43 / 57
第四十三話 仕舞っておくもの
しおりを挟む
山々の木々は芽吹きによって柔らかく美しい、どんよりとした空だが暖かであった。
「ツーツーチィ! ツーツーチィ! ジジジジ……」
「だ、四十雀だで、今日はまた随分近くに居るだな」
「ほう、あれは中々珍しい種類だぞ。足音をたてずにそろりと行って見るが良い、そろりとな」
「珍しい種類だか? 何か違うだか?」
「あぁ、一見の価値は大いにある」
「んだか、ちっと見に行ってくるだで」
言われた通り外に出れば周囲を見渡しその姿を探した。
「ん? 何処だ?」
「ツーチィ! ツーツーチィ!」
「だ?」
「ジジジジ…… ツーツーチィ!」
「後ろ?」
「つーつーちぃ!」
「だぁぁぁ! 騙された!」
四十雀の声の主は山人と三助であった。二人は腹を抱えながら走り去りそのまま鍛錬へと向かったのである。
「……、……大人のする事でねえ……」
藤の花が咲き始めれば田には水が張られ、畑でも種まきが行われる。川では魚の活性も上がり漁師も大忙しとなるのだ。すずも湯屋の仕事が終われば、大集落を手伝いに行くのである。
「んでは、五作さん明日も又来るだで」
「おすずちゃん助かるよ」
「良いだよ、旨そうな山女魚貰っただで、藤十郎様さ届けるだ」
「そうか、喜んでくれると良いな」
「絶対に喜ぶだよ」
湯屋へと戻る前に藤十郎の家を訪ねたのは、饅頭を作ってもらう約束があったからだ、手土産の山女魚を持って行けば藤十郎も琴も大喜びである。
「まぁ、有難う」
「夕餉に食べてな」
「すまんな」
「お饅頭のお礼だで」
夕餉の支度までには未だ早い事もあって、花湯を入れて貰えば、縁台で足をぶらぶらとさせながら、饅頭を頬張っていた。
「はぁぁ……一仕事の後の饅頭さ、また格別だな……おら、生き返って良かっただよ」
「本当ね、本当に良かった」
「あぁ、あの時は頭の中が真っ白になったからな……現実とは思えなかったよ」
「私は心の臓が止まるかと……」
「……驚かせてすまねえだ……」
「まぁ、しかしなんだ、あの時の小平太殿の表情は忘れられんな」
「そうね」
「だ……なんだで……どんなんだ?」
当然ながら死んだ直後の事は知らないし、誰からも聞いていなかった。藤十郎は見たままの状況を語ったのである。
「背から降ろし、おすずちゃんを正面に抱えた時はな……、……もう、見ていられなかったのだぞ」
「だ……」
「大粒の涙がな……感情は殺しているものかと思っていたからな……」
「……小平太様が……おらの為に……泣いてくれただか……、……」
「そうね、笑顔で逝ったのか、見事な最期だってね……」
「あぁ、そうだな……おっと、この話はここだけぞ」
「……んだか……んだな、おら今の話さ胸の中に仕舞っておくだよ」
藤十郎と琴は深く頷くと、笑顔を見せていた。
「そうだな、仕舞っておくと良い」
「そう言えば小平太様に背負われていた時の記憶はあるの?」
そこは全てを覚えていた、交わした言葉の数々も、背中の心地よさもすべてである。
「勿論あるだよ、死ぬ寸前まで色んな話さしただよ」
「そうか」
「最後にお礼さ言ったら、指が折れてねえ左の手を握ってくれたんだ。ん? そう言えば最後の最後に不思議なこと言ってただな……」
「ん?」
「必ず迎えに行くからなって言ってただよ……どういう事だで、おら死んじまうのに何処さ迎えに行くつもりだったがかな」
藤十郎と琴は顔を見合わせて互いに目を細めた。
「おすずちゃんが居なければ精霊の力が無いからな……死力を尽くし邪神と刺し違える覚悟をしたのだよ」
「し、死んで迎えに来る話だっただか……」
「そうだな」
「だ……だども……おらが居なくても神様が居るから大丈夫だって言ってただよ」
「おすずちゃんを安心させる為に、そう言ったに違いない……恐らくは悟られぬ為に自身にもそう言い聞かせたのだろうな……」
「……んだか……おらの事安心させるために……」
間もなく陽も傾けば夕餉の支度をするべき刻となった。湯のみをそっと置くと深々とお辞儀をしてから残りの饅頭を大事そうに抱えて湯屋へと帰ったのであった。
次々と守り人達が帰り始めれば、大台所も賑やかとなった。
「おすずよ、明日の朝、徳さん達と共に屋敷に上がるぞ」
「だ、屋敷って何の用だでか」
「この前の宝の件だ。褒美を賜る事となった」
それは山菜を採りに行った帰りに見つけた、盗賊と宝の件である、笹もそうだが、事の始まりに関わりを持った徳蔵と玄太にも褒美があるという。
屋敷に上がれば、徳蔵と小平太以外の三人は緊張に包まれ微動だにしなかった。
「ならば皆、すずが望む物で良いのだな」
すずは驚いて皆を見るも、決まってしまえば成す術もない。
「という訳だ、すずよ望む物を申すが良い」
「だ……だ……あだ、あだ、どうすんだこれ……」
個人的に欲しいものはない、と言うより見つからない。宝の類を貰ってもどうにもならないし、食べ物や道具なども必要に充分である。ならば足りないものとなれば、徳蔵が足りるかどうか気にしている外傷に必要となる道具類となる。
「……、……したら、大厄災で刀傷さ治す為に足りねえ物が欲しい……いや望みにございますだ」
「ん?」
「大厄災で守り人の皆が怪我さしたら徳蔵さんが治すだで、だどもいつも足りるかどうか気にしてるだで……それが望みにございますだ」
「お、おすずよ……それで良いのか」
徳蔵は驚いてすずを見ていた。本人が何を望むか解りようも無かったが、まさかそれらを望むとは思いもしなかったのだ。
「ほう、流石は神童だな、ならば徳蔵よ必要な物を後程知らせてくれるか」
「ははっ! 有難き幸せに」
すずが望んだもの以外にも、一人ずつ立派な短刀の守り刀を頂戴していた。皆はそれを手に満足気である。
「しかし、誠良かったのか?」
「徳蔵さんが望む物さ、皆の為の物だで、したらおらが欲しいのはそれだよ」
「偉いぞおすず」
「しかし、金銀財宝の宝も捨てがたかったの」
「おら宝ものさいっぱい持ってるだで十分だ」
「ん? そのような物見当たらぬが?」
「おらの胸の中だで見えねえだよ」
「ほう、心に宝を持っていたか、良い事だ」
すずは満面の笑みで小平太を見上げていた。
「そん中でも、飛び切りの宝もあるだよ」
「ん? それはなんだ?」
そう聞きつつ徳蔵は背を屈めすずの顔を覗き込んでいた。
「だ、大事に仕舞ってあるだで、誰にも教えられねえ……」
「そうか、しかし儂にだけそっと聞かせてはくれぬか? 自慢ではないが口は堅いぞ」
「だ……徳蔵さんには、口が裂けても言わねえだ……」
「ちっ」
「ツーツーチィ! ツーツーチィ! ジジジジ……」
「だ、四十雀だで、今日はまた随分近くに居るだな」
「ほう、あれは中々珍しい種類だぞ。足音をたてずにそろりと行って見るが良い、そろりとな」
「珍しい種類だか? 何か違うだか?」
「あぁ、一見の価値は大いにある」
「んだか、ちっと見に行ってくるだで」
言われた通り外に出れば周囲を見渡しその姿を探した。
「ん? 何処だ?」
「ツーチィ! ツーツーチィ!」
「だ?」
「ジジジジ…… ツーツーチィ!」
「後ろ?」
「つーつーちぃ!」
「だぁぁぁ! 騙された!」
四十雀の声の主は山人と三助であった。二人は腹を抱えながら走り去りそのまま鍛錬へと向かったのである。
「……、……大人のする事でねえ……」
藤の花が咲き始めれば田には水が張られ、畑でも種まきが行われる。川では魚の活性も上がり漁師も大忙しとなるのだ。すずも湯屋の仕事が終われば、大集落を手伝いに行くのである。
「んでは、五作さん明日も又来るだで」
「おすずちゃん助かるよ」
「良いだよ、旨そうな山女魚貰っただで、藤十郎様さ届けるだ」
「そうか、喜んでくれると良いな」
「絶対に喜ぶだよ」
湯屋へと戻る前に藤十郎の家を訪ねたのは、饅頭を作ってもらう約束があったからだ、手土産の山女魚を持って行けば藤十郎も琴も大喜びである。
「まぁ、有難う」
「夕餉に食べてな」
「すまんな」
「お饅頭のお礼だで」
夕餉の支度までには未だ早い事もあって、花湯を入れて貰えば、縁台で足をぶらぶらとさせながら、饅頭を頬張っていた。
「はぁぁ……一仕事の後の饅頭さ、また格別だな……おら、生き返って良かっただよ」
「本当ね、本当に良かった」
「あぁ、あの時は頭の中が真っ白になったからな……現実とは思えなかったよ」
「私は心の臓が止まるかと……」
「……驚かせてすまねえだ……」
「まぁ、しかしなんだ、あの時の小平太殿の表情は忘れられんな」
「そうね」
「だ……なんだで……どんなんだ?」
当然ながら死んだ直後の事は知らないし、誰からも聞いていなかった。藤十郎は見たままの状況を語ったのである。
「背から降ろし、おすずちゃんを正面に抱えた時はな……、……もう、見ていられなかったのだぞ」
「だ……」
「大粒の涙がな……感情は殺しているものかと思っていたからな……」
「……小平太様が……おらの為に……泣いてくれただか……、……」
「そうね、笑顔で逝ったのか、見事な最期だってね……」
「あぁ、そうだな……おっと、この話はここだけぞ」
「……んだか……んだな、おら今の話さ胸の中に仕舞っておくだよ」
藤十郎と琴は深く頷くと、笑顔を見せていた。
「そうだな、仕舞っておくと良い」
「そう言えば小平太様に背負われていた時の記憶はあるの?」
そこは全てを覚えていた、交わした言葉の数々も、背中の心地よさもすべてである。
「勿論あるだよ、死ぬ寸前まで色んな話さしただよ」
「そうか」
「最後にお礼さ言ったら、指が折れてねえ左の手を握ってくれたんだ。ん? そう言えば最後の最後に不思議なこと言ってただな……」
「ん?」
「必ず迎えに行くからなって言ってただよ……どういう事だで、おら死んじまうのに何処さ迎えに行くつもりだったがかな」
藤十郎と琴は顔を見合わせて互いに目を細めた。
「おすずちゃんが居なければ精霊の力が無いからな……死力を尽くし邪神と刺し違える覚悟をしたのだよ」
「し、死んで迎えに来る話だっただか……」
「そうだな」
「だ……だども……おらが居なくても神様が居るから大丈夫だって言ってただよ」
「おすずちゃんを安心させる為に、そう言ったに違いない……恐らくは悟られぬ為に自身にもそう言い聞かせたのだろうな……」
「……んだか……おらの事安心させるために……」
間もなく陽も傾けば夕餉の支度をするべき刻となった。湯のみをそっと置くと深々とお辞儀をしてから残りの饅頭を大事そうに抱えて湯屋へと帰ったのであった。
次々と守り人達が帰り始めれば、大台所も賑やかとなった。
「おすずよ、明日の朝、徳さん達と共に屋敷に上がるぞ」
「だ、屋敷って何の用だでか」
「この前の宝の件だ。褒美を賜る事となった」
それは山菜を採りに行った帰りに見つけた、盗賊と宝の件である、笹もそうだが、事の始まりに関わりを持った徳蔵と玄太にも褒美があるという。
屋敷に上がれば、徳蔵と小平太以外の三人は緊張に包まれ微動だにしなかった。
「ならば皆、すずが望む物で良いのだな」
すずは驚いて皆を見るも、決まってしまえば成す術もない。
「という訳だ、すずよ望む物を申すが良い」
「だ……だ……あだ、あだ、どうすんだこれ……」
個人的に欲しいものはない、と言うより見つからない。宝の類を貰ってもどうにもならないし、食べ物や道具なども必要に充分である。ならば足りないものとなれば、徳蔵が足りるかどうか気にしている外傷に必要となる道具類となる。
「……、……したら、大厄災で刀傷さ治す為に足りねえ物が欲しい……いや望みにございますだ」
「ん?」
「大厄災で守り人の皆が怪我さしたら徳蔵さんが治すだで、だどもいつも足りるかどうか気にしてるだで……それが望みにございますだ」
「お、おすずよ……それで良いのか」
徳蔵は驚いてすずを見ていた。本人が何を望むか解りようも無かったが、まさかそれらを望むとは思いもしなかったのだ。
「ほう、流石は神童だな、ならば徳蔵よ必要な物を後程知らせてくれるか」
「ははっ! 有難き幸せに」
すずが望んだもの以外にも、一人ずつ立派な短刀の守り刀を頂戴していた。皆はそれを手に満足気である。
「しかし、誠良かったのか?」
「徳蔵さんが望む物さ、皆の為の物だで、したらおらが欲しいのはそれだよ」
「偉いぞおすず」
「しかし、金銀財宝の宝も捨てがたかったの」
「おら宝ものさいっぱい持ってるだで十分だ」
「ん? そのような物見当たらぬが?」
「おらの胸の中だで見えねえだよ」
「ほう、心に宝を持っていたか、良い事だ」
すずは満面の笑みで小平太を見上げていた。
「そん中でも、飛び切りの宝もあるだよ」
「ん? それはなんだ?」
そう聞きつつ徳蔵は背を屈めすずの顔を覗き込んでいた。
「だ、大事に仕舞ってあるだで、誰にも教えられねえ……」
「そうか、しかし儂にだけそっと聞かせてはくれぬか? 自慢ではないが口は堅いぞ」
「だ……徳蔵さんには、口が裂けても言わねえだ……」
「ちっ」
0
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら
俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。
赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。
史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。
もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。
天竜川で逢いましょう 〜日本史教師が石田三成とか無理なので平和な世界を目指します〜
岩 大志
歴史・時代
ごくありふれた高校教師津久見裕太は、ひょんなことから頭を打ち、気を失う。
けたたましい轟音に気付き目を覚ますと多数の軍旗。
髭もじゃの男に「いよいよですな。」と、言われ混乱する津久見。
戦国時代の大きな分かれ道のド真ん中に転生した津久見はどうするのか!!???
そもそも現代人が生首とか無理なので、平和な世の中を目指そうと思います。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる