259 / 272
259
しおりを挟む
リオとギデオンは、ローランやビクターと合流した。アンは、人々がロドニーに注目している間に身体を縮め、皆に可愛がられる愛玩動物のふりをして、リオにくっついている。その姿からは、先ほどの大きな蛇と戦っていた恐ろしい狼とは誰も思うまい。
リオは、アンの頭を何度も撫で、顔を上げた。
ミラとロドニーを見て立ち尽くすフランツに、ローランが近づき言葉をかける。
あなた達は魔法を使う者と神獣という大きな力を失った。だから我が国に攻め入っても意味はない。我々の方からも攻め入ることはしない。今後は両国の平和のために協定を結びたい。後日使者を送るゆえ、よく考えてほしいと。
フランツは聞いているのかどうかわからない、ぼんやりとした表情で頷き、部下に支えられてミラとロドニーの所へ歩いていった。
ローランは、しばらくフランツの後ろ姿を見ていたが、勢いよく振りかえり笑顔で言う。
「よし、国に帰ろう!」
「はい!」
ローランの言葉に皆が一斉に頷き、荷物を持って門へと向かう。大乱闘のせいで、今や城内は大混乱だ。他の国の人達も急いで城を出ていっており、リオ達が出ても誰にも止められる心配はない。
アトラスやジス達が馬を連れてくる間、リオはギデオンやローラン、ビクターと門の近くで待っていた。皆でどの経路で帰るかを話していた時、いきなり「少しいいか?」と声をかけられてドキリとする。振り返ると、オルフェスがいた。何か文句を言われるのかと身構えたリオだったが、逆に謝られて驚いた。
憔悴しきった顔でオルフェスが話す。
「デックのことは悪かった。ひどいことをしている自覚はあったが、フランツ王子とミラを止められなかった。心の中に魔法を使う者を傍に置くアシュレイが羨ましい気持ちがあった。商人がデックを連れてきた時、アシュレイはすぐに魔法を使う者と気づいたのに、俺は気づかなかった。その時点で、デックはアシュレイを選んでいたのだろう。だが、俺も欲しかったのだ。だからフランツ王子の提案に乗ってしまった。蘇っても事務的にしか動かないデックやロンと俺では、とても真の主従とは言えなかったのに。せめてもの償いではないが、デックとロンは、アシュレイの近くに埋葬すると約束する。きっと今、彼らはアシュレイの所へ向かっているだろうから」
リオは無言で、深く頭を下げて離れた。
そして何事もなく無事に国に帰り、王に報告を終えると、すぐにギデオンとアンと共に、狼領主の領地へと戻った。
リオは、アンの頭を何度も撫で、顔を上げた。
ミラとロドニーを見て立ち尽くすフランツに、ローランが近づき言葉をかける。
あなた達は魔法を使う者と神獣という大きな力を失った。だから我が国に攻め入っても意味はない。我々の方からも攻め入ることはしない。今後は両国の平和のために協定を結びたい。後日使者を送るゆえ、よく考えてほしいと。
フランツは聞いているのかどうかわからない、ぼんやりとした表情で頷き、部下に支えられてミラとロドニーの所へ歩いていった。
ローランは、しばらくフランツの後ろ姿を見ていたが、勢いよく振りかえり笑顔で言う。
「よし、国に帰ろう!」
「はい!」
ローランの言葉に皆が一斉に頷き、荷物を持って門へと向かう。大乱闘のせいで、今や城内は大混乱だ。他の国の人達も急いで城を出ていっており、リオ達が出ても誰にも止められる心配はない。
アトラスやジス達が馬を連れてくる間、リオはギデオンやローラン、ビクターと門の近くで待っていた。皆でどの経路で帰るかを話していた時、いきなり「少しいいか?」と声をかけられてドキリとする。振り返ると、オルフェスがいた。何か文句を言われるのかと身構えたリオだったが、逆に謝られて驚いた。
憔悴しきった顔でオルフェスが話す。
「デックのことは悪かった。ひどいことをしている自覚はあったが、フランツ王子とミラを止められなかった。心の中に魔法を使う者を傍に置くアシュレイが羨ましい気持ちがあった。商人がデックを連れてきた時、アシュレイはすぐに魔法を使う者と気づいたのに、俺は気づかなかった。その時点で、デックはアシュレイを選んでいたのだろう。だが、俺も欲しかったのだ。だからフランツ王子の提案に乗ってしまった。蘇っても事務的にしか動かないデックやロンと俺では、とても真の主従とは言えなかったのに。せめてもの償いではないが、デックとロンは、アシュレイの近くに埋葬すると約束する。きっと今、彼らはアシュレイの所へ向かっているだろうから」
リオは無言で、深く頭を下げて離れた。
そして何事もなく無事に国に帰り、王に報告を終えると、すぐにギデオンとアンと共に、狼領主の領地へと戻った。
32
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
あの日、北京の街角で
ゆまは なお
BL
5年前、一度だけ体を交わした彼が、通訳として出張に同行するーーー。
元留学生×駐在員。年下攻め。再会もの。
北京に留学していた上野孝弘は駐在員の高橋祐樹と街中で出会い、突然のアクシデントにより、その場で通訳を頼まれる。その後も友人としてつき合いが続くうちに、孝弘は祐樹に惹かれていくが、半年間の研修で来ていた祐樹の帰国予定が近づいてくる。
孝弘の告白は断られ、祐樹は逃げるように連絡を絶ってしまう。
その5年後、祐樹は中国出張に同行するコーディネーターとして孝弘と再会する。
3週間の出張に同行すると聞き、気持ちが波立つ祐樹に、大人になった孝弘が迫ってきて……?
2016年に発表した作品の改訂版。他サイトにも掲載しています。
顔も知らない番のアルファよ、オメガの前に跪け!
小池 月
BL
男性オメガの「本田ルカ」は中学三年のときにアルファにうなじを噛まれた。性的暴行はされていなかったが、通り魔的犯行により知らない相手と番になってしまった。
それからルカは、孤独な発情期を耐えて過ごすことになる。
ルカは十九歳でオメガモデルにスカウトされる。順調にモデルとして活動する中、仕事で出会った俳優の男性アルファ「神宮寺蓮」がルカの番相手と判明する。
ルカは蓮が許せないがオメガの本能は蓮を欲する。そんな相反する思いに悩むルカ。そのルカの苦しみを理解してくれていた周囲の裏切りが発覚し、ルカは誰を信じていいのか混乱してーー。
★バース性に苦しみながら前を向くルカと、ルカに惹かれることで変わっていく蓮のオメガバースBL★
性描写のある話には※印をつけます。第12回BL大賞に参加作品です。読んでいただけたら嬉しいです。応援よろしくお願いします(^^♪
11月27日完結しました✨✨
ありがとうございました☆
【完結】義妹(いもうと)を応援してたら、俺が騎士に溺愛されました
未希かずは(Miki)
BL
第13回BL大賞 奨励賞 受賞しました。
皆さまありがとうございます。
「ねえ、私だけを見て」
これは受けを愛しすぎて様子のおかしい攻めのフィンと、攻めが気になる受けエリゼオの恋のお話です。
エリゼオは母の再婚により、義妹(いもうと)ができた。彼には前世の記憶があり、その前世の後悔から、エリゼオは今度こそ義妹を守ると誓う。そこに現れた一人の騎士、フィン。彼は何と、義妹と両想いらしい。まだ付き合えていない義妹とフィンの恋を応援しようとするエリゼオ。けれどフィンの優しさに触れ、気付けば自分がフィンを好きになってしまった。
「この恋、早く諦めなくちゃ……」
本人の思いとはうらはらに、フィンはエリゼオを放っておかない。
この恋、どうなる!? じれキュン転生ファンタジー。ハピエンです。
番外編。
リナルド×ガルディア。王族と近衞騎士の恋。
――忠誠を誓った相手を、愛してはいけないと思っていた。切ない身分差、年の差の恋。恋の自覚は、相手が成人してからになります。
的中率100%の占い師ですが、運命の相手を追い返そうとしたら不器用な軍人がやってきました
水凪しおん
BL
煌都の裏路地でひっそりと恋愛相談専門の占い所を営む青年・紫苑。
彼は的中率百パーセントの腕を持つが、実はオメガであり、運命や本能に縛られる人生を深く憎んでいた。
ある日、自らの運命の相手が訪れるという予言を見た紫苑は店を閉めようとするが、間一髪で軍の青年将校・李翔が訪れてしまう。
李翔は幼い頃に出会った「忘れられない人」を探していた。
運命から逃れるために冷たく突き放す紫苑。
だが、李翔の誠実さと不器用な優しさに触れるうち、紫苑の頑なだった心は少しずつ溶かされていく。
過去の記憶が交差する中、紫苑は李翔の命の危機を救うため、自ら忌み嫌っていた運命に立ち向かう決意をする。
東洋の情緒漂う架空の巨大都市を舞台に、運命に抗いながらも惹かれ合う二人を描く中華風オメガバース・ファンタジー。
ざまぁされたチョロ可愛い王子様は、俺が貰ってあげますね
ヒラヲ
BL
「オーレリア・キャクストン侯爵令嬢! この時をもって、そなたとの婚約を破棄する!」
オーレリアに嫌がらせを受けたというエイミーの言葉を真に受けた僕は、王立学園の卒業パーティーで婚約破棄を突き付ける。
しかし、突如現れた隣国の第一王子がオーレリアに婚約を申し込み、嫌がらせはエイミーの自作自演であることが発覚する。
その結果、僕は冤罪による断罪劇の責任を取らされることになってしまった。
「どうして僕がこんな目に遭わなければならないんだ!?」
卒業パーティーから一ヶ月後、王位継承権を剥奪された僕は王都を追放され、オールディス辺境伯領へと送られる。
見習い騎士として一からやり直すことになった僕に、指導係の辺境伯子息アイザックがやたら絡んでくるようになって……?
追放先の辺境伯子息×ざまぁされたナルシスト王子様
悪役令嬢を断罪しようとしてざまぁされた王子の、その後を書いたBL作品です。
S級エスパーは今日も不機嫌
ノルジャン
BL
低級ガイドの成瀬暖は、S級エスパーの篠原蓮司に嫌われている。少しでも篠原の役に立ちたいと、ガイディングしようとするが拒否される日々。ある日、所属しているギルドから解雇させられそうになり、焦った成瀬はなんとか自分の級を上げようとする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる