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俺の王様 5
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「アル…まだ…?」
「あと少しで終わる。まだ動くなよ?」
「うぅ…」
俺は、アルファ厶の肩に顔を埋めて我慢する。
俺のお尻を治癒している筈のアルファ厶の手が、撫でるように動く度、腰が揺れて恥ずかしい。
「なぁ…、アルの手、なんで動いてるの?」
「ん?早く治るように揉みこんでいるんじゃないか。ふっ、どうしたカナ。腰が揺れてるぞ?」
「ちがっ…!アルが変に触るからくすぐったいんだよっ。もういい。治ったから離してっ」
アルファ厶の肩を押して離れようとする俺に溜息を吐きながら、ようやくアルファ厶が手を下着の中から出した。
俺はズボンを引っ張り上げて、アルファ厶を熱くなった顔で睨む。
でもアルファ厶は、全く気にする素振りもなく、逆に甘い目をして俺を見てきた。
「カナ、そんなに赤くなった顔で睨まれても可愛いだけだ。おまえの尻の痛みを取ってやったというのに、何を怒ってるんだ?」
「だって…っ。必要以上に触ってなかった?」
「そんなことは無い。きっちりと治すには、丁寧にしなければならない」
アルファ厶は、何でも自信たっぷりに話すから、俺は微塵も疑わずに信じてしまう。
だけど2週間近く傍にいて、何となくわかってきた。
アルファ厶は、俺を丸め込む為には平気でくだらない嘘を吐く!
いつまでも睨み続ける俺に困った顔をして、アルファ厶が俺の頭を抱き寄せた。
「カナ。怒った顔もいいが、いつもの笑った顔が見たい。しつこくした俺が悪かった。だから、機嫌を直してくれ」
「…わかったよ。アル…、治してくれてありがとう」
「ふっ…、おまえは本当に素直で可愛いな…。カナ、スイ国の奴に他には何もされてないか?」
俺の頭にキスを落として、アルファ厶が聞いてくる。
俺はアルファ厶の肩から顔を上げて、首を傾げて考えた。
「うん…。あっ、そうだ。あの人、手で触れるだけで俺の痛めた腰を治してくれたよ?」
「手?触れる?」
「うん、そう。思いっきり氷を押しつけられたみたいに冷たくなったと思ったら、もう治ってた。もしかしてアルも、泉の水がなくても治せ……アル?」
炎のような赤い髪をして、炎を操る力を持つアルファ厶の周りの空気が、まるで冷蔵庫に入ったかのようにひんやりと冷えている。
俺は、怯んで少しだけ身体を離そうとして、アルファ厶の広い胸にガッチリと抱き込まれてしまった。
「アル…?ど、どうしたの…」
「スイ国のアイツ…カナに触れたのか?」
「え…?まあ…。俺が腰が痛いと言ったら、治してくれたよ?その時に痛む腰に手を…」
「腰だけか?もしや…尻を…」
「いっ、いや!腰だけだからっ!お尻も触られそうになったけど、断固拒否したからっ」
「なにっ?触られそうに?…アイツ、今からでも殺りに…」
俺の頭の上で、アルファ厶が物騒なことを呟き始めた。
俺は慌ててアルファ厶の首に抱きつき、鼻の頭にキスをする。
「アル!大丈夫だから。不本意だけど、あの人に腰を治してもらったから、俺は2階から飛べたんだよ?ね?利用できるものは利用しなきゃ!それよりも!俺、ヴァイスに翼があるなんて知らなかったっ。すっごくかっこよかったっ!ねぇ、他の馬もヴァイスみたいに翔べるの?」
俺のキスに機嫌を良くしたのか、綺麗な緑色の目を蕩けさせて、アルファ厶が俺を見た。
ゆっくりと顔を近づけると、唇に2、3度触れて「カナ」と低く囁いた。
「あと少しで終わる。まだ動くなよ?」
「うぅ…」
俺は、アルファ厶の肩に顔を埋めて我慢する。
俺のお尻を治癒している筈のアルファ厶の手が、撫でるように動く度、腰が揺れて恥ずかしい。
「なぁ…、アルの手、なんで動いてるの?」
「ん?早く治るように揉みこんでいるんじゃないか。ふっ、どうしたカナ。腰が揺れてるぞ?」
「ちがっ…!アルが変に触るからくすぐったいんだよっ。もういい。治ったから離してっ」
アルファ厶の肩を押して離れようとする俺に溜息を吐きながら、ようやくアルファ厶が手を下着の中から出した。
俺はズボンを引っ張り上げて、アルファ厶を熱くなった顔で睨む。
でもアルファ厶は、全く気にする素振りもなく、逆に甘い目をして俺を見てきた。
「カナ、そんなに赤くなった顔で睨まれても可愛いだけだ。おまえの尻の痛みを取ってやったというのに、何を怒ってるんだ?」
「だって…っ。必要以上に触ってなかった?」
「そんなことは無い。きっちりと治すには、丁寧にしなければならない」
アルファ厶は、何でも自信たっぷりに話すから、俺は微塵も疑わずに信じてしまう。
だけど2週間近く傍にいて、何となくわかってきた。
アルファ厶は、俺を丸め込む為には平気でくだらない嘘を吐く!
いつまでも睨み続ける俺に困った顔をして、アルファ厶が俺の頭を抱き寄せた。
「カナ。怒った顔もいいが、いつもの笑った顔が見たい。しつこくした俺が悪かった。だから、機嫌を直してくれ」
「…わかったよ。アル…、治してくれてありがとう」
「ふっ…、おまえは本当に素直で可愛いな…。カナ、スイ国の奴に他には何もされてないか?」
俺の頭にキスを落として、アルファ厶が聞いてくる。
俺はアルファ厶の肩から顔を上げて、首を傾げて考えた。
「うん…。あっ、そうだ。あの人、手で触れるだけで俺の痛めた腰を治してくれたよ?」
「手?触れる?」
「うん、そう。思いっきり氷を押しつけられたみたいに冷たくなったと思ったら、もう治ってた。もしかしてアルも、泉の水がなくても治せ……アル?」
炎のような赤い髪をして、炎を操る力を持つアルファ厶の周りの空気が、まるで冷蔵庫に入ったかのようにひんやりと冷えている。
俺は、怯んで少しだけ身体を離そうとして、アルファ厶の広い胸にガッチリと抱き込まれてしまった。
「アル…?ど、どうしたの…」
「スイ国のアイツ…カナに触れたのか?」
「え…?まあ…。俺が腰が痛いと言ったら、治してくれたよ?その時に痛む腰に手を…」
「腰だけか?もしや…尻を…」
「いっ、いや!腰だけだからっ!お尻も触られそうになったけど、断固拒否したからっ」
「なにっ?触られそうに?…アイツ、今からでも殺りに…」
俺の頭の上で、アルファ厶が物騒なことを呟き始めた。
俺は慌ててアルファ厶の首に抱きつき、鼻の頭にキスをする。
「アル!大丈夫だから。不本意だけど、あの人に腰を治してもらったから、俺は2階から飛べたんだよ?ね?利用できるものは利用しなきゃ!それよりも!俺、ヴァイスに翼があるなんて知らなかったっ。すっごくかっこよかったっ!ねぇ、他の馬もヴァイスみたいに翔べるの?」
俺のキスに機嫌を良くしたのか、綺麗な緑色の目を蕩けさせて、アルファ厶が俺を見た。
ゆっくりと顔を近づけると、唇に2、3度触れて「カナ」と低く囁いた。
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