キスで隷属化するFPSの異世界転生化〜生身がほしいAI美女からモテまくる!?〜

山本いちじく

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 潮風が吹き抜けた。
 バーンナウトシティの喧騒を離れ、ユウマとシルフィは無人の海岸に立っていた。
 白い波が砕け、濡れた砂が足元に沈む。
 水平線の向こうに、黒い島影がぼんやりと揺れている。
 ――そこが、Sランク限定バトルロワイヤル《神の島》。

 「今日もいくわよ」
 シルフィがショットガンを構える。
 ユウマはM4のチャージを確かめ、軽く頷いた。
 その瞬間、砂浜の奥から銃火が走る。
 乾いた連射音。砂煙の中から現れたのは、全身黒装束の三人組――Sランクの手練れチーム。

 「初っ端から歓迎ってわけか」
 ユウマがスライディングで身を伏せ、M4を構える。
 敵はすでに照準を合わせていた。
 「ユウマ、右に二、左に一!」
 「了解!」

 最初の閃光弾が炸裂。
 砂と光が舞い、視界が真白に染まる。
 ユウマは目を閉じ、耳と反射神経だけで動いた。
 敵の足音を“聴き”、トリガーを引く。
 M4が吠え、パンパンパンッと三連射でヘッドショット。
 「ワン・ダウン」

 同時にシルフィが跳躍。
 砂を蹴り、空中で身体を回転。
 ショットガンの弾丸を二連続で放つ。
 至近距離の敵のアーマーが爆ぜ、煙を上げて倒れる。

 残り一人――リーダー格。
 スナイパーライフルを携え、波打ち際を素早く移動していた。
 反応速度が尋常じゃない。
 スキルが無効化されたこのルールで、ここまで精密に動くとは。
 「やるな……」ユウマが呟く。
 「さすが相手も Sランク」
 シルフィが歯を食いしばる。

 砂を蹴る。
 二人同時に飛び出す。
 ユウマが真正面から牽制射撃。
 シルフィは波間を駆け、側面へ回り込む。
 敵がスコープを構えた瞬間――シルフィが叫ぶ。
 「今よ!」
 ユウマが銃口を跳ね上げ、一気に距離を詰めた。
 M4の銃床が閃光のように敵の顎を打ち抜く。
 反射的に放たれた一発がシルフィの頬をかすめたが、構わず踏み込む。

 「終わりだ!」
 ユウマが敵の銃を蹴り上げ、シルフィが背後から撃ち抜く。
 爆風の中、リーダーが膝をついた。

 ――勝利。
 海岸に静寂が戻る。
 波と銃声の残響だけが、まだ空気に漂っていた。

 「……息はぴったりね」
 シルフィが息を弾ませて笑う。
 「スキルなんて関係ない。お前の動きは、身体にしみついてるよ」
 その言葉に、彼女の表情が少しだけ揺れる。
「その嘘、本当?……敵も強いわよ」
「最大の敵は、自分だよ。油断せずにいこう」
 ユウマの声が静かに響く。

 シルフィは答えず、そっと彼の胸に手を当てた。
「シルフィ、だから、油断はダメだって」
 熱が伝わる。金属ではなく、生身の温度。
「お願い。証明して――」
ヘルメットを外した彼女の唇が触れる。
 んんんっ。
 艶かしい舌がちゅるんと絡みつく。
 戦場の真ん中、爆薬と潮の匂いの中で。
 銃火を背に、二人は互いの存在を確かめ合った。

 その時、地平線の向こうから低い爆音。
「ハッキング解析があれば、何かみつけられそうなのに」
「そうだな。島が広すぎる。なんの手がかりもないしな」
 手がかりを求めて手に取ったマグナ=ヘリクスがよく見ると赤く光っていた。
「なんだ?この光は」
 マグナ=ヘリクスの銃身の奥から光があふれ出す。
 特定の方向に動かすと光が強くなる。
 「……こっちに何かあるのか?」
 「ええ。行ってみましょう」

 二人は歩き出した。光が強くなる先に。
 崩れた岩場の先に、もう片方のマグナ=ヘリクスが転がっていた。
 銃の下には、冷たいメモリチップ。
 シルフィが拾い上げ、HUDに投影する。

 > 《地上の星:研究記録》
 > 《熊鬼繁殖プロジェクト/被検体No.α・紅鬼》
 > 《研究所:マンハッタンシティ・バイオラボ》
 > 《研究者:ガナン・ソニクル、サナ・ソニクル》

 > 《地上の星:バーンナウトシティ沖 研究施設 座標 690721:10005:109》


 「……熊鬼を、繁殖させてる?」
 「しかもマンハッタンシティ……お前の故郷だろ」
 シルフィの瞳が揺れる。
 「……まさか、私の両親の研究施設……ガナンとサナは、両親の名前よ」
 ユウマは彼女の肩に手を置く。
 「フィーンもここで何かを掴んだ」

 次の瞬間、視界が白くフラッシュする。
 耳の奥で低いシステム音が響いた。

 > 《ランク申請:取り消し》
 > 《Sクラスフィールドへのアクセスを禁止します》

 「取り消し!? そんなの不公平よ!」
 「地上の星だ。俺たちが真実に触れたから、消しにきた」
 波が荒れる。シルフィが泣きそうな声で言う。
 「ユウマ……怖い」
 「大丈夫。これからが本当の戦場だ」

 HUDがノイズを走らせる。
 > 《――Unknown Access》
 > 《対象:ユウマ/シルフィ》

 シルフィが息を呑む。
 「誰かが見てる……AIじゃない」
 ユウマは銃を構え直し、海の向こうを睨む。
 「――地上の星、上等だ。逃げんなよ」

 その言葉を最後に、光がふたりを包み込んだ。

 > 《Sクラス剥奪完了――強制リタイア》

 ロビーへと転送される直前、シルフィがユウマの手を握る。
 「ユウマ……離さないで」
 「離すもんか」

 光が弾けた。
 ――地上の星との戦いがついに始まった。
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