狼領主は俺を抱いて眠りたい

明樹

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「早く王城を出たいのだが、リオは帰りたくないのだな」

 リオは慌てて両手で頬を押さえ、普通の顔に戻そうとするけど、どうしても唇が突き出てしまう。

「王城に来れるなんて、もう二度とないから、もう少し滞在したいなとは思う…けど…それよりも、もっと王都を見たい…」
「だが、王都には、まだケリーがひそんでいるかもしれないぞ」
「わかってる。でもよく気をつけるし、ギデオンもいるし…ダメかな?」
「…おまえは頑固だと俺は知っている。仕方ないな。王都で数日泊まってから帰ろう」
「いいの?」

 リオが顔を上げ、華やかに笑う。 
 ギデオンが眩しそうに目を細めて、するりとリオの頬を撫でた。

「そのように喜ばれては頷くしかあるまい。だが、絶対に俺の傍を離れるなよ」
「うん、絶対!」
「周りも護衛で固めるぞ」
「はい」

 リオは喜んだ。王都の端から端までを見てみたかったから。でもそれ以上に、ギデオンと一緒に見れることが、とても嬉しい。


 王城を出て、王都の宿で数日泊まり、いろんな場所を見て回った。
 ギデオンとアンと並んで歩き、珍しい物を買い美味しい物を飲み食いする。もちろん、目立たないよう、ギデオン達は騎士の制服を脱ぎ、旅人のような格好をして。旅人だと、散財して物を買い漁っても疑われない。
 ギデオンと一緒の街歩きは、すごく楽しかった。今までの中で、一番か二番くらいに楽しかった。
 ギデオンに、今している首輪よりも格段に高価な、色つきの金の首輪を買ってやろうと言われて、断るのが大変だった。買うならリオ自身で買うし、そんな高価なものはいらない。誕生日に何も渡してないからと言われたけど、温泉に連れて行ってもらっている。それでもしつこく言ってくるので、「二十歳になったら買って欲しい」と頼むと、ようやくギデオンが頷いた。リオは、先の約束ができて嬉しかった。
 それに懸念していたケリーに会うこともなかった。どこかに隠れて見ているのかもしれないが、リオの傍には常にギデオンがいるから、リオに手出しできなかったのだろう。
 リオ達は、数日かけて王都を十分に見て周り、そろそろ帰らないとゲイルに怒られるからと、四日目にしてようやく帰ることにした。

 宿を引き払い出発しようとしたところへ、血相を変えたビクターが来た。
 ビクターを見るなり、ギデオンは嫌悪感をあらわに対応する。

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