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「ミレーナ!!」

「兄様!!」

兄様とアレンが、騎士団を引き連れてやって来た。

──なんとか持ちこたえたか。

兄様達の姿を見たら、安堵で一気に力が抜け落ち、その場でへばってしまった。
なんとか三人共無事……ではないが、命あればそれでいい。
それよりも……。

「ロベルト様……!?……どうして……!?」

「……ソニア。お前よくも!!」

「あっ、いえ……違う……」

兄様の姿を見て、ソニアがうろたえている。
そうだろうな、王宮にいるはずの兄様がここにいるんだからな。
しかも、騎士を連れた殿下付きだ。

現場に着いた騎士達は団長の指示の下、素早く男達を捕縛していく。

──さすが、団長様。手際がいいねぇ。

サラはさっきまでの疲れは何処へやら、団長様の姿に釘付けだよ。
まったく、調子のいいことで。
そして、黒幕のソニア。終わりの時間だよ。

「なぜ……!?ロベルト様が……!?それに殿下や騎士団まで!?」

「ミレーナには、殿下の影が付いているんだ。その影がお前の行動を知って、怪しんでいた。そして、先程その影から、ミレーナの馬車が襲撃されたと連絡があったんだ」

「そ……んな……でも……!私はロベルト様の事を思って……!!」

「黙れ!ミレーナを傷つけといて、よくそんな事が言えるな!」

「違……う……違うの……聞いて……」

首を振り、涙を流しながら兄様に詰め寄るが、兄様はそんなソニアを突き飛ばした。
突き飛ばされたソニアはその場で泣き崩た。
それでもあきらめ悪く、兄様の足にしがみつく。

「……私はロベルト様を、愛しているんです!!ロベルト様の一番になりたかったのです!!」

「僕の一番はミレーナだ!これは例え妻だろうと変わらない!」

兄様の言葉を聞いて、ソニアは絶望にも似た顔をした。
しかし、すぐに私の方をキッと睨みつけた。

「やっぱり……やっぱりお前が……ミレーナ!お前がいたから!!」

飛びかかってくるもんだと思って身構えたが、団長が押さえ込んでいた。

「離せ!!私はロベルト様の妻になるのよ!!侯爵家の人間になるのよ!!無礼よ!!離しなさい!!」

いくらソニアが言ったところで、団長が離すわけはないのに。

「連れて行け!」

「イヤ……!!ロベルト様!!イヤ-----!!!」

殿下の一言で団長が、ソニアを引っ張って連れて行く。
辺りには、ソニアの悲鳴にも似た叫びが響き渡った。

──馬鹿な娘だ……

こんな事を企てずさせしなければ、幸せな結婚生活が待っていたものを。
自分でその幸せな生活を潰したのだから、自業自得だ。
いや、ただ兄様の愛情が欲しかっただけの、哀れな娘とも言えるか……。

──どちらせよ、後の祭りだよ。

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