城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧

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侍女兼便利屋

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「マリーーー!!!」

ある日、『マム』で夕食を頂いていると、ナタリーさんに詰め寄られました。

「……何です?私は今食事中なので、手短にお願いします」

「あんたのせいで彼に振られちゃったじゃない!!」

ああ、あの時の方ですか?

「仕事に身が入って、ちょうど良かったじゃないですか?」

ここ最近は真面目に仕事に出てきているようですし。
まあ、あの時の事はしっかりミレーさんに報告済みですので、何らかの罰則があったのかもしれませんね。

「私の欲求はどぉするのよぉぉ!!!」

あっ、そこですか?

ナタリーさんは私の座るテーブルに突っ伏して泣き喚いています。
正直、ウザったいです。

「……あの、ナタリーさん。娼婦館に行けば──」

「嫌よ!!」

ナタリーさんには、天職だと思うのですが。

「私は、若くて将来が約束してる人とヤリたいの!!それで、上手いこと子供を作って結婚が目標なの!!娼婦館なんて、スケベジジィの集まりじゃない!!」

ナタリーさん、世の男性陣が聞いたらドン引きですよ?

「マリーのせいなんだから、誰か紹介してよ!!お城勤めでしょ!?殿下とは言わないわ。──そうね、宰相様のご子息辺りがいいわね」

結構、図々しいですね。

「……ナタリーさん、脳みそ沸いてるんですか?下町の、しかも爵位も持たない大衆食堂の従業員なんて本気で相手にされると思っているんですか?百歩譲って見た目に自信があり、身体にも自信があれば別ですけど?ナタリーさんを見る限り……」

ナタリーさんをジロジロ見ながら本当の事を言うと、みるみる顔が真っ赤になりました。

「う、うるさいわね!!分かってるわよそんな事!!」

「……そうですか。それでは現実を見て、自分の身丈にあった男性を選ぶことですね」

「なんであんたにそこまで言われなきゃいけないのよ!!!」

いや、現実から随分かけ離れた夢物語をお話になっていましたので、夢から冷ましてさしあげようと思いまして。

「あはははは!!確かにマリーの言う通りだ!!」

豪快な笑い声の主はミレーさんです。
ナタリーさんは苦虫を潰したようなお顔になっております。

「ナタリー、お前いい加減男漁りは止めな!!そのうち痛い目見るよ!!」

「私のプライベートまで干渉しないでください。私は、玉の輿に乗り損ねた母さんとは違うんです!!」

「ナタリー!!!」

バタンッ!!と大きな音を立てながら扉を閉め、ナタリーさんは店の外へと行ってしまいました。

「ごめんよマリー……。まったくあの子にも困ったもんだ」

「……前から思っていたんですが、何故ナタリーさんをクビにしないのです?正直、居ても居なくても変わりないのでは?」

そもそも、ろくに働いてないのにお給金を貰う資格がありません。

「……あの子は私の妹の子なんだよ」

なんと!!ご親族でしたか!?

「……妹はある伯爵家の当主に見初められてね。ナタリーを身篭ったんだよ。しかし、身篭った途端、当主が他の令嬢と結婚しちまった。……妹は良いように使われただけだった」

胸糞悪いですね。
その伯爵は、生殖器を潰した方がいいです。

「妹は、身篭った身体じゃろくに働けないと思って、伯爵家に援助を頼みに行ったんだが、当主は妹に会いもせずお腹の大きい妹を門前払いしたのさ」

やはり、生殖器だけじゃ足りませんね。
存在自体消し去りましょう。

「女一人の稼ぎじゃ大した生活は出来ないだろ?妹はやせ細り、いつもボサボサの髪にボロボロの服だった。そんな妹の姿を見てか、ナタリーは金持ちの男を取っかえ引っ変えしててね」

「……その妹さん、今は?」

「3年前にポックリ逝っちまった。それからナタリーの面倒を見てきてたんだが……。こんなんじゃ妹に申し訳ない……」

なるほど、玉の輿狙いには理由がありましたか。
まあ、元令嬢の私が言うのもなんですが、令嬢と言うものは窮屈で楽しいものじゃありませんよ?
夢見ているナタリーさんは聞く耳持たないと思いますが。

「……マリー、最近ナタリーの周りを彷徨いてる奴が居るんだ。調べてくれないか?」

依頼ですか。

「あんたの上司には承認済みだよ」

ミレーさん手回しが早いですね。

──ゴリさん承認済みなら仕方ありません。

「……分かりました。引き受けましょう」

「頼んだよ。──これは、サービスだ」

そう言って、テーブルに置かれたのは豆と肉の煮込みと酒瓶が一本。

……得しました。


本日のお給金サービス品……豆と肉の煮込み、酒一本

借金返済まで残り5億7千993万7100ピール

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