ふれたら消える

明樹

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昊 8

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「あっ、夏樹いた!」
「ん?なに」
「今日の部活のことで話があるんだけど、ちょっといい?」
「わかった。昊、青、悪いけど二人で適当に回っててくれ」
「おう、また後でな」

 俺と青と夏樹で階段を降りている時に、下から登ってきたバスケ部のキャプテンに夏樹が声をかけられた。副キャプテンをしている夏樹をさがしていたらしい。
 俺と青に謝る夏樹に頷いて、俺は青を見た。

「だってさ。どうする?」

 青は俺の目を見つめて、首を小さく傾ける。

「んー、特に見たい所ないんだよな。空き教室に行って休まない?」
「いいけど、あんまり時間ないぜ?」
「うん、だから少しだけ」
「そうだな」

 俺は青の意見に賛同した。俺も特に見たい所はない。それに朝が早かったから疲れていたし。
 俺と青は、自動販売機で飲み物を買い、図書室に向かった。当然ながら図書室には誰もいなかった。俺たちは一番奥にある机の所へ行き、並んで座る。
 俺は両腕を伸ばして息を吐いた。

「はあ…文化祭ってダルいよなぁ。準備で疲れてる上に朝早くてさ、眠くて仕方ねぇ」
「昊、寝てていいよ。起こしてあげる」
「マジ?てか青だって眠いんじゃねぇの。俺より早く起きてたじゃんか」
「俺は体力あるから大丈夫」
「ふーん、じゃあ十五分くらいしたら起こしてくれ」
「わかった」

 青が優しい目で俺を見ている。俺だけに向ける目だ。それはきっと、この世でたった一人の兄弟だから。だから大事に思ってくれてるんだ。俺とは違う想いだ。勘違いしてはいけない。
 俺は紙パックのりんごジュースを一気に飲むと、机に突っ伏して目を閉じた。


 スマホの振動で目を覚ました。本気で寝てしまっていたらしい。横を向くと、青まで腕に顔を乗せて眠っている。

「なんだよ…起こしてくれるんじゃなかったのかよ」

 ブツブツと呟いてスマホを見る。部屋に入ってから二十分経っている。そろそろ戻らないとマズいと、俺は青に手を伸ばしかけて止めた。
 こちらを向いた整った顔。伏せられたまぶたの先の長いまつ毛。筋の通った高い鼻。薄い唇に目が止まる。
 俺はダメだと思いながらも、無意識に顔を近づけ唇にキスをした。
 あ…思ってたよりも柔らかい。
 一度離れ、もう一度キスをする。
 心臓がうるさい。顔が熱い。ダメだと思いながらも止められない。
 三度みたびキスをして離れた瞬間、いきなり声をかけられ飛び跳ねた。

「昊…?」

 勢いよく振り返ると、後ろに篠山がいた。
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