銀の王子は金の王子の隣で輝く

明樹

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 にぎやかな鳥の鳴き声で、目を覚ました。
 薄いカーテンが引かれた窓の外が明るい。
 一瞬、どこにいるのかわからなくて戸惑い、そういえばリアムの伯父様の城に来ていたと気づく。
 そして今日は、僕とリアムの結婚式だ。急遽決まって、この城の人達が準備してくれた。


 昨日の夕餉の後に使用人の女の人が来て、疲れてるところを申しわけありませんと謝られながら、衣装を合わせた。彼女は使用人頭でノラと名乗った。
 ろくな準備期間もなく式を挙げようと決めたのはこちらだ。謝られるなんてとんでもない。
「僕の方こそ無理なことを頼んでしまってごめんなさい」と謝ると、ノラは「とんでもありません」と笑った。

「このような華やかでおめでたいことは久しぶりですので、皆、喜んで準備してるのですよ。ラシェット様も、とても楽しみにしてらっしゃいます。本来ならリアム様は、王城で式を挙げられるはず。それがこの城で挙げていただけるのですから、準備を手伝えることが、とても光栄で幸せです」
「そう言ってもらえると嬉しいです。ありがとう」

 ノラが、優しく僕の手を撫でて首を振る。

「あなたは見た目だけでなく、心もお美しい方ですね。私のような使用人にも気を使われ、感謝の言葉を口にされる。さすがリアム様が選ばれたお方です」
「当然だ。俺は人を見る目がある。フィーほど優しく可愛い人はいない」
 
 すでに衣装を合わせ終わっていたリアムが、腕を組んで自信ありげに言う。
 ノラが何度も頷き「そうでございますね」と笑う。

「フィル様、明日はおめでたい日ですので、こちらの白地に銀糸で刺繍がされた服にしましょう。しかしその美しい銀髪は、暗めの衣装でも映えるでしょうね」
「あー…、国では、黒地や紺に銀の刺繍が入ったド…服を着ていました」
「まあ!それはさぞ美しかったでしょうね。お作りしますので、いつか着てくださいますか?」
「いいですよ。でも期待にこたえられるかどうか…」
「大丈夫だ。俺は見たことあるが、かなり美しかった」
「リアム様がそう仰られるのなら、ぜひとも早くお作りしなければ。せっかくですのでリアム様とお揃いでお作りしましょう」
「ああ、それはいいな。ぜひそうしてくれ」
「かしこまりました。フィル様、これで終わります。今夜はよくお休みになってください。では失礼します」
「ありがとう。おやすみなさい」

 ノラが、微笑みながら深く頭を下げ、衣装を抱えて出て行った。
 部屋に静寂がおとずれる。
 リアムと目が合った僕は、明日のことを考えて恥ずかしくなり目を伏せた。
 
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