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「疲れた…」
僕はベッドに倒れ込み、大きく息を吐く。
高級そうな店に入り、何度も何度も着替えをされられた。そして買うにしても一着でいいからと、張り切るリアムを説得するのにも疲れた。
「でも…何だか楽しそうだったな」
僕が新しい服を着る度に、リアムが嬉しそうに頷いていた。リアムが次々と選んで着ろといい、どれもよく似合うと笑って全部を買おうとするから驚いた。僕は必死になって止めた。
そもそも旅の途中だからいっぱいあったら邪魔になる。そして僕は煌びやかな服が苦手だ。なぜなら女装をしてドレスを着ていたからだ。だから今の質素な服の方が好きなんだ。
僕が頑なにいらないと首を振り続けると、リアムが可哀想なくらいに落ち込んだ顔をした。
それを見た僕は何だか申し訳なくなって、つい「リアムの城に着いたらたくさん買ってよ」と言ってしまった。それを聞いた途端にリアムが再び嬉しそうな顔になった。
僕はつられて微笑みながら、同じ高貴の出でも育つ環境でこうも違うのかと胸が痛くなった。
「フィー、寝てるのか?」
店でのことを思い返していると、リアムが部屋に戻って来た。僕のひどく疲れた様子を見て、宿の人に軽食を用意してもらっていたのだ。
僕は返事をするのも億劫で、寝たふりをする。すると机の上に食器を置く音がして、リアムが近づいてきた。
ベッドが音を立てて沈み、リアムが僕を上から覗き込んでいる気配を感じる。目を開けようかと思ったその時、ふわりと髪を撫でられた。
「おまえが嫌がるから止めたけど、本当は美しいドレスを買ってやりたかった」
髪を撫でていた手が今度は頬に触れる。とてもやさしい手つきに、僕の身体が小さく震える。
「おまえはどんな格好でも可愛いけど、ドレス姿は堪らなく可愛いだろうな。なぜ嫌がるのだ。まあ確かにドレスで馬には乗りづらいだろうが…。あ、でもやはり止めて良かったかもしれない。フィーのドレス姿なんて見たら皆が惚れてしまう。だから俺以外には絶対に見せられない」
僕は今度は可笑しくなって身体を震わせた。
リアムは何を言ってるんだろう。僕のドレス姿なんてただの女装だよ。それに国では僕のドレス姿を見たからといって、誰も好きにはなってくれなかった。見とれる人はいたけど好きにはなってくれなかった。だって僕は呪われた子だから。それなのにリアムは何を言ってるんだろう。
「フィー?もしかして起きてる?」
僕は横向きだった身体を仰向けにして目を開けた。すぐ目の前にリアムの端正な顔がある。
「ごめん、起きてた」
「なんだ…聞いてたのか」
リアムの耳が赤く染まっている。珍しい反応に、僕は思わず手を伸ばしてリアムの耳に触れた。その手が大きな手で掴まれ、美しい紫の目に映る僕の顔が近づいてくる。そして唇に柔らかい感触がした。
僕はベッドに倒れ込み、大きく息を吐く。
高級そうな店に入り、何度も何度も着替えをされられた。そして買うにしても一着でいいからと、張り切るリアムを説得するのにも疲れた。
「でも…何だか楽しそうだったな」
僕が新しい服を着る度に、リアムが嬉しそうに頷いていた。リアムが次々と選んで着ろといい、どれもよく似合うと笑って全部を買おうとするから驚いた。僕は必死になって止めた。
そもそも旅の途中だからいっぱいあったら邪魔になる。そして僕は煌びやかな服が苦手だ。なぜなら女装をしてドレスを着ていたからだ。だから今の質素な服の方が好きなんだ。
僕が頑なにいらないと首を振り続けると、リアムが可哀想なくらいに落ち込んだ顔をした。
それを見た僕は何だか申し訳なくなって、つい「リアムの城に着いたらたくさん買ってよ」と言ってしまった。それを聞いた途端にリアムが再び嬉しそうな顔になった。
僕はつられて微笑みながら、同じ高貴の出でも育つ環境でこうも違うのかと胸が痛くなった。
「フィー、寝てるのか?」
店でのことを思い返していると、リアムが部屋に戻って来た。僕のひどく疲れた様子を見て、宿の人に軽食を用意してもらっていたのだ。
僕は返事をするのも億劫で、寝たふりをする。すると机の上に食器を置く音がして、リアムが近づいてきた。
ベッドが音を立てて沈み、リアムが僕を上から覗き込んでいる気配を感じる。目を開けようかと思ったその時、ふわりと髪を撫でられた。
「おまえが嫌がるから止めたけど、本当は美しいドレスを買ってやりたかった」
髪を撫でていた手が今度は頬に触れる。とてもやさしい手つきに、僕の身体が小さく震える。
「おまえはどんな格好でも可愛いけど、ドレス姿は堪らなく可愛いだろうな。なぜ嫌がるのだ。まあ確かにドレスで馬には乗りづらいだろうが…。あ、でもやはり止めて良かったかもしれない。フィーのドレス姿なんて見たら皆が惚れてしまう。だから俺以外には絶対に見せられない」
僕は今度は可笑しくなって身体を震わせた。
リアムは何を言ってるんだろう。僕のドレス姿なんてただの女装だよ。それに国では僕のドレス姿を見たからといって、誰も好きにはなってくれなかった。見とれる人はいたけど好きにはなってくれなかった。だって僕は呪われた子だから。それなのにリアムは何を言ってるんだろう。
「フィー?もしかして起きてる?」
僕は横向きだった身体を仰向けにして目を開けた。すぐ目の前にリアムの端正な顔がある。
「ごめん、起きてた」
「なんだ…聞いてたのか」
リアムの耳が赤く染まっている。珍しい反応に、僕は思わず手を伸ばしてリアムの耳に触れた。その手が大きな手で掴まれ、美しい紫の目に映る僕の顔が近づいてくる。そして唇に柔らかい感触がした。
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