炎の国の王の花

明樹

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俺が先に歩いて母さまのいる部屋へ急いでいると、医師が後ろから話しかけてきた。

「最近、カナデ様はよく体調を崩される。カエン様、近くで見ていて何か変わったことはありませんか?」
「ないよ。カナはいつも明るくて元気だもん」
「ですよねぇ。十日に一度は診させて頂いてますが、特に悪い所は見当たらない…。やはり、もっと体力をつけてもらわないとだめですかねぇ」
「カナは、よく俺と魔法や剣の練習してるよ?でももっと鍛えるの?」
「カナデ様は、この世界の人よりも小柄でいらっしゃる。なので、皆の倍、鍛えないといけないのかもしれないですね」
「ふーん。今でもいっぱい練習してるのに…」

俺は、黙って俯いた。
母さまは、いつも幸せだと笑ってるけど、本当は大変なんだな。
危ない目にいっぱい合って、でも父さまと結婚して、俺が生まれて幸せになったのに。
他の人より身体が小さいということは、大変なんだな。

俺は、急に母さまが心配になってきた。
だから、顔を上げると勢いよく走り出した。

「カエン様?」
「カナが心配だから先に行く!せんせぇも早く来てよ!」
「わかりました」

廊下の角を曲がって曲がって先を急ぐ。
階段を昇ってまた長い廊下を進み、角を曲がって少し行くと、父さまと母さま、そして俺の部屋に着く。

「父さま!」
「開いている。入っていいぞ」

大きくて重い扉を押すと、静かに向こう側へと開いた。
ベッドで寝ている母さまの所へ走り寄り、「大丈夫?」と聞く。
母さまは、「全然大丈夫だよ。心配かけてごめんね」と笑った。

「失礼致します、アルファム様、カナデ様」
「来たか。カナを頼む」
「はい」

医師も走ったのか、少しはあはあと言いながら入って来た。
ベッドの傍に来て、母さまの額や腕に触れる。

「ふむ…。少し熱があるようですね。ディエス国の方達のお相手をして、疲れが出たのかもしれません。熱冷ましと栄養薬を飲んで、ゆっくりと休んでください」
「…え、熱ある?頭も痛くないし元気なんだけどなぁ」

母さまが、額に手を当ててぽつりと言う。
額に当てた母さまの手を握って、父さまがその手にキスをする。

「元気なものか。つい先程、倒れそうになったではないか。カナ、医師の言うとおり、ゆっくりと休んでくれ。頼む」
「アル…、わかった。アルやカエンに心配かけたくないし。先生、薬をお願いします」
「何度か飲まれてるのでわかってると思いますが、この白い粉薬が熱冷ましです。そしてこの薄く黄色い粉薬が栄養薬です。水に溶かして飲んでくださいね」
「はい。いつもありがとうございます」
「カナデ様にはいつまでも元気でいて頂きたい。カナデ様のために、私は何でも致しますよ」

医師は、そう言いながら頭を下げて、部屋を出て行った。


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