音に浸る〜トリのウタ〜

アキノナツ

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5.目醒めの時

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随分スッキリ(⌒-⌒; )


ーーーーーーー



マスターは、元々食が細いオレに何かと食べさせようとする。

マスターの料理は美味しい。
でも、全部は入らない。

ほら、お腹がぽっこりだよ。

「マスター、お腹見てよ。これじゃ、何も出来ないじゃん」
服の上からも分かる膨れっぷりである。
オレのほっぺもぷっくり膨れてる。

笑って片付けをしてる。

お腹が重くて、ソファでゴロゴロしていた。

片付けが終わったマスターがオレを抱っこして胡座をかいて、中にすっぽり収めてしまった。
こうなると、身動きが出来ない。
でも、マスターの心音と匂いに包まれて、オレのお気に入りの体勢でもある。

「お腹きつい」
「今日はよく食べた」
髪を梳いて、頭を撫でられる。

「オレ子供じゃないんだけど」
「知ってるよ」
「エッチな事いっぱい出来るよ」
「知ってるよ」
「マスターの事好きだよ」
「知ってるよ」
もう! 怒るよ。マスター遊んでる?

「マスターとエッチな事いっぱいしたいよ」
「知ってるけど、また今度ね」
お尻に当たってるこれはどうするの?

「めちゃくちゃにして欲しいんだよ?」
意地悪く言ってみる。

「知ってるけど、泣き止んだらね」
「泣いてないよ」
「泣いてる」
また不思議な事を言う。

「これでエッチしたら、キミは泣き出すから……俺が辛い」


「もう泣いてるんだと思う。キミの中の誰かさんが大泣きだと思う」
??

「こういう目をしてる時は、泣いてるんだ。だから、抱かない。抱き締めてる。こうすると、キミは柔らかく微笑むの知ってた?」
???

分かんない!

「何言ってるの?」
イライラする。
「俺が思ってるようにしていい?」
「いいけど……。お腹重くて何も出来ないし」
マスターが笑った。マスターは眉間に皺寄せて、辛そうな顔してるより、笑ってる方がいい。

抱っこ続行。ゆらゆらり…。眠くなる。

マスターが笑ってる。
胸に擦り寄る。
安心して、眠くなってきた。


◇◇◇


また夢か。

夢だとハッキリ分かる夢。

チェロを弾いてる子供がいる。
ああ、オレだ。

何も知らない。知る事になるオレ。

チェロも小さいな。
この頃の相棒だな。

生涯の相棒はいい音を出してくれるよ。

もうすぐ出会えるから頑張って。

振り返ると、オレがいた。
でも、まだフルサイズのチェロじゃない。

小さなオレの方を見返せば、居なくなってた。

視線を戻せば、目の前のオレは泣きながら、弓を動かしてる。
おい、ちゃんと弾けよ。
泣くな…。チェロを弾くんだ。

そうじゃない。
そこは、もう少し優しく。
そこは、気持ちを乗せて。
そこは、緊張感を引き絞るように。
ーーーそう。出来る。大丈夫。

オレは、頑張ってる。

オレは、汚い。
オレは、チェロを弾いていい人間じゃない。
オレは、オレは、……自分がキライ。

気づけば、オレは、ポツンと立っていた。
手が頬を触る。濡れた指を見る。
頬が濡れてた。
泣いてる。
相棒が居ない。
オレから逃げてったんだ。

もう弾けないのか……。

蹲ってた。

随分、こうしてたと思う。
『大丈夫、大丈夫…』
呪文が聞こえる。
ーーーマスターの声。

顔を上げると、チェロケースがあった。
オレの。

飛びついて開けると、いつもの相棒が居た。

震える手を暫く握って、ゆっくり開く。

恭しく取り出し、椅子に腰掛け、弓を構える。

ソナタ…
マスターと出会った時に弾いた曲。

マスターに会いたい。
甘やかせてくれる彼。
汚いオレを知ってて、包んでくれる。
どんなオレでも包んで、認めてくれる。

マスターが好きって言ってくれるなら、オレはオレを好きにならないと、マスターに悪い。
笑っていよう、心から。

背中が温かい。
この温もりは、マスターだね。
ーーーー大好きだよ。
幾度も叫ぶように繰り返す。

力任せに荒々しく弾いてた旋律が、重厚感を持って染み渡る旋律に変わっていく。

オレの音が変わっていく。

マスターの音がする。
声が響く。振動が鼓膜を震わせる。


◇◇◇


「マスター、大好き」
目覚めたら、マスターが覗き込んでいた。
夢の中で叫んでたから、すんなり言葉になる。
「知ってる」
声が掠れてる。
「マスター、泣きそう?」
不思議なマスター。

「おかえり」
ニッカリ笑った。

唇が触れる。
マスターはキスが好きだ。オレもだけど。

チュッチュ、クチュ、クチュッ……

いつまでもしていたいキス。



ーーーーーーーーー

こういう不思議空間好きなんですが、上手く書けたかな。少しずつマシになっていってるといいな。
読みにくくてすみませんm(_ _)m
精進します。

イチャイチャは、この後で( ̄▽ ̄;)
とりあえず、完結です。
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