私たちだけ24時間オンライン生産生活

滝川 海老郎

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1. 医療実験

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 私こと大野おおの真美まみ、18歳は女子高をこの春、無事卒業した。行きたい大学に合格できなかったため、予備校生をしている。
 私はネットで見かけた、2か月間24時間連続VRダイブ医療実験の被験者に友達と応募し、それに当選した。

 VR技術は実用化寸前の段階まで進み、関連医療機器などの開発も急ピッチで進んでいる。
 募集要項は、18歳以上の健康な方で親しい3人ひとグループ単位。家族の同意が得られる方。免責事項の書類に同意できる方のみ。
 ちょうど夏休みの2か月間の時期と重なり問題なかった。
 このゲーム内時間は加速世界が採用されていて6倍のスピードで時間が進むため、実質2×6で1年間行われることになる。
 体感期間が長いこともあり、高額の謝礼金も出る。

 ゲームの名前は「Wonderland Virtual Reality Online」通称WVROである。
 剣と魔法の少し不思議なVR世界だ。
 オープンベータ終了後はそのまま本サービスに移行する。
 本サービスは月額課金制を予定しており、ゲーム内ではアイテム課金はないので、課金者が有利になるわけでは無い。
 クローズドテストまでは、守秘義務が課せられているためか、プレスリリース以上の情報はほぼ公開されていなかった。

 WVROが開始される3日前、私たちは、秋立総合大学病院に集まった。

「やっはろー、真美」
「はろはろ、みくる」

「おはようございます。真美さん」
「おはよう、さくらちゃん」

 それでは、これから1年間一緒に冒険する仲間を紹介しよう。
 三人は同じ高校出身だ。
 まず私。身長148cm。体重は軽いほう。なぜか胸だけ大きくなりそこそこある。
 黒髪で肩までのストレートヘアをしている。
 顔は友人曰く、ロリ系で頬っぺたが膨らんでいて可愛いらしい。
 運動は苦手。得意なのは数学と読書と図工。小学校の図工では、よく作品がクラス内の賞を取り、2回市の公民館に展示されたこともある。

 次は安達みくる。18歳。身長155cm。体重は軽いほう。
 胸は、残念ながらぺったんこだ。いや、膨らみかけだ。
 顔は普通。どちらかというと、すっきり顔の美人系かな。
 運動はできる方だが、勉強はあまり得意ではないようだ。

 次は春巻桜。18歳。身長は160cm。体重はたぶん見た感じ軽め。
 スタイルはかなり良い。髪形はロングですべすべ、さらさらしている。うらやましい。
 勉強は何でもできて、運動は普通だ。絵がすごくうまい。写実的なのもアニメ調もできる。
 あまりしゃべらないタイプだけど、話すとですます調でお嬢様キャラが似合っている。

 三人とも集合時間には間に合って、説明室へと案内される。
 しばらくすると、イケメンの眼鏡をかけたお医者さんが入ってくる。

「今日からよろしくお願いします。私は、この実験の責任者の丸木まるきです」
「「「よろしくおねがいします」」」

 加速世界への長時間のダイブは、まだ実験があまり進んでいない。
 理由は簡単で、長時間過ごすだけのコンテンツが読書ぐらいしかVR世界にまだなかったからだ。
 そこでちょうどサービスが開始されるWVROで過ごす実験が提案された。
 私たちは、毎週または何か問題が発生した時にレポートを提出すれば、あとは自由にゲームを進めていいと言う。
 後たまに、ゲーム内で丸木さんが問診をするそうだ。
 なお、普通の人たちは現実時間で1日8時間のログイン制限が課されている。

 丸木さんに案内されて、私たちは5階にある部屋に案内された。
 そこには、最新のVRヘッドギア連携の寝たきり介護用ベッドが置かれていた。
 ギアには筋力低下を抑えるための機能が備わっている。

 今日はVRヘッドギアのセットアップと、体に異変が出ないかの事前チェックだった。

 私たちは、入院着に着替えた。そして、VRヘッドギアを付けてベッドに寝た。
 脳波測定、身体チェックが行われ、VR空間に降り立つ。
 そこは、簡単な部屋になっていて、姿見、コタツ机、ベッドがあった。

「私そっくり」

 私は思わずつぶやいた。ゆったりしたルームウェアを着た私と瓜二つのアバターが鏡の前に立っていた。
 視界の隅には「メインメニュー」なるものがホログラムで浮かんでいる。
 ここはまだWVROのゲーム内ではなく、VRヘッドギアのプライベート空間だった。
 私たちは、半日かけて専用のミニゲームをして6倍の加速世界をひとまず体験した。
 ジャングルジムにロッククライミング、パラグライダー、テニスなどだ。
 現実で体験すると危険な遊びも、ゲーム内なら安全だ。

 健康診断や様々な事前検査が行われ、あっというまに準備の2日間が過ぎた。
 明日から、いよいよ長い長いVRゲーム生活が始まる。

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