おいでませ異世界!アラフォーのオッサンが異世界の主神の気まぐれで異世界へ。

ゴンべえ

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055 新しい能力

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この世界には魔法がない。
正確にはファンタジーっぽい極大魔法がない。
せいぜいファイアーボールくらいの攻撃魔法が上限だ。
だから魔法を使える者は多くない。
適性のある人間か、種族的に適性のある亜種族くらいしかいないのだ。

その代わりにスキルがある。
そしてアーツと呼ばれる特殊な武技がある。

例えば非力な人間が居たとしよう。
その人間が身体強化のスキルを使い、合わせて貫通のアーツを発動したらどうなるか。
岩盤をも素手で打ち砕く程の破壊力を得る事ができる。

つまりスキルやアーツは魔法と同等かそれ以上の威力があるのだ。

という訳で、俺はリオン、ハンゾウ、エルフ族の青年達を召集した。
レベルアップしたゲノムカスタマイズクリエイトで彼等をパワーアップするためだ。

「本当にメタルゴーレムを倒せるようになるのですか?」

リオンが不可思議そうに言った。
俺は椅子に座ったリオンの心臓部位に手を当ててゲノムカスタマイズクリエイトで解析を行っている。

傍から見れば子供がお医者さんごっこでもしているような光景だろう。
だが、俺の真剣な表情を見て誰も茶々を入れる気配がない。
むしろ本気度を感じ取って緊張感すら漂い始めている。

「僕を信用しろ。出来ない事を言って僕に利益があると思うか?」

「いいえ。もちろん私は坊ちゃんの事を信用しています」

「だったら何が起きても取り乱すな」

「承知いたしました」

リオンは薄い唇をキュッと結んで俺に身を任せた。
覚悟が伝わってくる。
本当に俺を信用していると感じ取れるほどに。

リオンを解析し終えると様々な事が判明した。
レベルアップした俺の能力は飛躍的に向上している。
そのためエルフィネス国王と同じく、いや、それ以上に対象の実力を綿密に把握する事ができる。

「リオン。お前はエルフィネス国王に匹敵する才能があるようだぞ」

お世辞ではなく本当の事だ。
俺も解析してビックリしている。
リオンの身体能力が高いのは知っていたが。
まさか伝説の剣士であるエルフィネス国王に匹敵する能力があるとは驚かされた。

「まさか、冗談でしょう」

さすがにリオンも疑った。
リオン自身もエルフィネス国王との実力差を痛感している。
その圧倒的な頂きにいる実力者と肩を並べる才能と言われてもピンと来ないのだろう。

「本当さ。今からそれを証明してやるよ」

「え?証明ですか?」

訳が分からないとリオンは困惑した。
俺は構わずリオンの胸板に手を当てたままゲノムカスタマイズクリエイトを発動する。

「解放」

告げると同時にリオンの身体から光がほとばしった。
スパークのような一瞬の閃光が走る。
同時にキンッという綺麗な高音が鳴った。
まるでガラスか金属が割れたような美しい音色だ。

「えっ!えっ?」

リオンは困惑した。
我が身に起こった現象を感じ取って思考と判断が追いつかない様子だ。
だが俺には手に取るようにわかる。
現段階で底上げ可能な潜在能力が引き上げられた事が。
数値にして1.75倍ほど跳ね上がっているのだ。

「これは……身体から力が漲ってくる」

リオンは拳を握り締めた。
その感覚で明らかな違いを感じ取る。
自身の力が飛躍的に増したことを確信したらしい。
驚きの眼差しで俺を見てくる。

「まだだ、これからが本番だぞ」

そう言いつつ少し緊張した。
というのも、これから使う能力は神託の騎士の称号を受けて授かった権能だからだ。

「いくぞ、覚醒!」

告げると同時にリオンの身体から光がほとばしった。
スパークのような一瞬の閃光が走る。
またしてもキンッという綺麗な高音が鳴った。
どうやら成功を告げる効果音のようだ。

《個体名リオンがスキル【瞬速】【先見眼】を獲得。アーツ【イリュージョンダンス】【闘気術】【草薙の剣】を獲得しました》

どこからともなくアナウンスが聞こえた。
これでリオンはスキルとアーツを獲得したのだ。
本来なら長い修行の果てに獲得すべき能力なのだが。
俺の能力を使えば強制的に獲得させる事ができる。
ただし覚醒の対象者が将来獲得する可能性があるスキルとアーツのみだ。

「嘘でしょ……いったい何をしたんです?」

信じられないとリオンが問いかけてきた。
まず起こり得ない現象だ。
困惑するのも無理はない。

「これが僕の能力って事さ。言ったろ、僕を信用しろって」

「いえ、坊ちゃんを疑ってるわけでは……ただ、あまりに信じ難い事なので」

我が身に起きた現象を未だに受け止めきれないようだ。
俺は困惑するリオンを放置して待機しているハンゾウに近づく。

「というわけだ。覚悟はいいな?」

「御意。ご存分に」

ハンゾウは臆せずに身を委ねた。
俺はハンゾウの胸板に手を当ててゲノムの解析を始める。

するとハンゾウの潜在能力はズバ抜けて高かった。
やはりオーガだけに基本能力が高い。
そこに潜在能力の引き上げを行えば。
エルフィネス国王の親衛隊や近衛兵と互角の力量を得るに至る可能性があった。

「解放」

さっそく潜在能力の引き上げを行った。
現時点で解放可能な潜在能力を目一杯に。
すると1.58倍ほど数値が跳ね上がった。
残念ながらエルフィネス国王の親衛隊や近衛兵には及ばない力量だ。

「なんと……力が溢れてくるようだ」

自身の変化に驚くハンゾウ。
俺は構わず続けざまに能力を発動した。

「覚醒!」

閃光が走ると共にアナウンスが聞こえた。

《個体名ハンゾウがスキル【鬼瓦】【剛力】固有スキル【魂喰い】を獲得。アーツ【鬼通し】【厳鉄砕】を獲得しました》

ハンゾウも強力なスキルとアーツを獲得したようだ。
特に固有スキル【魂喰い】はとんでもない能力を持っている。
というのも対象のスキルとアーツを強奪できるからだ。
もっとも奪えるだけで確実に自分が使える訳ではないようだが。

「驚きました。まさかこれほどの力を得られようとは思いもしませんでした」

「ハンゾウは固有スキルを獲得したからね。リオンでさえ獲得できなかったのに凄い事だよ。まあ、リオンは獲得条件に達してないようだけどね」

「そうなのですか?では、ますます精進しなければ!」

急激な成長を実体験して鍛錬に一層の気合いが入りそうだ。
とはいえ、まだ終わった訳じゃないんだけど。

「まあいいか。先に彼等をパワーアップさせよう」

俺は期待に胸膨らませるエルフ族の青年達を手招きしたのだった。
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