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第24話
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「キーマンは、悪役令嬢のエリーザよ」
リリアンの口から出たのはまさかの人物だった。
「……それは確かな情報ですか?」
「何よ!?疑うの!?間違いないわよ!!私の記憶力舐めんじゃないわよ!?」
いや、貴方、黒幕誰だか忘れてますけど?
しかし、リリアンがここまで息巻いていると言うことは自信があるということ。
……という事は、エリーザが黒幕に繋がる鍵になっているという事か?
そうなると、エリーザの周りの人間を調べた方がいいのか?
それはそれで、結構骨が折れそうだけど……
エリーザはリリアンと違い友達多数いる。その中から黒幕を探すのは多分私達の力では無理だ。
パンッ!!
「──分かったかも!!」
手を叩きながらリリアンが声を上げた。
「これは、エリーザに恋してる男の仕業よ」
「は?」
「きっと、その男はエリーザが次期王妃の座を狙っているのを知っているのよ。国家転覆すれば、殿下は王子じゃなくなる。そこで男が新たな王としてエリーザを王妃にしようとしている……………どうよ?」
リリアンがドヤ顔で私に詰め寄ってきた。
若干無理矢理感があるけど、確かにそれなら筋は通る。
(色恋沙汰で国を相手にする馬鹿はいないと思うが……)
「絶対そう!!私、名探偵じゃない!?」
「迷探偵の間違いでは?」
「はぁぁぁ!?私の推理の何処が迷よ!?」
リリアンに肩を掴まれ思いっきり体を揺すられたもんだから「グエッ!!」と変な声が出た。
その声に反応したジェフリー君が慌てて部屋に飛び込んできた。
「大丈夫ですか!?………──って何してんすか?」
私とリリアンの様子を蔑んだ目で見てきたジェフリー君。
しかし、このままだと私の首がモゲると思ったのかリリアンを羽交い締めにして止めてくれた。
ジェフリー君が突入してきたので、この話はここまでとなった……
因みに、今更帰るのが面倒だと言う理由でリリアンは我が家にお泊まり決定となったのは言うまでもない。
「平民の家に泊まる令嬢なんて聞いた事ありませんよ」なんて呆れながらジェフリー君が呟いていたのが印象的だった。
◆◆◆
エリーザに疑惑がかかってから3日後。
私は本日宅配のパンを持ってある場所に向かっております。それは……
「あ゛~、着いちゃったよヴェロニク侯爵邸……」
はい。例の如くエリーザの自宅であるヴェロニク侯爵邸です。
黒幕の鍵がエリーザだと確証はないけど、少しでも可能性がある以上あまり近づきたくない場所だったのに、母には逆らえない悲しい性……
「入らないんですか?」
私が屋敷に入るのを戸惑っていると、横から声がかかった。
声をかけてきたのはジェフリー君。監視役だからと言うことで、ちゃっかり付いてきてくれた。私的には凄い嬉しい。
ジェフリー君がいるだけで多少は気が楽になる。
「……ジェフリー君、一生のお願い聞いてくれます?」
「嫌です」
「まだ何にも言ってないじゃん!!」
「どうせ、パンを置いてきてくれと言うんですよね?」
「──んぐっ!!」
蔑む目で言ってきやがったよ。
あぁそうさ!!置いてきて欲しいんだよ!!それが何か!?
「そんな目しても無理なものは無理です」
「ケチだなぁ~。そんなんじゃ女子にモテないですよ?」
「生憎とそこら辺は困った事がありません」
ふんっ。と自慢気に言われたよ。
まったく、顔がいいって得だな!!
ジェフリー君とこんな所で言い争ってても仕方ないと思い、意を決して屋敷の中へ──
するとすぐさま執事のおじいちゃんが現れ、あれよあれよと言う間に応接室に通された。
(またこのパターン……)
悪夢再びとはまさにこの事。
おじいちゃん執事には「すぐ帰るから」と伝えたが「どうかどうか」と言われるがままソファーに座らされた。
しばらくするとエリーザもやって来た。
エリーザは私の顔を見ると、優しく微笑み優雅にお茶を手にしながら「また貴方にお会いできて嬉しいですわ」なんて社交辞令的な言葉も口にしていた。
「……あの私が言うのも何ですが、平民を易々と屋敷に招き入れない方がいいですよ?……ほら、世間的に良いイメージを持たれないですし?」
「そんなもの言いたい方には言わせておげばいいのです。私にとっては大切なお客様ですもの」
私が苦言を呈すると、それがどうしたと言わんばかりに言い返された。
「いや、でも、殿下にあまりいいイメージを持たれないかと……」
「?なぜそこで殿下が出てくるんですの?」
え?だって殿下の事好きなんですよね?リリアンの恋敵ですよね?貴方とリリアンが殿下を取り合ってくれないと、この世界成立しないんですけど?
……なんて事は口が裂けても言えない。
「え、あの、ちょっと小耳に挟んだんですが、エリーザ様の想い人は殿下だと……」
「はっ?」
あれ?反応がおかしいですぞ?
「……誰がそんなでたらめを……」
んんんん!!!??違うの!?
リリアンさーーん!?どうなってんの!?
エリーザは頭を抱えて本気で困惑しているようだった。
その様子に私は察した。
「──あぁ、この人、王子好きじゃないわ」とね。
「貴方にそんな勘違いをさせておく訳には参りませんから本当の事をお伝えしますわ」
真剣な面持ちで真っ直ぐ私の目を見てきたから、思わず息を飲んだ。
一体どんな事が語られるのかと、内心興味と関心が入り混じった。
「よくお聞きになって。……私は、男性は恋愛対象外なの」
「ん?」
「私が恋愛対象にしているのは女性。そして、私が今恋焦がれている相手は…………………貴方よ。アルエさん」
「はぁぁぁぁぁぁ!?」
リリアンの口から出たのはまさかの人物だった。
「……それは確かな情報ですか?」
「何よ!?疑うの!?間違いないわよ!!私の記憶力舐めんじゃないわよ!?」
いや、貴方、黒幕誰だか忘れてますけど?
しかし、リリアンがここまで息巻いていると言うことは自信があるということ。
……という事は、エリーザが黒幕に繋がる鍵になっているという事か?
そうなると、エリーザの周りの人間を調べた方がいいのか?
それはそれで、結構骨が折れそうだけど……
エリーザはリリアンと違い友達多数いる。その中から黒幕を探すのは多分私達の力では無理だ。
パンッ!!
「──分かったかも!!」
手を叩きながらリリアンが声を上げた。
「これは、エリーザに恋してる男の仕業よ」
「は?」
「きっと、その男はエリーザが次期王妃の座を狙っているのを知っているのよ。国家転覆すれば、殿下は王子じゃなくなる。そこで男が新たな王としてエリーザを王妃にしようとしている……………どうよ?」
リリアンがドヤ顔で私に詰め寄ってきた。
若干無理矢理感があるけど、確かにそれなら筋は通る。
(色恋沙汰で国を相手にする馬鹿はいないと思うが……)
「絶対そう!!私、名探偵じゃない!?」
「迷探偵の間違いでは?」
「はぁぁぁ!?私の推理の何処が迷よ!?」
リリアンに肩を掴まれ思いっきり体を揺すられたもんだから「グエッ!!」と変な声が出た。
その声に反応したジェフリー君が慌てて部屋に飛び込んできた。
「大丈夫ですか!?………──って何してんすか?」
私とリリアンの様子を蔑んだ目で見てきたジェフリー君。
しかし、このままだと私の首がモゲると思ったのかリリアンを羽交い締めにして止めてくれた。
ジェフリー君が突入してきたので、この話はここまでとなった……
因みに、今更帰るのが面倒だと言う理由でリリアンは我が家にお泊まり決定となったのは言うまでもない。
「平民の家に泊まる令嬢なんて聞いた事ありませんよ」なんて呆れながらジェフリー君が呟いていたのが印象的だった。
◆◆◆
エリーザに疑惑がかかってから3日後。
私は本日宅配のパンを持ってある場所に向かっております。それは……
「あ゛~、着いちゃったよヴェロニク侯爵邸……」
はい。例の如くエリーザの自宅であるヴェロニク侯爵邸です。
黒幕の鍵がエリーザだと確証はないけど、少しでも可能性がある以上あまり近づきたくない場所だったのに、母には逆らえない悲しい性……
「入らないんですか?」
私が屋敷に入るのを戸惑っていると、横から声がかかった。
声をかけてきたのはジェフリー君。監視役だからと言うことで、ちゃっかり付いてきてくれた。私的には凄い嬉しい。
ジェフリー君がいるだけで多少は気が楽になる。
「……ジェフリー君、一生のお願い聞いてくれます?」
「嫌です」
「まだ何にも言ってないじゃん!!」
「どうせ、パンを置いてきてくれと言うんですよね?」
「──んぐっ!!」
蔑む目で言ってきやがったよ。
あぁそうさ!!置いてきて欲しいんだよ!!それが何か!?
「そんな目しても無理なものは無理です」
「ケチだなぁ~。そんなんじゃ女子にモテないですよ?」
「生憎とそこら辺は困った事がありません」
ふんっ。と自慢気に言われたよ。
まったく、顔がいいって得だな!!
ジェフリー君とこんな所で言い争ってても仕方ないと思い、意を決して屋敷の中へ──
するとすぐさま執事のおじいちゃんが現れ、あれよあれよと言う間に応接室に通された。
(またこのパターン……)
悪夢再びとはまさにこの事。
おじいちゃん執事には「すぐ帰るから」と伝えたが「どうかどうか」と言われるがままソファーに座らされた。
しばらくするとエリーザもやって来た。
エリーザは私の顔を見ると、優しく微笑み優雅にお茶を手にしながら「また貴方にお会いできて嬉しいですわ」なんて社交辞令的な言葉も口にしていた。
「……あの私が言うのも何ですが、平民を易々と屋敷に招き入れない方がいいですよ?……ほら、世間的に良いイメージを持たれないですし?」
「そんなもの言いたい方には言わせておげばいいのです。私にとっては大切なお客様ですもの」
私が苦言を呈すると、それがどうしたと言わんばかりに言い返された。
「いや、でも、殿下にあまりいいイメージを持たれないかと……」
「?なぜそこで殿下が出てくるんですの?」
え?だって殿下の事好きなんですよね?リリアンの恋敵ですよね?貴方とリリアンが殿下を取り合ってくれないと、この世界成立しないんですけど?
……なんて事は口が裂けても言えない。
「え、あの、ちょっと小耳に挟んだんですが、エリーザ様の想い人は殿下だと……」
「はっ?」
あれ?反応がおかしいですぞ?
「……誰がそんなでたらめを……」
んんんん!!!??違うの!?
リリアンさーーん!?どうなってんの!?
エリーザは頭を抱えて本気で困惑しているようだった。
その様子に私は察した。
「──あぁ、この人、王子好きじゃないわ」とね。
「貴方にそんな勘違いをさせておく訳には参りませんから本当の事をお伝えしますわ」
真剣な面持ちで真っ直ぐ私の目を見てきたから、思わず息を飲んだ。
一体どんな事が語られるのかと、内心興味と関心が入り混じった。
「よくお聞きになって。……私は、男性は恋愛対象外なの」
「ん?」
「私が恋愛対象にしているのは女性。そして、私が今恋焦がれている相手は…………………貴方よ。アルエさん」
「はぁぁぁぁぁぁ!?」
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