ふれたら消える

明樹

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「いたっ…!あれ?」

 青が鼻をこすりながら俺を見て首を傾ける。

「昊…起きたの?ていうか今何時?」
「おまえが寝てどうすんだよ。もうとっくに時間過ぎてんぞ」
「うそっ、ごめん!」
「早く戻るぞ」
「わかった」

 入口へと急ぐ俺の後ろを青がついてくる。
 足が長いからか青がすぐに隣に並ぶ。

「ところで昊はいつ起きたの?」
「…おまえが起きるちょっと前だよ。夏樹からのメールで起きた」
「そっか…ごめん」
「いいよ。おまえも疲れてたんだろ」
「あーあ、せっかく…」
「なんだ?」
「別に」

 青がフイと横を向く。
 途中で止められたら気になるんだけど。
 俺は青が何を言いかけたのか追求しようと口を開いたけど、逆に俺のことを聞かれたら困ると口を閉じた。篠山とのことは、まだ青に知られたくない。でも篠山がすぐにバラすんだろうな。
  しばらく無言で歩いていると、廊下の先から夏樹が走ってきた。

「いた!昊、早く戻るぞ!青も颯人が捜してたぞっ」
「夏樹悪い。ちょっと寝るつもりが爆睡してた」
「二人とも?」

 チラリと横目で青を見る。
 青は夏樹に照れ笑いをしながら謝った。

「うんそう。昊に起こしてくれって頼まれてたのに、俺も寝ちゃった」
「えー?おまえら仲いいなぁ。俺も早く帰って寝たい…」
「あと少しじゃん。がんばれ夏樹」
「おまえは寝たから元気だな!じゃあな青」
「あ…うん」

 夏樹が青に手をあげる。
 俺も青に声をかけようとしたけど、勝手に青に触れたこと、それを見られて篠山とつき合うことになってしまったことが気まずくて、結局青の方を見ることなく夏樹と教室に向かった。
 でも家に帰れば青と会う。俺は普通に接することができるだろうか。青に触れたことで、今までのように青への気持ちが上手く隠せないかもしれない。今度青に触れたら、俺は気持ちを止められない。だからもう、一緒に寝るのは止める。そして青から離れる努力をしよう。気持ちがあふれ出ないよう、青に嫌われる努力をしよう。
 夏樹の背中を見て歩きながら、俺はそんなことを考えていた。
 教室に戻り遅くなったことを謝って、自分のやるべきことをやっていたけど、ずっと頭の中では青のことでいっぱいだった。だから夏樹に話しかけられても上の空だったらしく、文化祭が終わった後に、心配した夏樹に家につれて来られた。

 
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