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4 入園式
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4 入園式
咲良先生にとっては初めての入園式,子どもと同じようにそわそわしてしまう。受付係だけど,どうやって会話をしたらいいのだろう,来た方を来賓と保護者別に分けて参加名簿に○印をして,式次第等を渡す。これは,職員会で咲良先生が受付係と決まった時に聞かされたこと,でも,初めての方とどうやって話をしたら良いのかが不安だった。
「こんにちは,こちらが来賓名簿でこちらが保護者です」
咲良先生は名簿に○印をしてから必要なものをお渡ししていたら,困ったことが起きた。
「お疲れ様,時間がないから貰って行きます。○印をしといてください」
どちら様でしょうか,この言葉が失礼に当たるかもと思っている間に受付から離れ会場に行ってしまった。きっと,知っていて当然の方なんだろうけど,初めての咲良先生はわからない。
(ま,いいか,最後に残った所に丸印をしよう)
「咲良先生,名簿見せて,あら,大事な人が来てないね,式を延ばすように連絡するから,咲良先生,もう少し受付けお願いね」
「はい,わかりました」
(大事な人ってだれだろう・・・・・・・・・)
すぐに,その先生は戻ってきて,
「そうして○印しなかったの,来てるでしょ,もう,しっかりして咲良先生」
さっき○印をしないで通りすぎた方は,園の理事長だった。園長はいつも園にいるので知っていたけど,理事長は忙しいため,会っていなかったのだ。
さて,式場に行くと担任クラスの星組の子ども達は落ちつきのない動きや私語,となりとふざけていた。
「咲良先生,ちゃんと子ども達に行ったの! 今から始まるのよ」
主任の真理先生は,式が始まれば静かになることが多いから,ここでは子どもを見守るように言われた。受付係をするので健康観察をして子ども達に話して行ってしまった。しかも,後から咲良先生は入ってきたので子ども達は咲良先生が見えない。
どうしよう・・・・・・・・・・・・・・・・
「園長先生のお話です。」
園長先生が入学のお祝いの言葉を話し出しても星組の子ども達は顔を見合わせて,クスクス笑っている。とうとう司会の先生が,注意をした。
「星組のみなさん,静かに!」
星組の園児は静かになったが,またすぐに園長先生の話を聞かず,自分達の世界に入ってクスクス笑ったり,隣の子を突いたり,落ち着きがない。司会の先生は,さらに語気をあげて,
「星組さんだけが,ちょっとにぎやかですよ!園長先生のお話を聞きましょう!!」
咲良先生は,もうじっとしていられなくなった。ポケットから咲良人形を取り出して笑顔いっぱいにして星組の前に行って話した。
「園長先生,みんなにいいお話をしてくれるよ,はい,手をグー,高く上げて,その手を静かに,ほらここ,ももの上にのせましょう,みんなじょうずだね,みんなにどんないいお話をしてくれるか聞こうね,楽しみだね」
咲良先生は短い時間だけど,手遊びで気分転換を園児にさせたのだ。そして,叱るのではなく,期待感を持たせたのである。
星組の園児は,何回注意しても落ち着かなかったが,咲良人形の魔法の言葉で,みんな園長先生のお話を目で聞き続けた。
式が終わって,式の最中に子ども達に話しかけたことを真理先生に注意されたが,咲良先生は,園児の話を聞く習慣を身につけさせることの大切さを痛感した。
咲良先生にとっては初めての入園式,子どもと同じようにそわそわしてしまう。受付係だけど,どうやって会話をしたらいいのだろう,来た方を来賓と保護者別に分けて参加名簿に○印をして,式次第等を渡す。これは,職員会で咲良先生が受付係と決まった時に聞かされたこと,でも,初めての方とどうやって話をしたら良いのかが不安だった。
「こんにちは,こちらが来賓名簿でこちらが保護者です」
咲良先生は名簿に○印をしてから必要なものをお渡ししていたら,困ったことが起きた。
「お疲れ様,時間がないから貰って行きます。○印をしといてください」
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「はい,わかりました」
(大事な人ってだれだろう・・・・・・・・・)
すぐに,その先生は戻ってきて,
「そうして○印しなかったの,来てるでしょ,もう,しっかりして咲良先生」
さっき○印をしないで通りすぎた方は,園の理事長だった。園長はいつも園にいるので知っていたけど,理事長は忙しいため,会っていなかったのだ。
さて,式場に行くと担任クラスの星組の子ども達は落ちつきのない動きや私語,となりとふざけていた。
「咲良先生,ちゃんと子ども達に行ったの! 今から始まるのよ」
主任の真理先生は,式が始まれば静かになることが多いから,ここでは子どもを見守るように言われた。受付係をするので健康観察をして子ども達に話して行ってしまった。しかも,後から咲良先生は入ってきたので子ども達は咲良先生が見えない。
どうしよう・・・・・・・・・・・・・・・・
「園長先生のお話です。」
園長先生が入学のお祝いの言葉を話し出しても星組の子ども達は顔を見合わせて,クスクス笑っている。とうとう司会の先生が,注意をした。
「星組のみなさん,静かに!」
星組の園児は静かになったが,またすぐに園長先生の話を聞かず,自分達の世界に入ってクスクス笑ったり,隣の子を突いたり,落ち着きがない。司会の先生は,さらに語気をあげて,
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「園長先生,みんなにいいお話をしてくれるよ,はい,手をグー,高く上げて,その手を静かに,ほらここ,ももの上にのせましょう,みんなじょうずだね,みんなにどんないいお話をしてくれるか聞こうね,楽しみだね」
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