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本編
23】未来に向かって(上) 微※
しおりを挟む瘴気が大きく動いた。兄貴に後の事を頼んで、俺は馬の魔獣を走らせた。速い魔獣を更に速くと急き立てる。
温厚な魔獣が、驚きながらも俺のいう事を聞き入れてくれた。
夜明けと共に帰り着けた。
魔獣に労いを込めて首筋を叩いて撫でる。
ブフンと気持ち良さそうに声を上げた。
クンティンの部屋に駆け込めば、鍵が開いてる。もぬけの殻だった。
魔王ッ!
あいつは、恩人と言いつつこの仕打ちかッ!
変態野郎がッ!
エヴァンの私室に向かう。
激しいノック音に目が覚めた。
彼とまだ繋がっていた。股を広げたままで、脚が痺れてる。
身体は綺麗になってるようだけど…。お腹が重い…。
え…。精液も入ったまま? マジで?
抱きついてたエヴァンもノック音で起きたようだ。オレと目が合うと蕩けるような微笑みでキスしてくれた。うっとりと受け入れた。チロリと舌先が触れ合う。好き。
チュッと離れていく。
うわぁああああ、イケメンってなんという破壊力。
「ああ、すまない。寝てしまって…」
行為が終わったのは、夜も深まった…明け方近だったかもしれない。
あれはサムエルだ。瘴気の流れで何かあったと帰ってきたのだろう。あの流れは大きかった。結界の改良が新たな瘴気を招き入れたのだが…。やばいなぁ…。
「サムエルがきた」
「起きれるか?」
清浄魔法を掛けてくれた。
彼が抜けていくのも寂しかったが、お腹の中の彼のモノがなくなるのも更に寂しく思った。
吐息のような喘ぐ声が出てしまったのも申し訳なかった。
彼が抜ける時、感じてしまって、その上、清浄魔法がお腹の中に掛けられるのって、とっても感じてしまう…。ああん、ムズムズするよぉ~。
「どうした?」
オレの返答がないのを訝しんでる。まだ身体の奥で燻るような痺れが鎮まらない…。
「寂しくなっちゃった」
言葉にしないと伝わらないのは、よく分かったから正直に思った事を伝えた。
「また入れてあげるから…」
チュッと唇を食むようなキスをしてくる。
恥ずかしい事を言ってるのに、嬉しいと思ってしまう。
「あ、サムエル…」
激しいノックで存在を思い出した。
エヴァンがローブ羽織り、オレをベッドに押し込んだ。
扉を開けると、問答無用でサムエルの拳がエヴァンに飛んだ。
エヴァンは黙ってそれを受けて、飛ばされた。
「クンティン、無事か?!」
ベッドから目だけ出してるオレと目が合う。情事があったのは丸分かりで…。恥ずかしいったらありゃしない。
「お、ま、えぇぇええええッ!」
サムエルが強化魔法で筋力を強化した。エヴァンに向かってる。
彼は、漸く殴られた衝撃から復活したところだ。首を左右に動かしながら、起き上がってる。今度のを受けたら、不味い。
一撃目は、エヴァンはわざと受けたんだ。すまないと思ってたから。
でも、これは、結果は、同意なんだからッ。
「サムエル! 違うのッ! 好きだってオレが告白したんだッ」
「はぁあ? だからって、すぐにこういう関係ってッ。魔王ッ! 許さんッ!」
剣に手が掛かってる。拳じゃないッ。
ベッドから起き上がってサムエルを止めようと叫んだ。急に動いて身体に衝撃が…。頽れた。
「エヴァンもオレが好きだってッ。同意なんだよ。オレたち大人だから…」
言い訳が大人じゃないけど…。
しゅぅぅぅぅ…と強化魔法が解けていく。
剣からも手が離れた。
普段こんな風に言わないオレの様子に何かを感じとってくれたようだ。
エヴァンがオレに駆け寄って来てくれた。そっと寝かしてくれる。上掛けをすっぽり被せた。サムエルの目からオレを隠したいようだ。独占欲のような行動に嬉しくなった。
「同意、なんだな…。後で話をさせてくれ。俺は現場に戻る」
とぼとぼとサムエルが出ていった。扉が閉まる音がする。鍵もしまった。不思議な魔法を感じる。エヴァンの魔法だ。
エヴァンの様子が気になって顔を出す。
魔法で氷を作ってる。
へぇ…。器用だ。
あ、氷って事は…。
頬が赤い。
サムエルは動体視力もいいから、エヴァンと確認して殴ってる。オレが出る事も考えただろうから…。あの瘴気の動きだ。エヴァンの浄化を疑ったんだと思う。しかも昨晩のは変化が大きかったから、オレに何かあったと思ったんだ。
以前に時々瘴気が波のように城に打ち寄せて去っていくって言ってた彼だから、察するところがあったんだろう。
ここは高台だから。瘴気は自ずと薄い。
多分、オレの部屋を確認した後、こっちに来たんだ。確信は、扉が開かれてすぐに分かったと思う。
ああ、後で話すんだよな…。恥ずかしいなぁ…。友達に話せる内容かな…。サムエルとの間柄だし…。そうだ、訊かれた事だけ答えよう。
「エヴァン、痛むよね…」
「大丈夫だ。彼も手加減してくれたようだ」
オレが酷い事されたかどうかを確認してからって思ってくれてた?
サムエルにオレの気持ちバレてたんだろうか…。
氷を包んだ布を当ててる。
回復魔法が使えたらなぁ…。
エヴァンがベッドに潜り込んできた。優しく抱き寄せてくれた。
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