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「見つけたぞ。おまえら、絶対に許さない!」
暗がりから白く光る何かが姿を現わす。それは低く唸り、鋭く尖る牙を見せて、緑色の目で僕達を睨みつける。
月明かりに照らし出されたのは、白い毛並みの大きな狼だった。
「白蘭、シロウ…?」
「そうだ。覚悟しろ。今からおまえらを引き裂いてやる」
「ルカ、下がってっ」
シロウの後ろに、もう二匹の白い狼が見えた。
リツが僕の腕を引いて後ろに下がらせ、シャツを脱いで放り投げる。僕の上に落ちてきたシャツを受け止めて、リツを見た。
リツの身体から赤い炎が揺らめいているように見えて、ぼんやりと見惚れていると、リツの耳が大きな尖った耳に変わり、尻尾が生え、爪が鋭く尖り、全身に赤味がかった毛がびっしりと生えた。
両手を地面につき、四つ足の狼の姿に変身したリツを見て、僕は素直に、綺麗だなと思う。
ーーああ、なんて力強い。赤い毛並みがまるで炎のようで、美しい…。
ふと、頭に浮かんだ感情を振り払うように、首を振る。
『羨ましい』などと思ってはいけない。どんなに願っても、僕は変身出来ないのだ。
すぐ傍で風が起こり、僕はハッと顔を上げる。
リツが後ろ足で地面を蹴って、シロウに飛びかかった。
ドンッ!と重い音が響き、二つの大きな身体が二方向へ弾き飛ばされる。回転しながら足から着地したリツに、二匹の白い狼が噛みついた。
「グワゥッ!」
「ガアッ」
「リツ!」
リツが身体を激しく振って、背中に噛みつく二匹を投げ飛ばす。綺麗な赤毛が血でドス黒く染まり、荒い息を吐いて、リツが掠れた声を出した。
「クソっ…、三対一はマズい!ルカっ、なんとか隙を見て逃げろっ」
「リツ…」
ーー逃げるも何も、僕の足ではすぐに追いつかれてしまう。リツこそ、僕など放っておいて、その速い足で逃げればいいのに。
「リツ、僕を置いて逃げて。一人なら、速く駆ければ逃げきれる」
「はあ?バカ言うなっ!俺は死んでもルカを守るんだっ。ルカこそどうにかして逃げてくれよっ!」
「グダグダとうるさい。二人とも引き裂いてやると言ってるだろうがっ。だが、青蓮は生かしてやってもいいかもしれない。その綺麗な顔は、殺すには惜しい」
「何言ってやがるっ!おまえなんかに、俺のルカを渡すかぁっ!」
ーー は?俺のルカ?なんだよ、それ…。
牙を剥き出してシロウの首に噛みつき、お腹をシロウの尖った爪で抉られるリツを、僕は顔を歪めて見た。
暗がりから白く光る何かが姿を現わす。それは低く唸り、鋭く尖る牙を見せて、緑色の目で僕達を睨みつける。
月明かりに照らし出されたのは、白い毛並みの大きな狼だった。
「白蘭、シロウ…?」
「そうだ。覚悟しろ。今からおまえらを引き裂いてやる」
「ルカ、下がってっ」
シロウの後ろに、もう二匹の白い狼が見えた。
リツが僕の腕を引いて後ろに下がらせ、シャツを脱いで放り投げる。僕の上に落ちてきたシャツを受け止めて、リツを見た。
リツの身体から赤い炎が揺らめいているように見えて、ぼんやりと見惚れていると、リツの耳が大きな尖った耳に変わり、尻尾が生え、爪が鋭く尖り、全身に赤味がかった毛がびっしりと生えた。
両手を地面につき、四つ足の狼の姿に変身したリツを見て、僕は素直に、綺麗だなと思う。
ーーああ、なんて力強い。赤い毛並みがまるで炎のようで、美しい…。
ふと、頭に浮かんだ感情を振り払うように、首を振る。
『羨ましい』などと思ってはいけない。どんなに願っても、僕は変身出来ないのだ。
すぐ傍で風が起こり、僕はハッと顔を上げる。
リツが後ろ足で地面を蹴って、シロウに飛びかかった。
ドンッ!と重い音が響き、二つの大きな身体が二方向へ弾き飛ばされる。回転しながら足から着地したリツに、二匹の白い狼が噛みついた。
「グワゥッ!」
「ガアッ」
「リツ!」
リツが身体を激しく振って、背中に噛みつく二匹を投げ飛ばす。綺麗な赤毛が血でドス黒く染まり、荒い息を吐いて、リツが掠れた声を出した。
「クソっ…、三対一はマズい!ルカっ、なんとか隙を見て逃げろっ」
「リツ…」
ーー逃げるも何も、僕の足ではすぐに追いつかれてしまう。リツこそ、僕など放っておいて、その速い足で逃げればいいのに。
「リツ、僕を置いて逃げて。一人なら、速く駆ければ逃げきれる」
「はあ?バカ言うなっ!俺は死んでもルカを守るんだっ。ルカこそどうにかして逃げてくれよっ!」
「グダグダとうるさい。二人とも引き裂いてやると言ってるだろうがっ。だが、青蓮は生かしてやってもいいかもしれない。その綺麗な顔は、殺すには惜しい」
「何言ってやがるっ!おまえなんかに、俺のルカを渡すかぁっ!」
ーー は?俺のルカ?なんだよ、それ…。
牙を剥き出してシロウの首に噛みつき、お腹をシロウの尖った爪で抉られるリツを、僕は顔を歪めて見た。
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