狼領主は俺を抱いて眠りたい

明樹

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 翌日、朝から儀式が始まった。
 各国から呼ばれた来賓らいひん達が、大広間に並べられた椅子に座り、背後に大きな窓が嵌められた、床が一段高くなっている場所の玉座を見つめている。
 玉座には既に王と王妃が座っており、和やかに談笑している。とても優しそうなお二人だと、リオは隣に座っているギデオンに囁いた。
 リオとギデオンの前には、ローランとビクターが座っている。そもそもリオは、部屋の隅にでも立っているつもりだったのだが、自分の席も用意されていることを知って驚いた。「おまえも招待されているのだから当然だろう」とギデオンが言ったけど、リオは庶民だ。まず庶民が王城に入ることも特例なのに、立太子の儀式にも参加させてもらえるなんて。ギデオンの傍にいると驚きの連続だ。そう話すと、「俺の方がリオにはいろいろと驚かされているぞ」と笑っていたけど、そんなことはないと思う。
 因みにアンは部屋で留守番だ。アトラスとジスが見てくれている。
 ギデオンが、リオの耳に顔を寄せて小声で話す。

「この国は、我が国に対してとても友好的だ。だがリオを招待したということは、何かを知っているのかもしれない。用心しておいた方がいい」
「うん、そうだね」

 ギデオンの言葉に頷きながら、リオは中央の通路を挟んだ反対側に座るオルフェスに目をやった。オルフェスのことも用心した方がいいのだろう。デックとロンのことを聞きたいが、聞けば絶対に怪しまれる。
 オルフェスを見てると、ギデオンの顔が間近に現れた。

「うわっ…びっくりした」
「見すぎだ。気づかれるぞ」
「あ…ごめん。どうしても気になって」
「俺以外は見なくていい」
「え?」

 前を向いたギデオンの顔が、ねている?ギデオンってば、もしかして俺のこと、すっごく好きなの?わかっていたつもりだけど、思っているよりも、ずっと強く想われていると気づいて、リオの胸の中がむず痒く、暖かくなった。
 やがて大臣らしき人の声が響き、玉座の左側の扉から、ギデオンと同じ年くらいの白髪の青年が登場した。そして青年の後ろに、ピタリとくっついている少年の姿を見て、リオは驚いた。茶髪に赤い目をしていたからだ。
 リオは、思わず腰を浮かせかけたが、ギデオンに腕を触られ座り直した。
 昨日、オルフェスから聞いた赤い目の者の話。たぶん一人はデックのことだ。そしてこの国にいるというもう一人は、今目の前にいる少年だろう。赤い目の人は、世の中に数多あまたいる。だけど、リオのように鮮やかな赤い目を持っている人は、デックしか知らない。しかし目の前の少年も、鮮やかな赤い目をしている。もしかして少年も、魔法を使う者なのか?だからリオが招待されたのか?
 
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