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第20話
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えぇ~~。例のイベントから数日後の本日、平民でパン屋の看板娘である私アルエとエンバース伯爵令嬢であるリリアンに登城命令が下り城へとやって来た次第であります。
理由は分かってる、先日の国家転覆一味に加担した反逆罪。更には助けに来た騎士を追い返した公務執行妨害の事に違いない。
……これは、確実に死んだわ。
父と母に感謝の手紙でも書いてくればよかった……
「ちょっと、何て顔してんのよ?」
「リリアン……最初はとんでもない奴が来たと思ったし、ヒロインとは掛け離れた性格してるから一時はどうしようかと思ってましたけど、それなりに楽しかったです。ありがとうございました」
「ちょっと、なになに!?っ感謝してんのか貶してんのかどっち!!」
王子の執務室を前にリリアンに最期の言葉を遺しておく。
……あっ、ダメ。胃が……
いっその事、土下座で謝り通す?
いや、中にはあのいけ好かない宰相もいるから土下座するだけ無駄だな。
「さあ、行くわよ」
「……何でそんなに笑顔なんです?」
リリアンは城に来る前から頬の筋肉が緩みに緩んでいる。
……大体見当はついているけど。
「あんたそれ本気で聞いてるの!?ここには攻略対象者勢揃いなのよ!!イベント盛りだくさん!!私の為に設けられたような席なの!!」
うん。知ってた。
今日もリリアンは通常運転で私も安心した。
……でも、鼻息はもう少し抑えた方がいいと思うけどね。
「じゃ、改めまして……いざ、オ~プン!!」
リリアンが大きく扉を開けると、目の前の机に王子。その隣に宰相。そして、扉の前に団長であるダンさんが控えていた。
(あっ、もう無理かも)
色々と圧が凄い。これは、平民どうのこうの言ってる問題じゃない。
王子であるジェフリーは、王子らしい貫禄で肘を付いてこちらを見ているし、宰相であるフリッツはこちらを睨みつけている。
そして、ダンさんは手を後ろに組み微動だにしてないけど、この人が一番怖い!!圧で人を殺す人だ!!
恐怖に怯える私を他所に、リリアンは目を輝かせて今の状況をワクワクしている様だ。
……この空気の読まなさ、見習いたい。
「──リリアン嬢、それにアルエ。わざわざご苦労だった。そこに掛けてくれ」
「はぁぁい」
リリアンは手を挙げて笑顔で目の前にあるソファーに座り、王子とフリッツに熱い視線を送っている。
前言撤回!!ちょっと一瞬、この場にいるだけでいいから空気読んで!!
「……ちょっと落ち着いてください。みんなドン引いてますよ」
「バカね。あれは私の可愛さに見とれてるのよ」
私が小声で助言するも、リリアンは聞く耳持たず。
「そもそも殿下にはこっぴどく振られたんですよね?今更好感度上げるつもりですか?」
「……いいこと、アルエ。どんなゲームでも難易度が上がれば上がるほどプレヤーはやる気になるものなの。これはそういう事なのよ」
何を言ってんだこの人は……?
まあ、要するに王子の事を諦めるのを諦めたという事ですかな?
「──ゴホンッ。貴方達のお喋りが終わるのを待っていられる程、我々は暇ではないんですが?」
フリッツの冷めきった声にハッとした私とリリアン。
私達がようやく黙ったのを見て、溜息を吐いてから「では、本題に入ります」と始まった。
(来た!!死刑宣告!!)
私は俯き下を向いて、拳をギュッと握って覚悟を決めた。
「──単刀直入に言わせて頂きますと、貴方がたお二人を咎めることは致しません」
「え?」
うそ、本当に?絶対無罪ではないと思っていたんですけど……
チラッとフリッツの方を見たら、溜息を吐かれた。
「私は何度も甘すぎると助言しましたよ?軽くてもいいので何らかの刑を与えた方がいいと」
ですよね……貴方はそういう人ですもんね。
リリアンは自分を守ってくれたと思って、王子を穴が飽きそうなほど見つめている。
「……あぁ~、リリアン嬢?勘違いされては困るから先に言っておくが、君達を助けたつもりはないよ?」
「「は?」」
王子の言葉に私とリリアンの言葉がかぶった。
助けたつもりは無い?つまり……?
「これは、君達の貸しだね」
気味が悪いぐらい素敵な笑顔で言い切りやがった。
なるほど、そう来たか……
「貸し……という事は、いずれは返せと言うことですよね?」
「そうだね。何らかの形で返してもらうことにするよ」
相変わらずニコニコしている王子を見て、私の顔が引き攣った。
ヤダ、絶対碌な願いじゃないよこの人。
「──……もしかして、そう言って私の身体を弄ぶ気なの?殿下って淡白な人だと思ってたけど……そういうプレイがお好みなら喜ん──……!!」
「ちょっと黙って!!今そう言うのいらない!!マジで!!」
リリアンが変な方向にぶっ壊れたので、慌てて口を塞いだが、時すでに遅し。
王子は苦笑いを決め込んでいるが、フリッツは汚物を見るような目で見ている。ダンさんは……流石団長、無表情。
「リリアン嬢は初めて会った時から思っていたけど、面白い令嬢だね」
苦笑いをしながらだが、王子がリリアンに声をかけてくれた。
(あれ?まさかの好感触?)
リリアンなんて完璧に恋する乙女の顔になっている。
「──でも、ごめんね。私はそういうプレイは好きな子としかしないんだ」
プレイは訂正しないんかい!!と心の中で突っ込んどいた。
「え~。じゃあ、私の事じゃん。殿下のエッチ」
「ん~~~~、君のそう言うポジティブな考えは嫌いじゃないよ?」
あっ、王子が困ってる。
分かるよ。リリアンと会話するのは疲れるんだよ。
さてさて、どう切り抜けるか王子のお手並み拝見といきますか。
理由は分かってる、先日の国家転覆一味に加担した反逆罪。更には助けに来た騎士を追い返した公務執行妨害の事に違いない。
……これは、確実に死んだわ。
父と母に感謝の手紙でも書いてくればよかった……
「ちょっと、何て顔してんのよ?」
「リリアン……最初はとんでもない奴が来たと思ったし、ヒロインとは掛け離れた性格してるから一時はどうしようかと思ってましたけど、それなりに楽しかったです。ありがとうございました」
「ちょっと、なになに!?っ感謝してんのか貶してんのかどっち!!」
王子の執務室を前にリリアンに最期の言葉を遺しておく。
……あっ、ダメ。胃が……
いっその事、土下座で謝り通す?
いや、中にはあのいけ好かない宰相もいるから土下座するだけ無駄だな。
「さあ、行くわよ」
「……何でそんなに笑顔なんです?」
リリアンは城に来る前から頬の筋肉が緩みに緩んでいる。
……大体見当はついているけど。
「あんたそれ本気で聞いてるの!?ここには攻略対象者勢揃いなのよ!!イベント盛りだくさん!!私の為に設けられたような席なの!!」
うん。知ってた。
今日もリリアンは通常運転で私も安心した。
……でも、鼻息はもう少し抑えた方がいいと思うけどね。
「じゃ、改めまして……いざ、オ~プン!!」
リリアンが大きく扉を開けると、目の前の机に王子。その隣に宰相。そして、扉の前に団長であるダンさんが控えていた。
(あっ、もう無理かも)
色々と圧が凄い。これは、平民どうのこうの言ってる問題じゃない。
王子であるジェフリーは、王子らしい貫禄で肘を付いてこちらを見ているし、宰相であるフリッツはこちらを睨みつけている。
そして、ダンさんは手を後ろに組み微動だにしてないけど、この人が一番怖い!!圧で人を殺す人だ!!
恐怖に怯える私を他所に、リリアンは目を輝かせて今の状況をワクワクしている様だ。
……この空気の読まなさ、見習いたい。
「──リリアン嬢、それにアルエ。わざわざご苦労だった。そこに掛けてくれ」
「はぁぁい」
リリアンは手を挙げて笑顔で目の前にあるソファーに座り、王子とフリッツに熱い視線を送っている。
前言撤回!!ちょっと一瞬、この場にいるだけでいいから空気読んで!!
「……ちょっと落ち着いてください。みんなドン引いてますよ」
「バカね。あれは私の可愛さに見とれてるのよ」
私が小声で助言するも、リリアンは聞く耳持たず。
「そもそも殿下にはこっぴどく振られたんですよね?今更好感度上げるつもりですか?」
「……いいこと、アルエ。どんなゲームでも難易度が上がれば上がるほどプレヤーはやる気になるものなの。これはそういう事なのよ」
何を言ってんだこの人は……?
まあ、要するに王子の事を諦めるのを諦めたという事ですかな?
「──ゴホンッ。貴方達のお喋りが終わるのを待っていられる程、我々は暇ではないんですが?」
フリッツの冷めきった声にハッとした私とリリアン。
私達がようやく黙ったのを見て、溜息を吐いてから「では、本題に入ります」と始まった。
(来た!!死刑宣告!!)
私は俯き下を向いて、拳をギュッと握って覚悟を決めた。
「──単刀直入に言わせて頂きますと、貴方がたお二人を咎めることは致しません」
「え?」
うそ、本当に?絶対無罪ではないと思っていたんですけど……
チラッとフリッツの方を見たら、溜息を吐かれた。
「私は何度も甘すぎると助言しましたよ?軽くてもいいので何らかの刑を与えた方がいいと」
ですよね……貴方はそういう人ですもんね。
リリアンは自分を守ってくれたと思って、王子を穴が飽きそうなほど見つめている。
「……あぁ~、リリアン嬢?勘違いされては困るから先に言っておくが、君達を助けたつもりはないよ?」
「「は?」」
王子の言葉に私とリリアンの言葉がかぶった。
助けたつもりは無い?つまり……?
「これは、君達の貸しだね」
気味が悪いぐらい素敵な笑顔で言い切りやがった。
なるほど、そう来たか……
「貸し……という事は、いずれは返せと言うことですよね?」
「そうだね。何らかの形で返してもらうことにするよ」
相変わらずニコニコしている王子を見て、私の顔が引き攣った。
ヤダ、絶対碌な願いじゃないよこの人。
「──……もしかして、そう言って私の身体を弄ぶ気なの?殿下って淡白な人だと思ってたけど……そういうプレイがお好みなら喜ん──……!!」
「ちょっと黙って!!今そう言うのいらない!!マジで!!」
リリアンが変な方向にぶっ壊れたので、慌てて口を塞いだが、時すでに遅し。
王子は苦笑いを決め込んでいるが、フリッツは汚物を見るような目で見ている。ダンさんは……流石団長、無表情。
「リリアン嬢は初めて会った時から思っていたけど、面白い令嬢だね」
苦笑いをしながらだが、王子がリリアンに声をかけてくれた。
(あれ?まさかの好感触?)
リリアンなんて完璧に恋する乙女の顔になっている。
「──でも、ごめんね。私はそういうプレイは好きな子としかしないんだ」
プレイは訂正しないんかい!!と心の中で突っ込んどいた。
「え~。じゃあ、私の事じゃん。殿下のエッチ」
「ん~~~~、君のそう言うポジティブな考えは嫌いじゃないよ?」
あっ、王子が困ってる。
分かるよ。リリアンと会話するのは疲れるんだよ。
さてさて、どう切り抜けるか王子のお手並み拝見といきますか。
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