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第25話
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思わずソファーから飛び上がってしまった。
ジェフリー君も空いた口が塞がらないご様子。
いや、前世の記憶のある私からすれば同性愛には寛容ですよ?
ですが、その対象が私自身ならば話が別です。
私は至ってノーマルな女なんです。
BL本は友達に勧められて何度か読んだことはある。しかし、それも数回程度で腐女子と言うには程遠い。
ジェフリー君に至っては全くもって知らない未知の世界。
「……えっと、あの、私女ですよ?」
「先程男性は興味が無いとお伝えしたばかりでしょ?」
「いえ、そういう事じゃなくて、エリーザ様は侯爵家のご令嬢なんですよ?後継問題どうするんですか?」
エリーザはヴェロニク侯爵家の一人娘。
エリーザが後継を産まなければ侯爵家が途絶えてしまう。
それに、貴族というものは子供をちょっとでもいい所に嫁がせたがる。
エリーザは一人娘だから婿を取るのかな?
貴族社会に疎い私でも、そこら辺は分かってる。
「あぁ、私の両親は私に大層甘く、私の意見を尊重して下さるの」
(いや、この問題は尊重する以前の問題だと……)
「確かに、煩い小バエが数匹いると思いますわ。でも、黙らせる自身がありますから安心してください。いざとなったら養子でもとりますわ」
クスッと微笑むエリーザは悪役令嬢そのものだった。
おいおい、リリアンさん?聞いてた話と大分違うぞ、おい。
これ、乙女ゲームだよね?百合ゲームじゃないよね?
バグ?裏ルート?んなわけないよな……
「──で、私の一世一代の告白を聞いたのですから、お返事を頂けるのよね?」
「えっ!?あ、あぁ返事ですね……」
すみません……私の恋愛対象者は男性です……
チラッとジェフリー君を見上げて助けを求めるも、目を逸らされた。
(ジェフリー!!!!)
私はダラダラと嫌な汗が湧き出してきた。
下手な答えは出来ない……どうする!?どうする私!?
…………………あっ
色んな考えを巡らせて、一つの考えが思いついた。
ここでエリーザを私の方に引き込んでおけば、鍵が私の手の内にあるのも同じになる。
(黒幕の正体が分かるかもしれない)
エリーザには悪いが、使える者は使わせていただこう。
「……分かりました」
「まあ!!!それでは──」
ジェフリー君は私の言葉に驚き、エリーザは頬を染めて大喜び。
「──まずはお友達からという事でお願いします。そもそも私とエリーザ様とでは身分が違いますし、お互いを知る為にまずは距離を近づけましょう」
そう告げると、エリーザは渋い顔をしながら何やら考えていた。
これが私の出せる最大限の妥協案だ。これ以上求められても、私は首を縦には振れない。
お友達枠ならリリアンと同等だからな。
(まあ、この事がリリアンの耳に入ったら煩いだろうが……)
「……………分かりましたわ」
しばらく考えていたエリーザだったが、ようやく結論が出たらしい。
(渋々と言った感じだな)
それでもいい。これでエリーザは私達の手の内に入った。
友達として世間話をしながら情報をつかめる。
……正直、エリーザが鍵だと言うことには半信半疑。
リリアンを信用してない訳じゃないけど……………リリアンだもんなぁ~
恋敵だと言っていたエリーザが実は同性愛者だしね。
「では、エリーザ様。これからお友達として宜しくお願いします」
「──お友達なら敬称は要らないんじゃなくて?」
「いや、確かにそうですが、身分が……」
「あら?おかしいですわね。先程貴方が仰ったじゃない?距離を近づけましょうと」
ニコニコ微笑みながら的確に私を追い詰めてきた。……うん。私の負けです。
「──……はぁ~……分かりました、エリーザ……」
「何でしょう、アルエ?」
物凄い上機嫌な様子のエリーザ様。
その姿は本当に恋する乙女のようだった。
なんで私と友達になりたがる奴は癖のある者しか寄ってこないんだ?私は癖者ホイホイか?
(普通の友達が欲しい……)
そう思いながら後ろに控えているジェフリー君を見ると、物凄い勢いで首を横に振られた。
……まだなんにも言ってないのに察しが良い奴め……
こうして、めでたく?侯爵令嬢のお友達が一人増えました。
ジェフリー君も空いた口が塞がらないご様子。
いや、前世の記憶のある私からすれば同性愛には寛容ですよ?
ですが、その対象が私自身ならば話が別です。
私は至ってノーマルな女なんです。
BL本は友達に勧められて何度か読んだことはある。しかし、それも数回程度で腐女子と言うには程遠い。
ジェフリー君に至っては全くもって知らない未知の世界。
「……えっと、あの、私女ですよ?」
「先程男性は興味が無いとお伝えしたばかりでしょ?」
「いえ、そういう事じゃなくて、エリーザ様は侯爵家のご令嬢なんですよ?後継問題どうするんですか?」
エリーザはヴェロニク侯爵家の一人娘。
エリーザが後継を産まなければ侯爵家が途絶えてしまう。
それに、貴族というものは子供をちょっとでもいい所に嫁がせたがる。
エリーザは一人娘だから婿を取るのかな?
貴族社会に疎い私でも、そこら辺は分かってる。
「あぁ、私の両親は私に大層甘く、私の意見を尊重して下さるの」
(いや、この問題は尊重する以前の問題だと……)
「確かに、煩い小バエが数匹いると思いますわ。でも、黙らせる自身がありますから安心してください。いざとなったら養子でもとりますわ」
クスッと微笑むエリーザは悪役令嬢そのものだった。
おいおい、リリアンさん?聞いてた話と大分違うぞ、おい。
これ、乙女ゲームだよね?百合ゲームじゃないよね?
バグ?裏ルート?んなわけないよな……
「──で、私の一世一代の告白を聞いたのですから、お返事を頂けるのよね?」
「えっ!?あ、あぁ返事ですね……」
すみません……私の恋愛対象者は男性です……
チラッとジェフリー君を見上げて助けを求めるも、目を逸らされた。
(ジェフリー!!!!)
私はダラダラと嫌な汗が湧き出してきた。
下手な答えは出来ない……どうする!?どうする私!?
…………………あっ
色んな考えを巡らせて、一つの考えが思いついた。
ここでエリーザを私の方に引き込んでおけば、鍵が私の手の内にあるのも同じになる。
(黒幕の正体が分かるかもしれない)
エリーザには悪いが、使える者は使わせていただこう。
「……分かりました」
「まあ!!!それでは──」
ジェフリー君は私の言葉に驚き、エリーザは頬を染めて大喜び。
「──まずはお友達からという事でお願いします。そもそも私とエリーザ様とでは身分が違いますし、お互いを知る為にまずは距離を近づけましょう」
そう告げると、エリーザは渋い顔をしながら何やら考えていた。
これが私の出せる最大限の妥協案だ。これ以上求められても、私は首を縦には振れない。
お友達枠ならリリアンと同等だからな。
(まあ、この事がリリアンの耳に入ったら煩いだろうが……)
「……………分かりましたわ」
しばらく考えていたエリーザだったが、ようやく結論が出たらしい。
(渋々と言った感じだな)
それでもいい。これでエリーザは私達の手の内に入った。
友達として世間話をしながら情報をつかめる。
……正直、エリーザが鍵だと言うことには半信半疑。
リリアンを信用してない訳じゃないけど……………リリアンだもんなぁ~
恋敵だと言っていたエリーザが実は同性愛者だしね。
「では、エリーザ様。これからお友達として宜しくお願いします」
「──お友達なら敬称は要らないんじゃなくて?」
「いや、確かにそうですが、身分が……」
「あら?おかしいですわね。先程貴方が仰ったじゃない?距離を近づけましょうと」
ニコニコ微笑みながら的確に私を追い詰めてきた。……うん。私の負けです。
「──……はぁ~……分かりました、エリーザ……」
「何でしょう、アルエ?」
物凄い上機嫌な様子のエリーザ様。
その姿は本当に恋する乙女のようだった。
なんで私と友達になりたがる奴は癖のある者しか寄ってこないんだ?私は癖者ホイホイか?
(普通の友達が欲しい……)
そう思いながら後ろに控えているジェフリー君を見ると、物凄い勢いで首を横に振られた。
……まだなんにも言ってないのに察しが良い奴め……
こうして、めでたく?侯爵令嬢のお友達が一人増えました。
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