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あの日から時おり中庭を散策する姉上と会った。
姉上はいつも優しかった。いつもごめんねと謝った。ずっと病弱で伏せって辛かったはずなのに、僕のことを心配してくれる姉上が僕は好きだった。
そして姉上は、ラズールのことが気になるようだった。僕と話した後に必ずラズールにも話しかける。
でもラズールは、はいとかいいえしか言わない。僕とはあんなに話すのに、他人にはとても素っ気ない。
僕はそれが、なぜか嬉しかった。
「ラズール、姉上にあんな態度をとってもいいの?次期王だよ?」
「あんな態度とは?俺は敬意を持って接しています」
「そうなの?ずいぶんと素っ気なく見えるけど…。姉上はラズールを気に入ってるみたいだから、今から覚えを良くしてた方がいいよ」
「なぜ?」
「だって姉上が元気になったら僕は城から出される。そうしたらラズールは姉上に仕えるでしょ?ラズールはずっと僕の世話をしてたから、いきなり姉上に仕えるのは大変だと思う。だから今から…」
「フィル様」
「…なに?」
ラズールがいきなり厳しい声を出した。
僕は驚いて言葉に詰まる。
ラズールは僕の肩を掴むと、とても怖い顔をして、この国のほとんどの人がそうである琥珀色の瞳で僕を見つめた。
「以前に約束をしましたよね。私は、あなたの傍を離れません。あなたが城を出る時は一緒に行くと。二人でどこかで穏やかに暮らそうと。お忘れですか?」
「覚えてるよ…。でもラズールは優秀だから、そんなこと王が許さない…」
「別に構いません。それならば俺があなたをさらって逃げるまでです」
「ラズール…」
「フィル様。二度と俺に他の人に仕えろなどと言わないでください。あなたにそんな風に言われると辛いですから」
「ん…わかった」
「よろしい」
ラズールが肩から手を離して僕の銀髪を何度も撫でる。
僕の銀髪は今では腰に届くまで伸びている。
ラズールはよく僕の髪を「宝石のようだ」と目を細めて褒めた。そして暇さえあれば丁寧に櫛で梳いた。
僕は僕の髪に触れるラズールの手の感触が好きだった。
姉上はいつも優しかった。いつもごめんねと謝った。ずっと病弱で伏せって辛かったはずなのに、僕のことを心配してくれる姉上が僕は好きだった。
そして姉上は、ラズールのことが気になるようだった。僕と話した後に必ずラズールにも話しかける。
でもラズールは、はいとかいいえしか言わない。僕とはあんなに話すのに、他人にはとても素っ気ない。
僕はそれが、なぜか嬉しかった。
「ラズール、姉上にあんな態度をとってもいいの?次期王だよ?」
「あんな態度とは?俺は敬意を持って接しています」
「そうなの?ずいぶんと素っ気なく見えるけど…。姉上はラズールを気に入ってるみたいだから、今から覚えを良くしてた方がいいよ」
「なぜ?」
「だって姉上が元気になったら僕は城から出される。そうしたらラズールは姉上に仕えるでしょ?ラズールはずっと僕の世話をしてたから、いきなり姉上に仕えるのは大変だと思う。だから今から…」
「フィル様」
「…なに?」
ラズールがいきなり厳しい声を出した。
僕は驚いて言葉に詰まる。
ラズールは僕の肩を掴むと、とても怖い顔をして、この国のほとんどの人がそうである琥珀色の瞳で僕を見つめた。
「以前に約束をしましたよね。私は、あなたの傍を離れません。あなたが城を出る時は一緒に行くと。二人でどこかで穏やかに暮らそうと。お忘れですか?」
「覚えてるよ…。でもラズールは優秀だから、そんなこと王が許さない…」
「別に構いません。それならば俺があなたをさらって逃げるまでです」
「ラズール…」
「フィル様。二度と俺に他の人に仕えろなどと言わないでください。あなたにそんな風に言われると辛いですから」
「ん…わかった」
「よろしい」
ラズールが肩から手を離して僕の銀髪を何度も撫でる。
僕の銀髪は今では腰に届くまで伸びている。
ラズールはよく僕の髪を「宝石のようだ」と目を細めて褒めた。そして暇さえあれば丁寧に櫛で梳いた。
僕は僕の髪に触れるラズールの手の感触が好きだった。
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