私たちだけ24時間オンライン生産生活

滝川 海老郎

文字の大きさ
35 / 65

35. ブドウ狩り

しおりを挟む
 13日目。今日のお昼にリアルでは丁度48時間が経過する。
 美味しい朝ご飯、パンとウサギ肉を沢山使ったシチューだった。
 しばらくこの宿でもいいわ。

 朝から暇なので、付近を3人で散歩をする。
 塀の内側なのに小さなブドウ畑があった。

 その入り口におばあさんが椅子に座って畑を眺めている。

「おばあさん、おはようございます。おばあさん家(ち)のブドウ畑ですか?」

「そうだよ。前回まではおじいさんと2人で収穫していたんだけど、そろそろきつくてね。今回からは諦めるよ」

「私はミケといいます。私たちで良ければ、収穫のお手伝いをしましょうか?」
「ほんとうかい。それは助かるね」

 サクラちゃんとクルミも名乗って同意してくれる。
 おばあさんは「フラン」という。

 おばあさんの家に帰って、収穫用ハサミを取ってきた。

 ブドウ畑は日本式の棚になって天井になる方式じゃなくて、ヨーロッパ風の地上にブドウの木が直接生えてるタイプだ。
 地球というか現実ではブドウを収穫用のカゴを持ってそれをいっぱいにする。
 私たちはストレージ、別名アイテムボックス、インベントリ、魔法のかばんを使うことで、カゴなしでも収穫できる。

 おばあさんは、ブドウの収穫をデモしてくれて、私たちがまねしてみる。
 採取スキル補正はかかっているんだろうか。良く分からない。

 とりあえず、収穫時期になっている房を選んで次々と収穫していく。

「本当。助かるね。若い人たちはパワーがあっていいね」

 狭い畑とか思って、すみませんでした!

 3人で取っても、かなりの重労働だと思う。
 まだ半分しか終わっていなかった。

「どれ。少し休憩にしよう」

 おばあさんは途中で居なくなっていて、戻ってきて休憩を告げた。

 私たちの分も含めて、サンドイッチをくれた。
 それは、ブドウジャムのサンドイッチで、フルーティでとても美味しかった。

「このジャムは、自家製ですか?」

「もちろんさね。ここではほとんどのブドウはこうやってジャムかジュースにするさね」

 この町にはワイン工場がないので、ワインにはしないそうだ。
 ブドウジュースもいただいた。

 ちょっと確認してみたところ。スキル「園芸:Lv1」が付いていた。
 なるほど、これは「採取」ではなく園芸扱いか。
 ゲームによっては、農業、栽培、などと呼ばれるスキルだ。

 結局、朝から夕方までずっと働かされた。
 日も沈みかけたころ、システムメッセージが流れた。

『南西の森のエリアボス「オオオオカミ」が討伐されました。ゲーム内時間で2週間、夜の森のオオカミが群れなくなります。』

 ボスは複数いた。
 このゲームでは村が東西南北にある。そして森は北東と南西に広がっている。
 ボスは両方の森に生息していて、それぞれの森を支配している。
 もう一方の森もようやく4日遅れで退治されて、夜の森を平和にするだろう。

 3人でなんとか畑全体を収穫し終えた。

 ものすごい疲労感がある。うそです。ゲームなのでそこまで疲労はなかった。
 達成感はあった。

「みんな、よくやってくれたわ」

 おばあさんに大変感謝されて、私たちは夕食をご馳走になった。
 夕食はパンと野菜たっぷりのスープ、またウサギ肉の串焼きだった。

 それから、おばあさんは「しばらく家に泊まっていきなさい」と命令口調で言い、おじいさんも「そうだそうだ」といい、断り切れず、ご厄介になった。

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

最安もふもふ三匹に名前をつける変な冒険者ですが、この子たちの力を引き出せるのは私だけです ~精霊偏愛録~

Lihito
ファンタジー
精霊に名前をつける冒険者は、たぶん私だけだ。 うさぎのノル、狐のルゥ、モモンガのピノ。三匹とも最安の契約で、手のひらに乗るサイズ。周りからは「手乗り精霊で何ができる」と笑われている。 でも、この子たちへの聞き方を変えるだけで、返ってくる答えはまるで違う。三匹の情報を重ねれば、上位の精霊一体では見えないものが見える。 上位パーティが三度失敗した大型討伐。私は戦わない。ノルに地中を、ピノに上空を、ルゥに地上を調べさせて、答えを組み上げる。 ——この世界の精霊の使い方、みんな間違ってませんか?

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

拾われ子のスイ

蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】 記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。 幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。 老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。 ――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。 スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。 出会いと別れを繰り返し、生命を懸けて鬩ぎ合い、幾度も涙を流す旅路の中で自分の在り方を探す。 清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。 これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。 ※基本週2回(木・日)更新。 ※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。 ※カクヨム様にて先行公開中(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載) ※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。 ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

処理中です...