炎の国の王の花

明樹

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王の花 25

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「カナ、疲れたか?」


アルファムが、俺の頭を撫でて顔を覗き込む。
俺は、その手を掴んで首を振る。


「ううん、大丈夫。アルの方が疲れたんじゃない?参列してた人ほぼ全員と挨拶してたし…」
「いつもやってることだ。あれくらいでは疲れない。宴の前に少し休んでもいいぞ?」
「大丈夫だって。アルと俺の為の宴なのに、主役が遅れたらダメじゃん」
「おまえは真面目よな。手を抜いてもいいんだぞ」


アルファムが目を細めて、俺の頬にキスをする。
俺のことを真面目だと言うアルファムこそ、すごく真面目で他人にも自分にも厳しいと思う。俺にだけは、とても甘いけど…。
でも、出会った頃は俺にも厳しかったよな…。厳しいと言うよりも、俺の意見なんて聞かなくて、すっごく傲慢だったよな…。


そんなことをぼんやりと考えているうちに、アルファムに手を引かれて、大広間から宴の部屋に向かっていると思っていたら、俺のお気に入りの中庭まで来ていた。
庭の中央にある泉の前で立ち止まり、石造りの縁に二人で腰を下ろす。
アルファムが、泉に手を伸ばして指を濡らすと、俺の首をその指で撫でた。


「…んっ、どうしたの?」
「おまえ、ここを引っ掻いただろう。赤くなっている」
「あ、そういえば、痒くて掻いたかも…」
「そういう時は、俺か周りの誰かに言え。塗り薬を持って来てやる」
「え~、痒いんだからすぐ掻きたいじゃん。それに、大したことないからすぐ直るし…」
「ダメだ。おまえの綺麗な肌を傷つけることは許さん」
「…じゃあアルもだよ。アルだって綺麗な肌してるじゃん」
「は?俺がか?」
「うん。この国の人にしたら色白な方だし、肌もすべすべだよ?だ、抱き合った時、すごく気持ちいい…し…」
「…ふっ、そうか。俺もそうだ。おまえと素肌を合わせてるだけで、身体が震える」


照れて俯く俺の顔を、アルファムが身体を屈めて覗き込んでくる。
俺は、アルファムに見られないように顔を背けるけど、アルファムに両頬を挟まれて目を合わせさせられた。


「カナ、おまえはすぐに頬を染めて可愛いな。俺の前で全てを見せておきながら、今更なぜ照れる」
「そっ、そんなのっ、仕方ないじゃん…」
「なにがだ?」
「アルが好きだから、照れちゃうの…っ」


はあー、と大きな溜息をついて、アルファムが俺の肩に頭を乗せる。
俺は、どうしたんだろう、とアルファムの髪の毛をそっと撫でた。


「あ、呆れた?」
「…違う。逆だ。またおまえを好きになった。毎日…いや、時間ごとにおまえを好きになっていく」
「アル…。お、俺もだよっ」
「…宴に出たくないな。今すぐおまえと二人きりになりたい…」


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