狼領主は俺を抱いて眠りたい

明樹

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「アン達のことを知ってる者もいるけど、魔獣と間違えられたりしないよな」
「え?確かに!」

 リオの呟きにミラが反応して、部屋を飛び出した。 
 ようやくデックと二人になり、リオは息を吐き出す。外のアン達のことも気になるけど、いざとなればアンは空を飛べる。魔獣と間違えられて攻撃されても逃げられるだろう。それよりもデックだ。このままアシュレイの近くに連れ帰りたい。
 リオは魔法で、デックを立たせた。
 デックは苦しさが抜けたのか、今は穏やかな顔をしている。

「デック、歩けるか?俺と一緒にここを出るぞ」
「……」

 返事はない。だけど目が合うようになった。リオを認識しているかわからないけど、目の中に光が見える。できればロンを呼び、一刻のうちにアシュレイが眠る場所へ行けないものか。

「無理かな…。いくら神獣といっても」

 せめて記憶が戻った時に、ロンは傍にいてやってほしい。記憶が戻ったら、デック自信にロンを呼んでもらおう。
 リオはデックを連れて部屋を出て、ローランの部屋へと向かう。今は集合時間を少し過ぎた頃だ。まだ皆がいるかもしれない。皆と一緒に王城を出よう。ギデオンは俺を見張っているはずだから、そのうち出てくるはず…と思っていたら、ギデオンの声が聞こえた。

「リオ!」
「ギデオン」

 心配するまでもなく、ギデオンがどこからともなく現れた。一体どこに隠れていたものか。
 リオが腕を引いているものの、少し覚束無い足取りで歩くデックを見て、ギデオンは目を細める。

「うまくいったのか?」
「うん、飲ませたよ。ミラと戦闘になりそうになったけど」
「なに!怪我はないか?」
「ないよ。本格的に戦う前に、ミラが出ていったから」
「なぜ?」
「ほら、外が騒がしいだろ?アンとロドニーとロンが戦っているんだ。それを見に出ていった」
「戦ってる?アンは大丈夫なのか?」
「アンは飛べるからね。危険だと判断したら逃げると思う」
「なら良いが。それでデックをどうする?」
「アシュレイ王子が埋葬されてる場所へ連れて行きたい。本当はアンやロンに飛んで運んでもらいたいけど、今近づいたら危険だからなぁ」
「ふむ。リオがアンを呼べばいいのではないか?」

 ギデオンが首を傾けて、こちらを見てくる。
 なに、そのかわいい仕草は。
 リオは、キスをしたい衝動を抑えて答える。

「アンを呼ぶと、ロドニーも追いかけて来るじゃん。アンか言うには、ロドニーは悪い気配がするらしいから、近づかない方がいいよ」
「神獣なのに悪いのか?ロドニーとはどんな姿だ」
「大きな蛇だった。俺、アンやロンはかわいくて好きだけど、蛇は苦手だ…」
「俺もだ」
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