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七月も終わりのある日、ずっともだもだと悩んでいたけど、一度家に戻ることにした。
ここから学校に通うなら、教科書や体操服、その他必要な物がたくさんいる。とりあえず、持てるだけ持って帰って来ようと思い、夕食後に出かける旨を伝えた。
「トウヤさん、明日、家に戻って来てもいい?必要な物を取りに行きたい」
「もちろん。暑いから気をつけろよ。ダンに送り迎えをさせてもいいのだが、見張られてるようで嫌だろうしな。ああ、ついでに赤築の人狼にも会ってこい」
「え?リツに?」
苦笑いをするトウヤさんを見て、僕は首を傾げる。
「なんで…?」
「ふん、あいつ、ルカの行方を捜して他家の縄張りをウロチョロしてるらしい。この近くまで来たこともあったみたいだぞ。今、邪魔をされる訳にはいかないからな。住む場所が変わっただけで、学校にもちゃんと行くから心配するなと説明しておいてくれ」
「リツ…」
僕は小さくリツの名を呟く。
未だそんなにまで僕を思ってくれてることに、自然と口元が綻ぶ。
リツと会わなくなってまだ十日程だけど、ひどく懐かしい気がした。
「まあ、あの日からルカは学校に行ってない。きっと、おまえが俺に監禁されてるとでも思ってるんだろう。しかし単細胞なヤツだな。アレが跡取りでは、赤築家も心配だろうな」
「ふふ、確かにリツは少し頼りなくて単純だけど、すごく優しいし、意外と強いんだよ。それにリツの変身後の姿は、燃える炎のようでとても綺麗なんだ…」
赤い狼の姿を思い出して、フッと微笑む。
「人狼は、どの家の者も美しい姿をしている。だが俺は、特に青蓮が美しいと思うぞ」
その言葉に、僕の胸が震える。
黒っぽく見えて、月の光を浴びると青く輝く毛並み。青蓮家にいた頃に、何人かの姿を見たことがあるけど、やっぱり、誰よりも青く輝いているロウの姿が、特に美しかった。
だから、まるでロウが褒められたようなその言葉が、とても嬉しい。
「そう?ありがとう…。僕もそうなりたかったけど…」
「変身しなくとも力があるなら、そっちの方がいいぞ」
「まだ…あると決まった訳じゃ…」
「ルカはもっと自分に自信を持て。それに、おまえはそのままで充分美しいのだから、それでいい」
僕は、チラリとダンに視線を向けて俯いた。
トウヤさんは男らしい精悍な顔つきで、ダンは男の僕でも見惚れてしまう時がある程に、綺麗な顔をしている。
そんなダンとずっと一緒にいるトウヤさんに言われても、素直には頷けない。
幼い頃から根付いたネガティブな思考は、そう簡単には治らないものだと、僕は小さく溜め息を吐いた。
「ルカ様、明日は早いのでしょう?お食事が終わったのでしたら、すぐにお風呂に入って休まれた方がいいですよ」
いつの間にか僕の傍に来ていたダンが、食器を下げながら言う。
僕はその言葉に「そうする」と頷いて、トウヤさんに挨拶をして部屋を出た。
ここから学校に通うなら、教科書や体操服、その他必要な物がたくさんいる。とりあえず、持てるだけ持って帰って来ようと思い、夕食後に出かける旨を伝えた。
「トウヤさん、明日、家に戻って来てもいい?必要な物を取りに行きたい」
「もちろん。暑いから気をつけろよ。ダンに送り迎えをさせてもいいのだが、見張られてるようで嫌だろうしな。ああ、ついでに赤築の人狼にも会ってこい」
「え?リツに?」
苦笑いをするトウヤさんを見て、僕は首を傾げる。
「なんで…?」
「ふん、あいつ、ルカの行方を捜して他家の縄張りをウロチョロしてるらしい。この近くまで来たこともあったみたいだぞ。今、邪魔をされる訳にはいかないからな。住む場所が変わっただけで、学校にもちゃんと行くから心配するなと説明しておいてくれ」
「リツ…」
僕は小さくリツの名を呟く。
未だそんなにまで僕を思ってくれてることに、自然と口元が綻ぶ。
リツと会わなくなってまだ十日程だけど、ひどく懐かしい気がした。
「まあ、あの日からルカは学校に行ってない。きっと、おまえが俺に監禁されてるとでも思ってるんだろう。しかし単細胞なヤツだな。アレが跡取りでは、赤築家も心配だろうな」
「ふふ、確かにリツは少し頼りなくて単純だけど、すごく優しいし、意外と強いんだよ。それにリツの変身後の姿は、燃える炎のようでとても綺麗なんだ…」
赤い狼の姿を思い出して、フッと微笑む。
「人狼は、どの家の者も美しい姿をしている。だが俺は、特に青蓮が美しいと思うぞ」
その言葉に、僕の胸が震える。
黒っぽく見えて、月の光を浴びると青く輝く毛並み。青蓮家にいた頃に、何人かの姿を見たことがあるけど、やっぱり、誰よりも青く輝いているロウの姿が、特に美しかった。
だから、まるでロウが褒められたようなその言葉が、とても嬉しい。
「そう?ありがとう…。僕もそうなりたかったけど…」
「変身しなくとも力があるなら、そっちの方がいいぞ」
「まだ…あると決まった訳じゃ…」
「ルカはもっと自分に自信を持て。それに、おまえはそのままで充分美しいのだから、それでいい」
僕は、チラリとダンに視線を向けて俯いた。
トウヤさんは男らしい精悍な顔つきで、ダンは男の僕でも見惚れてしまう時がある程に、綺麗な顔をしている。
そんなダンとずっと一緒にいるトウヤさんに言われても、素直には頷けない。
幼い頃から根付いたネガティブな思考は、そう簡単には治らないものだと、僕は小さく溜め息を吐いた。
「ルカ様、明日は早いのでしょう?お食事が終わったのでしたら、すぐにお風呂に入って休まれた方がいいですよ」
いつの間にか僕の傍に来ていたダンが、食器を下げながら言う。
僕はその言葉に「そうする」と頷いて、トウヤさんに挨拶をして部屋を出た。
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