銀の王子は金の王子の隣で輝く

明樹

文字の大きさ
352 / 451

59

しおりを挟む
 リアムが手を伸ばし、僕の腕を掴んで引き寄せる。引き寄せられるままにリアムの胸に顔をつけた。

「衣装、似合ってたぞ」
「…ありがとう。リアムも似合ってたよ。すごくかっこよかった」
「そうか。フィーにそう言われると嬉しいな」

 僕の額にキスをして、リアムが笑う。
 リアムの衣装は、白地に金糸の刺繍がある。それぞれの髪と同じ色に合わせてくれたようだ。ただ、リアムの衣装は軍服に似た作りだけど、僕の方は袖や上着の裾にレースがついて、華やかだ。そのことをリアムに言うと「おまえの魅力を際立たせている」と指で頬を撫でた。

「伯父上に挨拶した時に、部屋の隅にノラもいただろう?あの時にフィーを見て、一番似合う服を急いで作ってくれたんだ。俺はもっと派手にしてもいいと思ってるが、あれくらいの方がフィーの魅力を引き出せていいのかもな」
「みんな僕を褒めすぎじゃない?なんか…恥ずかしいよ」
「ふむ…おまえが辛い環境で育った欠点はそこだな」
「なに?」
「自分を過小評価するところ。フィーを知れば誰だって好きになる。それくらい魅力的だぞ」
「そんなこと言うの、リアムとラズールだけだって…」

 イヴァル帝国の王城にいた頃は、誰も褒めてくれなかった。ラズールは褒めてくれたけど、僕の従者だからだと思っていた。
 リアムが褒めてくれるのも、僕を好きだからよく見えてるだけだと思うのだけど。 
 口の中でブツブツと呟く僕を抱きしめたまま、リアムがベッドに近寄り飛び込んだ。

「わあっ」
「フィー!明日が楽しみだな」
「リアム、機嫌がいい?」
「そりゃあそうだろ。やっとフィーと伴侶になるんだ。嬉しくてたまらない」
「ふふっ、僕も嬉しい」 
「ん」

 リアムが唇を突き出して、僕の唇に触れる。
 軽くキスをして、僕の首を舐めてハッと顔を上げる。

「まずい」
「どうしたの?」
「ラズールに注意をされてたんだった。アイツ怒ると何するかわからないからな。フィーに触りたいが明日にする。今夜はもう休もう」
「…うん?」

 ラズールに注意なんてされてたっけ?
 そういえばリアムが目覚めた後に、怖い顔で睨んでいたなと思い返す。
 それに僕もリアムに触れたい。だけど疲れて明日、起き上がれなくなっては困る。
 僕はリアムの頬を撫でると「わかった、おやすみ」と形の良い唇にキスをした。


 昨夜はリアムの腕の中でよく眠れた。きっとリアムが強力な治癒魔法をかけてくれたおかげだ。
 鳥の鳴き声を耳にしながら隣を見ると、リアムの姿がない。シーツがまだ暖かいから、つい先ほどまではいたんだろう。

「どこに行ったのかな…」

 ポツリと呟いて起き上がり、ベッドを降りて窓辺へ行く。鳴き声の主を探そうと外を覗いていると「おはよう」と背中から抱きしめられた。
 
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

転生して王子になったボクは、王様になるまでノラリクラリと生きるはずだった

angel
BL
つまらないことで死んでしまったボクを不憫に思った神様が1つのゲームを持ちかけてきた。 『転生先で王様になれたら元の体に戻してあげる』と。 生まれ変わったボクは美貌の第一王子で兄弟もなく、将来王様になることが約束されていた。 「イージーゲームすぎね?」とは思ったが、この好条件をありがたく受け止め 現世に戻れるまでノラリクラリと王子様生活を楽しむはずだった…。 完結しました。

翼が生えた王子は辺境伯令息に執心される

尾高志咲/しさ
BL
「ふわふわな翼が!背中に?」 慌てる僕の元にやってきたのは無表情な美形婚約者。どどどうする!? ――ファンタン王国の第五王子ミシューの背中に、ある朝目覚めたら真っ白な翼が生えていた。原因がわからずに慌てふためいていると、婚約者の辺境伯令息エドマンドが会いにやってくる。美形でいつも無表情なエドマンドは王都から離れた領地にいるが、二月に一度は必ずミシューに会いにくるのだ。翼が生えたことを知られたくないミシューは、何とかエドマンドを追い返そうとするのだが…。 ◇辺境伯令息×王子 ◇美形×美形 ◆R18回には※マークが副題に入ります。 ◆誰にも言えない秘密BLアンソロジー寄稿作品を改題・改稿しました。本編(寄稿分)を加筆し続編と番外編を追加。ほのぼの溺愛ファンタジーです。

逃げる銀狐に追う白竜~いいなずけ竜のアレがあんなに大きいなんて聞いてません!~

結城星乃
BL
【執着年下攻め🐲×逃げる年上受け🦊】  愚者の森に住む銀狐の一族には、ある掟がある。 ──群れの長となる者は必ず真竜を娶って子を成し、真竜の加護を得ること──  長となる証である紋様を持って生まれてきた皓(こう)は、成竜となった番(つがい)の真竜と、婚儀の相談の為に顔合わせをすることになった。  番の真竜とは、幼竜の時に幾度か会っている。丸い目が綺羅綺羅していて、とても愛らしい白竜だった。この子が将来自分のお嫁さんになるんだと、胸が高鳴ったことを思い出す。  どんな美人になっているんだろう。  だが相談の場に現れたのは、冷たい灰銀の目した、自分よりも体格の良い雄竜で……。  ──あ、これ、俺が……抱かれる方だ。  ──あんな体格いいやつのあれ、挿入したら絶対壊れる!  ──ごめんみんな、俺逃げる!  逃げる銀狐の行く末は……。  そして逃げる銀狐に竜は……。  白竜×銀狐の和風系異世界ファンタジー。

【本編完結】転生先で断罪された僕は冷酷な騎士団長に囚われる

ゆうきぼし/優輝星
BL
断罪された直後に前世の記憶がよみがえった主人公が、世界を無双するお話。 ・冤罪で断罪された元侯爵子息のルーン・ヴァルトゼーレは、処刑直前に、前世が日本のゲームプログラマーだった相沢唯人(あいざわゆいと)だったことを思い出す。ルーンは魔力を持たない「ノンコード」として家族や貴族社会から虐げられてきた。実は彼の魔力は覚醒前の「コードゼロ」で、世界を書き換えるほどの潜在能力を持つが、転生前の記憶が封印されていたため発現してなかったのだ。 ・間一髪のところで魔力を発動させ騎士団長に救い出される。実は騎士団長は呪われた第三王子だった。ルーンは冤罪を晴らし、騎士団長の呪いを解くために奮闘することを決める。 ・惹かれあう二人。互いの魔力の相性が良いことがわかり、抱き合う事で魔力が循環し活性化されることがわかるが……。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

トップアイドルα様は平凡βを運命にする【完】

新羽梅衣
BL
ありきたりなベータらしい人生を送ってきた平凡な大学生・春崎陽は深夜のコンビニでアルバイトをしている。 ある夜、コンビニに訪れた男と目が合った瞬間、まるで炭酸が弾けるような胸の高鳴りを感じてしまう。どこかで見たことのある彼はトップアイドル・sui(深山翠)だった。 翠と陽の距離は急接近するが、ふたりはアルファとベータ。翠が運命の番に憧れて相手を探すために芸能界に入ったと知った陽は、どう足掻いても番にはなれない関係に思い悩む。そんなとき、翠のマネージャーに声をかけられた陽はある決心をする。 運命の番を探すトップアイドルα×自分に自信がない平凡βの切ない恋のお話。

【完結】最初で最後の恋をしましょう

関鷹親
BL
家族に搾取され続けたフェリチアーノはある日、搾取される事に疲れはて、ついに家族を捨てる決意をする。 そんな中訪れた夜会で、第四王子であるテオドールに出会い意気投合。 恋愛を知らない二人は、利害の一致から期間限定で恋人同士のふりをすることに。 交流をしていく中で、二人は本当の恋に落ちていく。 《ワンコ系王子×幸薄美人》

処理中です...