狼領主は俺を抱いて眠りたい

明樹

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 リオは三日間は安静にしていたが、四日目からは仕事に復帰した。一応医師から「少しづつ動いてもいい」と言われたからだ。
 なのに庭仕事をしている所に、とてつもなく怖い顔のギデオンが来て「早い!」と怒られた。
 元気なのにベッドで大人しくなんてしていられない。それに医師からは許可(とリオは思ってる)をもらい「捻挫が治ってる」とも言われたし。治ったんなら働かなくちゃ。
 毎日診察に来てくれていた医師は、「恐ろしく治りが早い」と、とても驚いていた。毎回「信じられない」と呟きながら部屋を出ていった。
 それもそうだ。普通なら治るまでにもう五日以上はかかるだろう。
 リオは我慢できなかった。何もしないでベッドの上で過ごすことが耐えられなかった。アンもいないし。懐かれたことに舞い上がったアトラスが、「ゆっくり休めないだろうから、完治するまで俺が世話をするよ」とアンを連れて行っちゃったし。だからつい、魔法を使ってしまった。魔法で少しづつ治していたのだが、気の短い性格故に、一気に治してしまった。でも治したのは捻挫だけだ。額や腕の目に見える傷は、さすがに治せなかった。短期間できれいに傷がふさがったら、怪しさ満載だからだ。アンじゃなくリオが、魔獣ではないかと疑われてしまう。まあ魔法が使えるとバレるよりかはいいけど。

「リオ!聞いているのか」
「聞いてるよ。だからもう大丈夫だって。それに治ってなくてもできるような、簡単な作業しかしてないって」
「しかし」
「あ、そうだ。あの話はどうなったの?」
「…あの話とはなんだ」

 リオは共に庭木の手入れをしていた庭師から離れて、ギデオンを薔薇ばらの垣根の向こう側へと連れて行く。
 気を使った庭師が反対側へと去ったのを確認して、ギデオンを見上げた。

「ケリーと会わせてくれる話だよ。今、ケリーはどうしてるの?何か話した?」

 ギデオンの鼻の横に、かすかに皺がよる。これは嫌な時の顔だ。俺をケリーと会わせたくないないんだなと、リオが笑う。

「なんだ」
「俺をケリーと会わせたくないんだろ?でもさ、俺はケリーから直接理由を聞かないと納得できない。気持ちがすっきりしない。聞く権利もある。アンを殺そうとしたことに文句も言いたい」
「……」

 ギデオンが、リオの目をじっと見つめて考え込む。しばらくすると、長く息を吐き出して「わかった」と頷いた。
 
「ゲイルからは報告を受けている。聞くとおまえがキレそうな理由だが、大丈夫か?」
「えー?内容によるけど、キレても手は出さないよ。あまりにも俺が興奮してたら、ギデオンがなだめに来てよ」
「ふ、承知」
 
 不意に大きな手で頭を撫でられた。
 なんだろう。ギデオンの目を細めた表情が、めちゃくちゃかっこよく見える。撫でられた頭が気持ちいい。また旅に出たいと思っていたけど、ギデオンの傍は心地いい。だからギデオンがもういいと言うまでは、ここにいたいかも…と思った。
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