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白蘭シロウの身体が数メートル後ろに飛んで、建物の壁に鈍い音を立ててぶつかった。
「ぐ…っ、くそっ…!」
「ルカっ」
リツが呆気にとられる僕の手を再び握りしめて、強い力で引いて走り出す。
拒否する間も無く、僕はリツに引きずられるように走り出した。振り返ると、シロウが連れの二人に両脇を抱えられて、こちらを睨みつけている。
ーーああ…、面倒なことになった。僕が貶されたのに、なんでこいつが怒ってるんだよ…。
さっきの場所からずいぶんと走って来て、疲れた僕は、リツの手を離そうと強く引くけど、しっかりと握られていて離せない。
僕は思いっきり息を吸うと、「リツっ!」と大きな声で叫んだ。
リツの肩がビクンッと跳ね、足がピタリと止まる。ゆっくりと振り返ったリツは、泣きそうな顔をして僕を強く抱きしめた。
「なっ、なに…っ?離せよっ」
僕は、リツの腕の中で暴れるけど、暴れれば暴れる程、僕を締めつける腕の力が強くなる。
「リツっ」
「嫌だ。離さない。ルカ…初めて俺の名前、呼んでくれた…。すっげー嬉しい。なんか、泣きそうなくらい嬉しい…っ」
「はあ?何それ。ねぇ、苦しいから離して」
「無理…。くそっ、白欄のやつ、ルカに酷いこと言いやがってっ!…ルカ、俺がルカを守るから、ずっと俺の傍にいろよ」
「だから、何それ…。そもそもは、僕は何を言われたとしても気にしてないのに、リツが勝手に怒ったんじゃないか。僕が変身出来ないのは事実だ。今までにいろんなことを言われてきた。いろんな目で見られてきた。もう慣れてる。なのにリツが殴るから…、白蘭のあいつ、きっと仕返しにくるよ」
「仕返しに来るとしても俺にだろ。ルカには手出しさせない」
「…リツって、人当たりがいいように見えて、頑固だよね」
「~っ!ルカ…っ」
褒めたつもりは全くないのに、リツはあろうことか、僕に頬ずりをしてきた。
「バカッ、何してるんだよっ」
僕は力一杯リツの胸を押して、身体を何とか離した。
リツが、すごく情けない顔をして僕を見る。
「いつも俺の姿が見えてないのかな…って態度だったのに、ちゃんと俺のこと、見ててくれたんだ、って思って…っ。ヤバいほんとに嬉しいっ!やっぱり俺は、もっともっとルカと仲良くなりたいっ。ルカを知りたいっ!」
『やっぱりこいつはバカだな』と思い、小さく頭を振る。ふと、辺りに目をやると、いつの間にか陽も落ちて暗くなっていた。
「ねぇ、もう遅いし帰るよ」
「え?あ、ホントだ。ここ、どこだ?」
やみくもにリツが走るから、民家も疎らな街の外れまで来ていた。
とりあえず街へ戻ろうと、一歩足を踏み出したその時、背後の暗闇から低い唸り声が響いてきた。
「ぐ…っ、くそっ…!」
「ルカっ」
リツが呆気にとられる僕の手を再び握りしめて、強い力で引いて走り出す。
拒否する間も無く、僕はリツに引きずられるように走り出した。振り返ると、シロウが連れの二人に両脇を抱えられて、こちらを睨みつけている。
ーーああ…、面倒なことになった。僕が貶されたのに、なんでこいつが怒ってるんだよ…。
さっきの場所からずいぶんと走って来て、疲れた僕は、リツの手を離そうと強く引くけど、しっかりと握られていて離せない。
僕は思いっきり息を吸うと、「リツっ!」と大きな声で叫んだ。
リツの肩がビクンッと跳ね、足がピタリと止まる。ゆっくりと振り返ったリツは、泣きそうな顔をして僕を強く抱きしめた。
「なっ、なに…っ?離せよっ」
僕は、リツの腕の中で暴れるけど、暴れれば暴れる程、僕を締めつける腕の力が強くなる。
「リツっ」
「嫌だ。離さない。ルカ…初めて俺の名前、呼んでくれた…。すっげー嬉しい。なんか、泣きそうなくらい嬉しい…っ」
「はあ?何それ。ねぇ、苦しいから離して」
「無理…。くそっ、白欄のやつ、ルカに酷いこと言いやがってっ!…ルカ、俺がルカを守るから、ずっと俺の傍にいろよ」
「だから、何それ…。そもそもは、僕は何を言われたとしても気にしてないのに、リツが勝手に怒ったんじゃないか。僕が変身出来ないのは事実だ。今までにいろんなことを言われてきた。いろんな目で見られてきた。もう慣れてる。なのにリツが殴るから…、白蘭のあいつ、きっと仕返しにくるよ」
「仕返しに来るとしても俺にだろ。ルカには手出しさせない」
「…リツって、人当たりがいいように見えて、頑固だよね」
「~っ!ルカ…っ」
褒めたつもりは全くないのに、リツはあろうことか、僕に頬ずりをしてきた。
「バカッ、何してるんだよっ」
僕は力一杯リツの胸を押して、身体を何とか離した。
リツが、すごく情けない顔をして僕を見る。
「いつも俺の姿が見えてないのかな…って態度だったのに、ちゃんと俺のこと、見ててくれたんだ、って思って…っ。ヤバいほんとに嬉しいっ!やっぱり俺は、もっともっとルカと仲良くなりたいっ。ルカを知りたいっ!」
『やっぱりこいつはバカだな』と思い、小さく頭を振る。ふと、辺りに目をやると、いつの間にか陽も落ちて暗くなっていた。
「ねぇ、もう遅いし帰るよ」
「え?あ、ホントだ。ここ、どこだ?」
やみくもにリツが走るから、民家も疎らな街の外れまで来ていた。
とりあえず街へ戻ろうと、一歩足を踏み出したその時、背後の暗闇から低い唸り声が響いてきた。
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