炎の国の王の花

明樹

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「お、頑張りましたね。では次は、腕に力をつけましょうか」

息が苦しくて、はあはあと荒く息をする俺に、リオが今度はうつ伏せになれと言う。
これも絶対にリオにやらせてやる!と、俺はごろんとうつ伏せになった。

「前にもやったので、やり方はわかりますね?では両手を地面について…始め!」
「ふんっ…」

これは腕だけで身体を支えて、腕を曲げたり伸ばしたりする、腕に力をつける練習。
これを繰り返して腕に力がつくと、剣を早く振ったりどんな硬いものでも切れるようになるんだって。
リオの声に合わせて五回六回とやっていき、三十回目で「終わり!」と言われて、俺は絨毯にほっぺをつけて寝そべった。

「疲れた…」
「よく頑張りました。これを毎日続けましょう。そうすれば、この国で一番の剣の使い手になりますよ」
「…国じゃあいやだ…。世界で一番がいい…」
「おおっ!ならもっともっと頑張りましょう!」

俺が世界一強くなったら、その側近も強くないとだめなんだよ。だからリオももっと練習して…と言おうとしたその時、高い声が聞こえた。

「ねえ、何してるの?」

声がした方に顔を向ける。
広場の扉が開いて、黄色い髪の女の子が、顔を覗かせていた。

「あ!リリー王女。お一人ですか?」

リオが、すぐに扉の近くへ行く。
リリーは、「うん」と頷くと、リオの傍を通り過ぎて、俺の近くにしゃがみこんだ。

「ねえ、あなた何してるの?」
「…強くなる練習だよ。あのさ、絨毯を靴のまま踏まないでくれる?」

俺は、身体を起こして立ち上がり、絨毯の外に置いてあった靴を履く。
リリーは、下を見て首を傾けると、ピョンと絨毯の外側へと飛んだ。

「お外だから踏んでもいいと思ったの。ごめんね。あなた、ここの王子様よね?名前は…」
「カエンだよ。君はディエス国のリリーだよね。お付きの人は?外で待ってるの?」
「お父さまとお母さまが、手を握ったりキスをしたりして、私の相手してくれないから散歩に行ってくるって出てきたの」

俺の親もリリーの親も、似たもの同士なんだなあと、軽く笑う。
でもここは、自国ではなく他国だ。この城は安全だけど、他国の女の子が一人で出歩くのは危なくない?

「君の親は、誰も人をつけてくれなかったの?」
「ううん。別室にいる家来を連れて行きなさいって言われたけど、めんどうだから一人で来たの」

俺は、小さく溜息を吐くと、リオに部屋に連れて行ってやるように言った。

「リオ、部屋まで案内してあげて」
「は…」
「やだ!もう少しここにいたい!カエンの練習?を見ていたい!」
「でも…君の両親が心配してるんじゃ…」
「お願い!ちょっとだけだからっ」

鼻息荒く言うリリーを見てると、絶対にうんと言わない頑固さを感じる。
俺は、「ちょっとだけだよ」と言って、壁に立てかけてあった俺の剣を手に取った。
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