たゆたう青炎

明樹

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黒の目的

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用意されていた水色のシャツに、くるぶしまでの薄茶色のズボンを履いて、洗面所を出る。シャツもズボンもちょうどの大きさで、トウヤさんもダンも背が高いから、わざわざ僕の為に用意してくれていたのかと驚いた。


廊下を歩きながら、少し一人で考えたいと思い、僕が寝かされていた部屋に戻った。


ソファーに深く凭れて、光が差し込む板張りの床をぼんやりと眺める。目は光が当たる床を映していたけど、僕の頭の中には、昨日の景色が浮かんでいた。


『ずっと君を見ていた』
『そいつは狼に変身出来ないっ』
『そんなことは百も承知だ。だからこそ欲しいのだ』


ーー変身出来ない僕が欲しいって、どういうこと?


どんなに考えてもわからない。何でも出来る優秀なロウを欲しがるのなら、納得出来る。
僕はロウを、人狼界最強だと思っている。でも僕が関わると、優秀なロウでも、白蘭や黄麻のあんな浅はかな罠に引っかかってしまう。そう思うと、僕が傍にいたら、ロウはダメになってしまうんじゃないのだろうか…。


グルグルと考え過ぎて、結局僕は、どうすればいいかわからなくなってしまった。



しばらく目を閉じてジッとしていたけど、ふとあることを思い出して、慌てて立ち上がる。
キョロキョロと部屋を見回して、ベッドの下に僕の鞄を見つけて、ホッと胸を撫で下ろした。


急いで鞄を手に取り、中を確かめる。気になっていた小さな箱があったことに心底安堵して、鞄から取り出した。箱を開けて中に入っている指輪を、左手の薬指に嵌める。これは、ロウと気持ちが通じ合った日に貰った、お揃いの指輪。今はこれだけが、僕とロウを繋いでくれる。
僕は、右手の人差し指で指輪を撫でて、そっと口付けた。


その時、ドアをノックする音がして、慌てて箱を鞄に戻した。


「いるのか?入るぞ」
「はい」


僕が返事をすると同時にドアが開く。
トウヤさんと、お盆を持ったダンが入って来た。
トウヤさんが、僕の向かい側のソファーに座る。
ダンが、テーブルに紅茶が入ったカップを並べて、トウヤさんの後ろに立った。


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