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気高き青の秘密
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夏休みまで数日残っていたけど、結局学校には行かずに夏休みに入ってしまった。
そもそも学校にさえ行けば、ロウに会える。ロウに会うと、僕がトウヤさんの元に戻らない可能性もある。だからもう、学校には行けないのだろうと思っていたら、トウヤさんが「そのまま今の学校に通い続ければいい」と言ってくれた。
「え?いい…の?」
「今更学校を変わるのも嫌だろう?それにおまえは、約束を果たすまで逃げはしない。そうだろう?」
「はい。助けられたままじゃ、嫌だから…」
「ふっ、そういうところも好感が持てる。必ずこの家に戻って来るというなら、一度家に帰ってもいいぞ。必要な物を取って来るといい」
「ほっ、本当に?」
「ああ、ずっと閉じこもっていても暇だろう?なんなら、友達だという赤築の人狼に会って来い」
「…トウヤさん、僕を信頼し過ぎてない?」
「信頼してるよ。ルカは、俺を騙したりしないさ」
「まあ…そうだけど。ふふ…、何その自信。変なの」
クスクスと笑う僕の頬をスルリと撫でて、トウヤさんが優しい目をする。
「ルカは、人を惹きつける不思議なオーラがあるな。ただ出掛ける時は、どこに行って何時頃帰るかは、必ず教えてくれ」
「はい…。ありがとう」
「礼を言うことではない」
トウヤさんが目尻を下げて、ニコリと笑う。
いつもは無表情で怖い顔のトウヤさんだけど、笑うととても人懐っこくて、少し幼くなる。
ここで暮らし始めてまだ数日で、僕を連れて来た理由を教えてもらったとはいえ、トウヤさんがどんな人かも分からず、不安はある。
でもトウヤさんが、一族の皆んなから、とても慕われていることはわかった。
この家には、ダンの他に通いの使用人が二人いる。彼らはダンの指示を受けて、家の中と庭の掃除、たまに料理を作る。
その二人とは別に、トウヤさんに会いに、毎日黒条家の人狼が代わる代わる訪ねて来る。
トウヤさんが彼らと会う応接間らしき部屋まである。
ダンから聞いたところによると、トウヤさんは、これからの黒条家の在り方についてや人生相談、果ては子育ての悩み相談まで受けているらしい。
「トウヤさん、子供がいないのに?大変だね…」
少し笑いを堪えて言った僕に、ダンも溜め息を吐いて答えた。
「そうなのですよ。トウヤ様も、そんなズレた相談など取り合わなければいいものを。どんな相談にも親身になって答えていらっしゃる…。彼は、人に厳しくもあるが優しいのです。私の自慢の主です。私は、何があっても主の傍を離れません」
「うん、そうだね。僕のことも、丁重に扱ってくれるし」
「当たり前です。あなたは、我が黒条家にとって、とても大事なお方です。何か不都合がありましたら、すぐに仰って下さい」
「ありがとう」
自分の主人に全幅の信頼を寄せるダンに、僕は微笑んだ。
ダンのトウヤさんを褒める言葉を聞いて、ロウに会いたい気持ちが増す。ロウも、僕の傍を離れないと言ってくれた。僕を、大事な主人として支えてくれた。時々、意地悪もされたけど…。
トウヤさんとダンも、僕とロウみたいな関係なのかな、と思ったけど、ダンはトウヤさんに意地悪なんて決してしない。
それに、トウヤさんよりダンの方が年下だ。トウヤさんが二十九歳でダンが二十七歳。ダンは、本当に心から、トウヤさんを尊敬しているのだろう。
そんなことを考えたりして、ロウに会いたくて胸は痛むけど、少しずつ、ここでの暮らしに慣れてきていた。
そもそも学校にさえ行けば、ロウに会える。ロウに会うと、僕がトウヤさんの元に戻らない可能性もある。だからもう、学校には行けないのだろうと思っていたら、トウヤさんが「そのまま今の学校に通い続ければいい」と言ってくれた。
「え?いい…の?」
「今更学校を変わるのも嫌だろう?それにおまえは、約束を果たすまで逃げはしない。そうだろう?」
「はい。助けられたままじゃ、嫌だから…」
「ふっ、そういうところも好感が持てる。必ずこの家に戻って来るというなら、一度家に帰ってもいいぞ。必要な物を取って来るといい」
「ほっ、本当に?」
「ああ、ずっと閉じこもっていても暇だろう?なんなら、友達だという赤築の人狼に会って来い」
「…トウヤさん、僕を信頼し過ぎてない?」
「信頼してるよ。ルカは、俺を騙したりしないさ」
「まあ…そうだけど。ふふ…、何その自信。変なの」
クスクスと笑う僕の頬をスルリと撫でて、トウヤさんが優しい目をする。
「ルカは、人を惹きつける不思議なオーラがあるな。ただ出掛ける時は、どこに行って何時頃帰るかは、必ず教えてくれ」
「はい…。ありがとう」
「礼を言うことではない」
トウヤさんが目尻を下げて、ニコリと笑う。
いつもは無表情で怖い顔のトウヤさんだけど、笑うととても人懐っこくて、少し幼くなる。
ここで暮らし始めてまだ数日で、僕を連れて来た理由を教えてもらったとはいえ、トウヤさんがどんな人かも分からず、不安はある。
でもトウヤさんが、一族の皆んなから、とても慕われていることはわかった。
この家には、ダンの他に通いの使用人が二人いる。彼らはダンの指示を受けて、家の中と庭の掃除、たまに料理を作る。
その二人とは別に、トウヤさんに会いに、毎日黒条家の人狼が代わる代わる訪ねて来る。
トウヤさんが彼らと会う応接間らしき部屋まである。
ダンから聞いたところによると、トウヤさんは、これからの黒条家の在り方についてや人生相談、果ては子育ての悩み相談まで受けているらしい。
「トウヤさん、子供がいないのに?大変だね…」
少し笑いを堪えて言った僕に、ダンも溜め息を吐いて答えた。
「そうなのですよ。トウヤ様も、そんなズレた相談など取り合わなければいいものを。どんな相談にも親身になって答えていらっしゃる…。彼は、人に厳しくもあるが優しいのです。私の自慢の主です。私は、何があっても主の傍を離れません」
「うん、そうだね。僕のことも、丁重に扱ってくれるし」
「当たり前です。あなたは、我が黒条家にとって、とても大事なお方です。何か不都合がありましたら、すぐに仰って下さい」
「ありがとう」
自分の主人に全幅の信頼を寄せるダンに、僕は微笑んだ。
ダンのトウヤさんを褒める言葉を聞いて、ロウに会いたい気持ちが増す。ロウも、僕の傍を離れないと言ってくれた。僕を、大事な主人として支えてくれた。時々、意地悪もされたけど…。
トウヤさんとダンも、僕とロウみたいな関係なのかな、と思ったけど、ダンはトウヤさんに意地悪なんて決してしない。
それに、トウヤさんよりダンの方が年下だ。トウヤさんが二十九歳でダンが二十七歳。ダンは、本当に心から、トウヤさんを尊敬しているのだろう。
そんなことを考えたりして、ロウに会いたくて胸は痛むけど、少しずつ、ここでの暮らしに慣れてきていた。
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