指南役とお妃教育

甘寧

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閨指導?

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 グィードに何度訴えても「自分で答えを見つけなさい」と切り捨てられ、不憫に思ったキーカが教えてくれた。

 妃には教育も必要だが、何よりも大事になるのが妃になる器。

「陛下がとしたのは、妃になれば周りのからの期待や重圧もありますけど、それ以上に妬みや風刺もありますから、それに耐えられる器であるかどうか……それも試されていると言うことです」

 キーカの言葉に黙って頷く私を見たグィードは、本気で気付いていなかったと知り、呆れを通り越して憐れみの表情を浮かべていた。

 まあ、現時点でカルラはその器も持っているのでは?説が浮上するが、ってのが気になるから黙っている事にした。

「あと、これは噂なんですけど……」

 言いづらそうにしながら、確かめるようにこちらを見つめてくる。

「えっと……気を悪くされませんか?」
「大丈夫ですよ。教えてください」

 そこまで言われたら、逆に気になって具合が悪くなる。

「……殿下との身体の相性も試すと……」
「へぇ?身体の相性………──ん゛ッ!?」

 思わず変な声が漏れた。

 キーカは自分で言っておいて耳まで真っ赤に染まった顔を手で覆っている。

 いや、まあ、大事だとは思いますけど。妃に選ばれなかった者は、純潔だけ奪われた挙句、殿下のお手付きと言うことで嫁の貰い手も絶望的。最悪な未来しか浮かんでこない。

「そんな話しは聞いてない」とグィードを睨みつけた。

「貴方は何を聞いていらしたんです?キーカ嬢は噂と仰ったでしょう?仮に、本当だとしても指南役として、未熟な者を殿下のお相手に充てがうことはしませんよ」
「ホントにぃ?」
「何です?殿下と寝たいんですか?」
「ねッ!?」

 疑いの目を向けると、不機嫌そうにド直球過ぎる言葉をぶつけてきた。

 この人は本当にオブラートに包むという事を知らない。これで良く宰相になってるなと思う。絶対他の国の反感を買うだろこれ……

「そ、それでは、私達はこれで……またお会いしましょう」

 私達の空気を察したキーカとルイスはそそくさと部屋を出て行ってしまった。

 シーンと静まる部屋の中。自分の部屋だと言うのに非常に居心地が悪い。チラッとグィードを見れば、黙ってこちらを睨みつけている。あまりの形相にサッと顔を逸らしてしまった。

 やばいやばいやばい!何あれ!私殺される!?なんか怒らせた!?思い当たる節が多すぎて分からない!

 額から滝のような汗が噴き出してくる。

「ロゼさん」
「はいッ!」

 名を呼ばれ、丸まっていた背筋がスッと伸びた。

「男女の仲で身体の相性は大事だと思っていますが、貴女もそう思いますか?」
「え、と……そ、そりゃぁ、一生添い遂げる相手だし?相性が良いに越したことはないと思いますけど……?」

 私は何を言わされているんだ?と思いつつ、今のグィードには逆らえない。

「もし、殿下に迫られたらどうします?」
「え!?ど、どうするって、そりゃぁ……ねぇ?」

 こちらには断る術がない。万が一にもそんな事があれば、黙って受けるしかない。……まあ、そんな事は万が一にもないとは思うが。

「そう、ですか」

 言葉を濁しながら困ったように顔を歪めて言うと、グィードの雰囲気が変わった気がした。

「では、私が迫ったら?閨の指導だと受け入れますか?」
「はぁ!?」

 こちらの返事を待たずに壁に背中を押し付け、腕を拘束された。

「ちょ、冗談は顔だけにしてよ……」

 笑顔を作りながら冗談交じりに言うが、視界に飛び込んできたのはゾッとするほど真剣な眼差しのグィードだった。

「私を殿下だと思って甘い言葉で誘ってみてください」

 耳元で囁かれて、全身が沸騰したように熱くなる。グィードの息が耳や首筋にかかり、くすっぐたいようでどう反応していいのか分からない。

「ほら、どうしました?」
「──んッ」

 首筋に噛みつくようなキスをされ声が漏れた。痛くて嫌なはずなのに、身体は嫌だと言っていないようで、恥ずかしくて涙が滲んでくる。

 グィードは私に見せつけるように、拘束していた腕に舌を這わせてくる。その視線は『男』というより『雄』という感じで、自分の知っているグィードじゃなく、全く知らない人のように思えて気づいたらボロボロと涙が溢れていた。

「もう、やめてよ……」

 ヒック、ヒック……と嗚咽を洩らしながら涙するロゼを見て、正気に戻ったグィードは抱きしめようと手を伸ばした。
 だが、寸前のところで手を止め「すみません」とだけ残し、部屋を出た。


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