オレたちの夏 【時々番外編を更新】

アキノナツ

文字の大きさ
13 / 15
オレたちの季節

6、【SS】夜桜

しおりを挟む

桜見てたら……書いてみました(^-^)


ーーーーーー



『あー、降ってますね…』と駅舎の軒から空を見上げる。
夜なんで黒い空しかありません。
結構な雨量である。
傘、持ってきてません。
確かチカに折りたたみぐらい入れてけて言われてた気はするが……後の祭り。
ドドーンとシメの太鼓の音を脳内で鳴らしてもこの状況がどうこうなる訳ではない。

んー、傘買うか。
コンビニは、ココをちょっと駆けて行けばあるんだが、確実に濡れる。
あー、濡れたくない。
正確には背広を濡らしたくない。

……おっ!
いい事思いついたぁ~。
いそいそと背広を脱ぎにかかると、肩にトンと手が置かれた。

「サブ何してる?」
バリトンボイス。
「おお、チカ。濡らすの嫌だから、脱いで鞄に仕舞えば行けるなって。そこのコンビニまで」
ニカッと笑って大きなオレの恋人に報告。
ため息吐かれたがな。

「濡れたら、透け、、、なんでもない。傘だな。入れ」
大きなジャンプ傘が開く。
「透け?」
「早く入れ」
なんだか赤い顔して怒ってる。
上着を整えて、チカの横に入る。
ピタッと引っ付く。
身長差からピッタリくっついてないと濡れる。やっぱり上着脱げば良かったか?

チカが温かい。
近いとそれを感じる。チカが側にいるだけで幸せ気分。
春になったとはいえ、まだ冷える。
この雨だって冷たい。

無事ビニール傘を買って一緒に帰路に。

住宅街を通り抜けて暫く行った先がオレたちの愛の巣。愛の巣だよ!

「サブ、こっち回って帰らないか?」
雨の中、不思議な事を言うチカ。
「おう、いいぜ」
遠回りコース。

ーーーー嗚呼、なるほど…。

ここは桜並木が続く通り。
住宅街から少し離れた公園の一部。

バツバツと雨粒が打ちつける。
オレのビニール傘は、雨で散らされた花びらが幾つも張り付いてる。
端のひと片を摘みとる。
街灯の灯りに白く浮かぶ。
桜がゆらゆらとビニール越しに揺らいで見える。

雨だからだろうか。
人影がない。
チカと二人だけ。二人締めだ。

「綺麗だな」
「満開って言ってたのに。この雨だと週末まで持たないかと思って」
傘をちょっと上げて、隙間から見てる。

「チカ。それ閉じてこっち入れ。ビニール越しだけど、綺麗だぞ」
上着は濡れたら、干しとけばいい。
チカが含羞みながら入って来る。
「本当だ。キラキラしてて綺麗だね」

大きな身体を小さくしてくっついて歩く。
見上げる。チカがいる。るんるんだ。
チカを桜と一緒に見てると、変な気分になってきた。
夜桜は人を狂わせると言ったお話はよくあるが、本当かも知れない。
綺麗だ。

夜桜が雨に濡れて、街灯が途切れたところで、チカの背広の襟を掴み引き寄せる。ググッと背伸びして一瞬だったが唇を掠るように合わせた。

「桜に酔った」
真っ赤な顔のチカが口元を手で覆ってる。
俺は頭を掻きながら、照れ隠し。

『チカに酔った』
本音はこっち。

「週末はお弁当持って花見しようか」
チカがなんとか立ち直ってるが、艶っぽくて敵わん。
早く帰ろう…。




ーーーーーーー

夜桜は何かゾクゾクしますね。
月明かりに桜。写真より絵画の方が惹き込まれます。
書き手の想いとかが反映されてるのでしょうか。
肉眼で見る夜桜は、桜の木そのもののエネルギーのようなものが迫ってきます。ちょっと苦手です(⌒-⌒; )

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】社畜の俺が一途な犬系イケメン大学生に告白された話

日向汐
BL
「好きです」 「…手離せよ」 「いやだ、」 じっと見つめてくる眼力に気圧される。 ただでさえ16時間勤務の後なんだ。勘弁してくれ──。 ・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・: 純真天然イケメン大学生(21)× 気怠げ社畜お兄さん(26) 閉店間際のスーパーでの出会いから始まる、 一途でほんわか甘いラブストーリー🥐☕️💕 ・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・: 📚 **全5話/9月20日(土)完結!** ✨ 短期でサクッと読める完結作です♡ ぜひぜひ ゆるりとお楽しみください☻* ・───────────・ 🧸更新のお知らせや、2人の“舞台裏”の小話🫧 ❥❥❥ https://x.com/ushio_hinata_2?s=21 ・───────────・ 応援していただけると励みになります💪( ¨̮ 💪) なにとぞ、よしなに♡ ・───────────・

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

魔法学校の城に囚われている想い人♡を救い出して結婚したい天才有能美形魔術師(強火執着)の話

ぱふぇ
BL
名門魔法学校を首席で卒業し、若くして国家機関のエースに上り詰めた天才魔術師パドリグ・ウインズロー(26歳)。顔よし、頭脳よし、キャリアよし! さぞかしおモテになるんでしょう? ええ、モテますとも。でも問題がある。十年越しの想い人に、いまだに振り向いてもらえないのだ。そんな片思い相手は学生時代の恩師・ハウベオル先生(48歳屈強男性)。無愛想で不器用、そしてある事情から、魔法学校の城から一歩も出られない身の上。先生を外の世界に連れ出すまで、全力求婚は止まらない! 26歳魔術師(元生徒)×48歳魔術師(元教師)

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

イケメン大学生にナンパされているようですが、どうやらただのナンパ男ではないようです

市川
BL
会社帰り、突然声をかけてきたイケメン大学生。断ろうにもうまくいかず……

僕たち、結婚することになりました

リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった! 後輩はモテモテな25歳。 俺は37歳。 笑えるBL。ラブコメディ💛 fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。

バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる

衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。 男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。 すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。 選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。 二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。 元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。

処理中です...