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【本編】〇〇までのカウントダウン

9・向き合うまでのカウントダウン (※)

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ネットを彷徨い、迷子になった。

帰宅して、すぐにパソコンを立ち上げて、調べ物。
エッチなどっち界隈の動画などを漁る。

あー…。
オレ、タケシが好きなんだけど、できる気がしない。

こんな、アソコにアレが入ってます。
入ってるんだから、入るだろうけど、入っちゃうんだろうけど、オレのココに?!

実はシコった事はある。あの手で触られたらなんて、自分の手とアイツの手を重ねて、シコっちゃいました!

あの大きな手、長い指、綺麗に整えられた爪、節の太さが男を主張してて…エロ…。

ココを広げる?
開発ってのをしていけば入るんだろうな…。

初めはオモチャ入れるんだ…。

画面を突く。
でも、コレってさ……。

ケツに黒い円錐状のコロンとしたのツッコんで、ぷくぷく出し入れしたりしてる。
入るんだ…。

連なった玉をアウアウ言いながら、入れて、出してる……。
オレの穴…あんなの入るんだろうか?

絡んでる映像を観て、タケシに重ねてみても、なんかピンと来ない。

アレがヌチヌチと出入りしてる。

このアングル、女と同じだけど、組み敷かれてる人の股間にブツがありまして、しっかり勃ってる。

そもそも、画面のお兄さんたち気持ち良さそうな顔してるんだよなぁ。
気持ちいいのかなぁ。
そっと布越しにお尻の割れ目を触る。

ーーーーーやれる気がしない。

前はムックリしてきてる。
性的なのはOKって事は確かなんだけど。だって、嫌悪感ないもん。

パソコンを閉じる。
ベッドにひっくり返って、ぬいぐるみを抱き寄せた。
オレの半分はある大きさのソレを抱き枕のように抱えて、腰を揺らす。

画面のお兄さんたちの顔を思い出す。
ツキンと前が兆して来て、腹の奥が……タケシが一緒だったら、一つに成れたら、……たら……気持ちいいかも。
タケシだって、きっと気持ち良くなれるはず……。

オレの中にタケシが…。
腕の中のぬいぐるみを抱きしめる。
タケシに、こんな風に、抱きつきたい。
ぎゅっとされたい。



振動音で目が覚めた。
机の上でスマホがうるさく振動してる。
寝てしまってた。
涎が…。
じゅるっと拭う。

スマホに手を伸ばして、届かない事に、諦めて、起き上がり近づく。表示に一気に目が覚める。

「ぁ…」
出たはいいけど、先が続かない。
「約束」
タケシの声。めっちゃ低い。

「用事ができて……ごめん」
ちょっとウソ。調べたくって、落ち着かなくって。学校で、スマホで調べるにはハードルが高くて。だって、誰に覗かれてるか分かんねぇじゃん。
音が出た日には、死ねる。

時計を見ると……、帰り道だろうか。

ベッドに上がって、ぬいぐるみを抱える。
落ち着く。

「帰り?」
「うん。どうしてるかと思って」
ちょっと声が和らいだ。
怒ってる訳じゃなかったのかな?

「家にいる」
「そっか」
いつもの短い言葉。電話越しでもやっぱりいい声。

「約束、破って、悪かった。ーーーーでも、オレたちって放課後、忙しいじゃん。考え直さない?」
昼休みに勢いで交わした約束だった。見直しは必要。

「そうだな……今から出てこれる?」
「電話じゃぁ、無理?」
今のオレにタケシを真っ直ぐ見れる自信がない。

「会いたいって言っても?」
胸がきゅっと苦しくなる。
オレも会いたいっ。でも…。

「駅前のファミレスで待ってる」
学校の最寄りの駅のファミレス…。
「…分かった。すぐ行く」

外で友達と食べてくると告げて家を出た。


「お待たせ」
気まずい感じで合流した。
課題をしてたのかノートとかを片付けてる。
「何する?」
片付けながら訊いてきた。
「え…」
「ん?」
「ああ、そうだね」
慌ててメニューを掴んだ。
オレの頭、ピンク過ぎ!
最後のページまで来て戻る。
一向に決まらない。
やっぱり会うべきじゃなかった。今のオレ変すぎる。

「俺と同じにするか?」
「んー、カレー」
タケシの言葉も聞こえてなかったようだ。
「あ、そう」
その言葉にハッとした。

顔を上げた先にじっと見るタケシの目と合った。
暫く目が離せなくて、メニューを持ったまま見つめてしまった。
手が差し出されて、また、ハッとして渡す。

もぉおおおおおお! オレ! ちゃんとして!

「俺もカレーにしようかな」
コホンと咳。水を含んでる。
ポケットに手を突っ込んで、指が泳ぐ。
会うのに持って来てなかった。いつも忘れた事がなかったのに。

ぼんやり、タケシの手を見てた。
いつも見てる手。オレが好きなタケシの手。

「トオル?」
魅惑のボイスがオレを呼ぶ。
「ちゃんと見て?」
「え…」
あ…、オレ、タケシを見てなかった?
顔を上げて、目を見る。
「どうした?」

目が泳いだ。
呼び出しのベルを押した。
逃げました。
お姉さんがすぐに来てくれた。
ほっとしながら、注文を通す。

「ちゃんと話そ?」
お姉さんが行ったあと、いそいそとメニューを片付ける手を掴まれた。

「う、うん」
観念しました。



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