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episode.28
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「な、なんでお前が……」
「おやまあ、客に向かってその聞き方はよろしゅうないな」
「………………………」
クスクス笑うパウルを牽制するかのようにアルベールは鋭い目で睨みつけた。
どうやらアルベールにはパウルの事は耳に入っていなかったらしい。
「……そういえばレリスが何か言っていたような気がするが……」
「総監様、忙しくても人の話はちゃんと聞いてください」
「う、うむ……今後気を付ける」
シルヴィに指摘され若干居心地悪そうに頭を掻いた。
頭の良いアルベールならば、話を聞いただけですぐに商人がパウルだと気づいたはずだ。
そこで気づいていたら何か対策を練ってくれたはずなのに、まさかの情報漏れ……
正直、上に立つ人間としてあるまじき行為だが、今はそんな事を追求している時ではない。
まずは、目の前の厄介ごとをどうにかすべきなのだが、言い争う声が聞こえ興味に駆られた者達が集まり始めた。
「……部外者は宿舎には入れん」
「僕はシルヴィの婚約者よ?当然の権利を持って言っとるんや」
「「!?!?!?!?!?!」」
その場にいる人らが何か言いたげだが、驚きで言葉にできない様子で口をパクパクさせシルヴィとパウルを交互に見ている。
「婚約者じゃありません!!」
「そうだ。シルヴィは私と恋仲だと言っただろ」
「「はああああああああ!!!!????」」
シルヴィの肩を抱きながら当然のように言い切ったアルベールに、周りの悲鳴に近い叫びが城中に響き渡った。
この緊急事態にシルヴィは頭を抱えることしかできない。
(この後の説明が……)
十中八九尋問される。ぶっちゃけ、そっちの方が面倒臭い!!
「え?どういうこと?」
「俺、夢見てんのかな?」
「あれ?でも、この間フラれて……」
「言うな!!黙って聞いてろ!!」
案の定、一瞬で騒然とする現場。
その状況を見てパウルが勝ち誇った表情をした。
「おんや?おかしいなあ。シルヴィの両親に挨拶行くほど親密の関係やのに職場には内緒にしてるん?」
その言葉に真っ先に反応したのはレリス。
「はあ!?なにそれ!?」
噴気しながら叫んでいたが、すぐに周りの者に口を手で覆われていた。
それも「今いいとこだから黙れ」という理由で止めに入ったらしい。
周りの者は目を輝かせ、今繰り広げられている修羅場をそれはそれは楽しんでいるようだった。
まあ、娯楽のない軍医では他人の色恋沙汰なんて蜜の味でしかない。
「私は見世物じゃない!!」と声を大にして叫びたいのだが、そんな雰囲気でもないので心を無にして黙るに呈した。
「黙っている訳ではない。わざわざ公表するまでもないと思ったまでだ。我々のことなど誰も興味持たんだろ?」
その言葉に全員が思った。
「無茶苦茶興味あります!!むしろ興味しかない!!」と
「ふ~ん。まあ、どうでもええけど。シルヴィは渡さんよ?」
「だから──!!」
「僕はシルヴィのお父上から承諾を貰っとる。その上でシルヴィを頼まれたんや。……自分は貰ったんか?」
目を細め睨みつけるようにして威圧した。
アルベールは言葉が見つからないようで黙っている。
周りでは必死にアルベールを応援するように腕を振り上げたり、口で合図を送ったり忙しない。
そもそもパウルに口で勝てるとは思っていない。
(ここまでか……)
年貢の納め時か。と諦めの表情を浮かべたシルヴィだったが、アルベールはシルヴィを背に庇ったまま動かないでいる。
「さあ、いい加減シルヴィをこっちに渡し」
「……断る」
「ほんまに意固地やねえ。あんさんにはシルヴィを庇う権利すらないんよ?」
「……言い訳に聞こえるだろうが、私はここの管理者をしている手前、中々持ち場を離れる事が出来ない。……ご両親には経緯を話すために書簡を送ってある」
総監であるアルベールが忙しいのはこの場にいる全員が知っている。
つい先日までは新薬の申請の為に寝る間も惜しんでいた程だ。
そんなアルベールはチラッと不安そうな顔をしているシルヴィを見ると、安心しろと言うように微笑んだ。
「私は、シルヴィと結婚を前提に付き合っているつもりだ。昨日今日出会った者に渡せるほど軽い想いはしていない。例え婚約者と言う者が現れてもだ」
真剣な表情で言うアルベールを称賛するかのように拍手が湧き上がった。
中には泣きながら手を打っている者もいる。
当のシルヴィは口元を手で覆い、顔を真っ赤にして立ち竦んでいた。
アルベールの言葉は嘘。全ては演技だと頭の中では分かっているが、心臓が今までにないほど高鳴り呼吸するのすらしんどい。
(私を殺す気ですかぁぁぁ!?)
気を抜いたら倒れてしまいそうで、頑張って足を踏ん張っている。
「あんた……」
パウルが口を開いた時「はいはいはい!!そこまでだよ」とグレッグが間に入ってくれた。
「中々面白いものが見れたけど、ここが軍医施設だと言うことを忘れてもらっちゃ困るよね?」
顔は笑っているのに目が一切笑っていない状態のグレッグに睨まれアルベールはたじろいだ。
「貴方は商人の方ですね。確か来るのは明日のはずでは?」
「ああ、僕のシルヴィに会いとうなってな」
「……そういうのは他でお願いします。急にこられても困ります。商人の方ならご存知のはずですが?」
「おっと……」
グレッグに最もな事を言われ、パウルもタジタジで苦笑いを浮かべている。
(すっご……)
ここでの裏の権力者はもしやグレッグかもしれない。そう思うほど見事なものだった。
「さあ、皆さんも仕事に戻りなさい!!」
グレッグの一言で、蜘蛛の子を散らすよう持ち場に戻って行った。
パウルもグレッグに負かされ「この人は敵わんわ」と言い残し、医局を出て行った。
残されたシルヴィとアルベールは
「さて、詳しく聞きましょうか?」
グレッグの取り調べが待ってました。
「おやまあ、客に向かってその聞き方はよろしゅうないな」
「………………………」
クスクス笑うパウルを牽制するかのようにアルベールは鋭い目で睨みつけた。
どうやらアルベールにはパウルの事は耳に入っていなかったらしい。
「……そういえばレリスが何か言っていたような気がするが……」
「総監様、忙しくても人の話はちゃんと聞いてください」
「う、うむ……今後気を付ける」
シルヴィに指摘され若干居心地悪そうに頭を掻いた。
頭の良いアルベールならば、話を聞いただけですぐに商人がパウルだと気づいたはずだ。
そこで気づいていたら何か対策を練ってくれたはずなのに、まさかの情報漏れ……
正直、上に立つ人間としてあるまじき行為だが、今はそんな事を追求している時ではない。
まずは、目の前の厄介ごとをどうにかすべきなのだが、言い争う声が聞こえ興味に駆られた者達が集まり始めた。
「……部外者は宿舎には入れん」
「僕はシルヴィの婚約者よ?当然の権利を持って言っとるんや」
「「!?!?!?!?!?!」」
その場にいる人らが何か言いたげだが、驚きで言葉にできない様子で口をパクパクさせシルヴィとパウルを交互に見ている。
「婚約者じゃありません!!」
「そうだ。シルヴィは私と恋仲だと言っただろ」
「「はああああああああ!!!!????」」
シルヴィの肩を抱きながら当然のように言い切ったアルベールに、周りの悲鳴に近い叫びが城中に響き渡った。
この緊急事態にシルヴィは頭を抱えることしかできない。
(この後の説明が……)
十中八九尋問される。ぶっちゃけ、そっちの方が面倒臭い!!
「え?どういうこと?」
「俺、夢見てんのかな?」
「あれ?でも、この間フラれて……」
「言うな!!黙って聞いてろ!!」
案の定、一瞬で騒然とする現場。
その状況を見てパウルが勝ち誇った表情をした。
「おんや?おかしいなあ。シルヴィの両親に挨拶行くほど親密の関係やのに職場には内緒にしてるん?」
その言葉に真っ先に反応したのはレリス。
「はあ!?なにそれ!?」
噴気しながら叫んでいたが、すぐに周りの者に口を手で覆われていた。
それも「今いいとこだから黙れ」という理由で止めに入ったらしい。
周りの者は目を輝かせ、今繰り広げられている修羅場をそれはそれは楽しんでいるようだった。
まあ、娯楽のない軍医では他人の色恋沙汰なんて蜜の味でしかない。
「私は見世物じゃない!!」と声を大にして叫びたいのだが、そんな雰囲気でもないので心を無にして黙るに呈した。
「黙っている訳ではない。わざわざ公表するまでもないと思ったまでだ。我々のことなど誰も興味持たんだろ?」
その言葉に全員が思った。
「無茶苦茶興味あります!!むしろ興味しかない!!」と
「ふ~ん。まあ、どうでもええけど。シルヴィは渡さんよ?」
「だから──!!」
「僕はシルヴィのお父上から承諾を貰っとる。その上でシルヴィを頼まれたんや。……自分は貰ったんか?」
目を細め睨みつけるようにして威圧した。
アルベールは言葉が見つからないようで黙っている。
周りでは必死にアルベールを応援するように腕を振り上げたり、口で合図を送ったり忙しない。
そもそもパウルに口で勝てるとは思っていない。
(ここまでか……)
年貢の納め時か。と諦めの表情を浮かべたシルヴィだったが、アルベールはシルヴィを背に庇ったまま動かないでいる。
「さあ、いい加減シルヴィをこっちに渡し」
「……断る」
「ほんまに意固地やねえ。あんさんにはシルヴィを庇う権利すらないんよ?」
「……言い訳に聞こえるだろうが、私はここの管理者をしている手前、中々持ち場を離れる事が出来ない。……ご両親には経緯を話すために書簡を送ってある」
総監であるアルベールが忙しいのはこの場にいる全員が知っている。
つい先日までは新薬の申請の為に寝る間も惜しんでいた程だ。
そんなアルベールはチラッと不安そうな顔をしているシルヴィを見ると、安心しろと言うように微笑んだ。
「私は、シルヴィと結婚を前提に付き合っているつもりだ。昨日今日出会った者に渡せるほど軽い想いはしていない。例え婚約者と言う者が現れてもだ」
真剣な表情で言うアルベールを称賛するかのように拍手が湧き上がった。
中には泣きながら手を打っている者もいる。
当のシルヴィは口元を手で覆い、顔を真っ赤にして立ち竦んでいた。
アルベールの言葉は嘘。全ては演技だと頭の中では分かっているが、心臓が今までにないほど高鳴り呼吸するのすらしんどい。
(私を殺す気ですかぁぁぁ!?)
気を抜いたら倒れてしまいそうで、頑張って足を踏ん張っている。
「あんた……」
パウルが口を開いた時「はいはいはい!!そこまでだよ」とグレッグが間に入ってくれた。
「中々面白いものが見れたけど、ここが軍医施設だと言うことを忘れてもらっちゃ困るよね?」
顔は笑っているのに目が一切笑っていない状態のグレッグに睨まれアルベールはたじろいだ。
「貴方は商人の方ですね。確か来るのは明日のはずでは?」
「ああ、僕のシルヴィに会いとうなってな」
「……そういうのは他でお願いします。急にこられても困ります。商人の方ならご存知のはずですが?」
「おっと……」
グレッグに最もな事を言われ、パウルもタジタジで苦笑いを浮かべている。
(すっご……)
ここでの裏の権力者はもしやグレッグかもしれない。そう思うほど見事なものだった。
「さあ、皆さんも仕事に戻りなさい!!」
グレッグの一言で、蜘蛛の子を散らすよう持ち場に戻って行った。
パウルもグレッグに負かされ「この人は敵わんわ」と言い残し、医局を出て行った。
残されたシルヴィとアルベールは
「さて、詳しく聞きましょうか?」
グレッグの取り調べが待ってました。
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