ふれたら消える

明樹

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「おまえら二人で何してたんだ?珍しくないか?たまたま会った?」
「あーうん、そう。そんで暑かったから店に入ろうってなった」

 俺の質問に、夏樹が答える。青を見ると、俺と視線を合わせずに夏樹を見て頷いている。
 先に視線を逸らせたのは俺だけど、気に入らない。気に入らないから、青を見つめて名前を呼ぶ。

「青」
「…なに?」

 ほら、やっぱり。俺が呼ぶと、青は必ず俺と目を合わせる。昔からずっとそうだ。思い通りの結果に満足して、俺は口角を上げた。

「こんな暑い中、どこに行くつもりだったんだ?今日は部活は休みだろ」
「…本屋だよ。どうしても欲しい問題集があったんだ」
「ネットで買えるじゃん」
「すぐに欲しかったから」

 俺は今度は逸らさずに、青の視線を受け止めた。しかし青の強い眼差しに根負けして言葉に詰まっていると、注文した飲み物が運ばれてきた。
 俺はストローを突き刺しアイスミルクティーの氷をかき混ぜながら、青に聞く。

「で?買ったのかよ」
「まだ。本屋に行く前に夏樹に会ったから」
「ふーん」

 なんだろう…面白くない。俺抜きで二人が会ってたから?俺は柊木と出かけていたし、二人は偶然に会ったそうだから、気になることは何もないのに。

「昊はどこに行ってたの?」
「…え?」

 いきなり話をふられて、反射的に顔を上げた。別に隠す必要はない。ただ柊木と映画を観ただけ。友達となら普通のことだろ?柊木が俺に近すぎることが困るけど。距離感がおかしいんだよ。青の前でベタベタとするの、やめてくれよな。
 俺は正直に話そうと口を開きかけた。しかし先に柊木が声を発した。

「映画だよ。先週公開したばかりの。知ってるかな」

 柊木が優しい声音で言う。
 しかし青は変わらず怖い顔のままだ。

「ああ、あれか。知ってます。なぁ昊、もう一つ観たいって言ってたの、あるじゃん。それは俺と行ってよ」
「いいぜ。いつ行く?」
「家に帰ってから相談しようよ」
「そうだな」

 ようやく青の表情が穏やかになった。俺の好きな優しい顔だ。安心した俺は、アイスミルクティーを一気に飲んだ。
 柊木もアイスコーヒーを飲み干し、腰を浮かしかける。

「じゃあ、そろそろ俺た…」
「昊と青、今から行けば?おまえら、中々日が合う時がねーだろ?」

 夏樹が柊木の言葉に割って入ってきた。俺の気持ちを知っている夏樹が、協力しようとしてくれている。ただ青の反応が気になって、俺は恐る恐る青を見上げた。
 

 
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