスがまた銃で撃ち返し、その銃弾にアンナさんが蹴り飛ばしてケルスに飛ばそうとする。

しかし、その足をケルスが蹴り飛ばし、アンナさんが回転してケルスに背中を向けたところで銃撃。直撃したアンナさんは眠りについてしまった。

「反射神経だけで今の攻防をするとは...さすがあの一族...いや、素質か」

わけのわからないことを言っている。

「さ、そっちはちんまりしたようだな」

リックに再び銃口が向く。次の瞬間、リックは被弾、眠りについた。

「戦意喪失した一人はおいておいて、あと一人だな」

ケルスはミリアさんが隠れている茂みに歩み寄る。

「出てきたらどうだ、俺に勝てるとでも思っているのか」

茂みから音がした。だめだ。出てきたら撃たれて終わり、おそらくファーブさんと同じ方法で念力も突破される。

「くっ...解除!」

俺にはもう一つ残弾があった。

あの時。アンナさんとミリアさんの二人に合流した時。あの時のストックが残っている。
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