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二人目の赤
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保健室に着いて、ノックをして扉を開けた。机の前の椅子に座って本を読んでいた白衣の先生が、こちらを見て立ち上がる。そして開口一番、「よかったわね」と言った。
リツと同じ、赤味がかった髪を後ろで一つに縛った女の先生は、ニッコリと微笑んで僕たちを見ている。
リツと知り合いらしい、どことなくリツに似た雰囲気の先生を見て、『よかった、って…。赤築の者は、皆んなバカなのかな…と、僕はとても失礼なことを考えた。
「なにがだよ…。…ってぇ、それより早く手当してくれ。黄麻にガッツリやられた」
「なにが、って、その子、青蓮ルカ君でしょ?あんた、去年からずっと仲良くなりたいっ!って騒いでたじゃない。怪我をしたあんたを支えて一緒に来てくれたってことは、仲良くなったからでしょうが」
とりあえず、リツをベッドに座らせて、僕は先生に頭を下げた。
「リツ…君は、僕を庇って怪我をしたんです。僕のせいで怪我をさせてしまって…、ごめんなさい」
「違うっ。俺が勝手にしたことだ。そんでルカは、俺の血を止めてくれたんだ。だから、ルカが謝ることはない」
「へぇ~。あんた、やるじゃない。好きな子を身体をはって守ったのね。偉い偉い。ほら、傷見せて」
先生は、椅子と濡れたタオルを持って来て、僕に座るように言いながら、自分の口を指差す動作をした。
『ああ…、拭けってことか』と、僕は口の周りを拭う。それから先生は、リツのシャツを脱がせて傷を確認すると、消毒液を塗って、分厚いシートをペタリと貼った。
「これ、人狼の治癒能力を高める成分が含まれたシートなの。赤築家が開発中の万能シート。ルカ君にも一袋あげるから、常に持ってなさい。怪我をしたら、すぐに貼るのよ?」
僕の手に、シートが入った銀色の袋を乗せる。
「え?でも…」
「いいのいいの。これは人間界のドラッグストアじゃ売ってないから。だって、聞けば、前にも白蘭に襲われて、怪我したんでしょ?ルカ君のこんな綺麗な肌を傷つけるなんて…許せないわ」
「ルカ、持っておけよ。でもまあ、これからは、もしもの時は、俺が舐めて治してやるけどなっ」
「それは嫌だ。先生、ありがたく貰っておきます」
リツの言葉を拒絶して、先生に再び頭を下げた。
先生は、クスクスと笑いながら、リツに新しいシャツを渡して言う。
「リツ、仲良くなったって言ったって、まだまだあんたの一方通行ね。もっと頑張りなさい」
「言われなくてもわかってるよ。いちいちうるせ…」
「は?あんた、誰に向かってそんな口聞いてんの?」
「いてっ!いてて!姉ちゃん、ご、ごめんって」
「姉ちゃん?」
耳を強く引っ張られて、リツが悲鳴をあげる。その口から出た言葉に僕は驚いて、思わず大きな声を出した。
リツと同じ、赤味がかった髪を後ろで一つに縛った女の先生は、ニッコリと微笑んで僕たちを見ている。
リツと知り合いらしい、どことなくリツに似た雰囲気の先生を見て、『よかった、って…。赤築の者は、皆んなバカなのかな…と、僕はとても失礼なことを考えた。
「なにがだよ…。…ってぇ、それより早く手当してくれ。黄麻にガッツリやられた」
「なにが、って、その子、青蓮ルカ君でしょ?あんた、去年からずっと仲良くなりたいっ!って騒いでたじゃない。怪我をしたあんたを支えて一緒に来てくれたってことは、仲良くなったからでしょうが」
とりあえず、リツをベッドに座らせて、僕は先生に頭を下げた。
「リツ…君は、僕を庇って怪我をしたんです。僕のせいで怪我をさせてしまって…、ごめんなさい」
「違うっ。俺が勝手にしたことだ。そんでルカは、俺の血を止めてくれたんだ。だから、ルカが謝ることはない」
「へぇ~。あんた、やるじゃない。好きな子を身体をはって守ったのね。偉い偉い。ほら、傷見せて」
先生は、椅子と濡れたタオルを持って来て、僕に座るように言いながら、自分の口を指差す動作をした。
『ああ…、拭けってことか』と、僕は口の周りを拭う。それから先生は、リツのシャツを脱がせて傷を確認すると、消毒液を塗って、分厚いシートをペタリと貼った。
「これ、人狼の治癒能力を高める成分が含まれたシートなの。赤築家が開発中の万能シート。ルカ君にも一袋あげるから、常に持ってなさい。怪我をしたら、すぐに貼るのよ?」
僕の手に、シートが入った銀色の袋を乗せる。
「え?でも…」
「いいのいいの。これは人間界のドラッグストアじゃ売ってないから。だって、聞けば、前にも白蘭に襲われて、怪我したんでしょ?ルカ君のこんな綺麗な肌を傷つけるなんて…許せないわ」
「ルカ、持っておけよ。でもまあ、これからは、もしもの時は、俺が舐めて治してやるけどなっ」
「それは嫌だ。先生、ありがたく貰っておきます」
リツの言葉を拒絶して、先生に再び頭を下げた。
先生は、クスクスと笑いながら、リツに新しいシャツを渡して言う。
「リツ、仲良くなったって言ったって、まだまだあんたの一方通行ね。もっと頑張りなさい」
「言われなくてもわかってるよ。いちいちうるせ…」
「は?あんた、誰に向かってそんな口聞いてんの?」
「いてっ!いてて!姉ちゃん、ご、ごめんって」
「姉ちゃん?」
耳を強く引っ張られて、リツが悲鳴をあげる。その口から出た言葉に僕は驚いて、思わず大きな声を出した。
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