狼領主は俺を抱いて眠りたい

明樹

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 リオとギデオンは、ローランやビクターと合流した。アンは、人々がロドニーに注目している間に身体を縮め、皆に可愛がられる愛玩動物のふりをして、リオにくっついている。その姿からは、先ほどの大きな蛇と戦っていた恐ろしい狼とは誰も思うまい。
 リオは、アンの頭を何度も撫で、顔を上げた。
 ミラとロドニーを見て立ち尽くすフランツに、ローランが近づき言葉をかける。
 あなた達は魔法を使う者と神獣という大きな力を失った。だから我が国に攻め入っても意味はない。我々の方からも攻め入ることはしない。今後は両国の平和のために協定を結びたい。後日使者を送るゆえ、よく考えてほしいと。
 フランツは聞いているのかどうかわからない、ぼんやりとした表情で頷き、部下に支えられてミラとロドニーの所へ歩いていった。
 ローランは、しばらくフランツの後ろ姿を見ていたが、勢いよく振りかえり笑顔で言う。

「よし、国に帰ろう!」
「はい!」

 ローランの言葉に皆が一斉に頷き、荷物を持って門へと向かう。大乱闘のせいで、今や城内は大混乱だ。他の国の人達も急いで城を出ていっており、リオ達が出ても誰にも止められる心配はない。
 アトラスやジス達が馬を連れてくる間、リオはギデオンやローラン、ビクターと門の近くで待っていた。皆でどの経路で帰るかを話していた時、いきなり「少しいいか?」と声をかけられてドキリとする。振り返ると、オルフェスがいた。何か文句を言われるのかと身構えたリオだったが、逆に謝られて驚いた。
 憔悴しょうすいしきった顔でオルフェスが話す。

「デックのことは悪かった。ひどいことをしている自覚はあったが、フランツ王子とミラを止められなかった。心の中に魔法を使う者を傍に置くアシュレイが羨ましい気持ちがあった。商人がデックを連れてきた時、アシュレイはすぐに魔法を使う者と気づいたのに、俺は気づかなかった。その時点で、デックはアシュレイを選んでいたのだろう。だが、俺も欲しかったのだ。だからフランツ王子の提案に乗ってしまった。蘇っても事務的にしか動かないデックやロンと俺では、とても真の主従とは言えなかったのに。せめてもの償いではないが、デックとロンは、アシュレイの近くに埋葬すると約束する。きっと今、彼らはアシュレイの所へ向かっているだろうから」

 リオは無言で、深く頭を下げて離れた。
 そして何事もなく無事に国に帰り、王に報告を終えると、すぐにギデオンとアンと共に、狼領主の領地へと戻った。
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