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入学式
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慣れない中学校のステージの上で、代表の同級生が挨拶をしていた。入学式が行われている体育館にはわずか100人程度しかいない。
長野県安曇野市のはずれに位置するこの学校は、山と川に囲まれた、いわゆるど田舎にあった。
ここに住んでいる子供は皆、保育園から中学校まで、クラスのメンバーが変わることなく、10年間、学校生活を送る。この学校ではお互いが、年齢性別問わず幼馴染状態なのである。
新入生代表挨拶は、そんな学校とは不釣あいにかしこまっていて、思わず笑ってしまった。
慣れない学校で慌ただしく過ごしているうちに、気がつけばもう5月半ばだった。
小学生の頃、部活というものに漠然と憧れを抱いていた。にも関わらず、一番居心地が良さそう。という、今思えば、なんともゆるい選び方をしてバスケ部に入部した。
そんな選び方をしたから、大きな大会が終わって先輩が引退してからは、全身の神経をピリピリさせていた数ヶ月が嘘のような、力の抜けた放課後を過ごしていた。
それはまるで、何かを支えていた一本の柱がグニョリと曲がって、支えていた物ごと溶け崩れていくような感覚だった。
どちらかといえばいいことではないのだろうが、不思議と心地よい感覚だった。
きっと、道からちょっとつま先を出してみるくらいの悪事を働いたらこんな気分なんだろう。
長野県安曇野市のはずれに位置するこの学校は、山と川に囲まれた、いわゆるど田舎にあった。
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新入生代表挨拶は、そんな学校とは不釣あいにかしこまっていて、思わず笑ってしまった。
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