城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧

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墓荒らし

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「エルさんを返して頂きましょうか?」

剣を抜き、剣先をアンデッドに向けてエルさんを返すよう言います。
残ったフェンとリルも一緒に牽制してくれています。

「お嬢さん一人で私の相手ですか?──まあ、いいでしょう。気の強い女性は嫌いではありません」

クスクスと不敵な笑みを浮かべながら、エルさんをその場に置くと、一瞬で私の目の前に──

「なっ!?」

キーン!!

ギリギリのところで剣を受け止めました。
後一秒遅ければ鼻が無くなる所でした。
と言うか、この間のアンデッドといい速さが尋常じゃありません。
今も全く見えませんでした。
とても元死人だと思えぬ動きです。

「これを受け止めるとは中々ですね」

「お褒めに預かり光栄です」

間近で見ると死人特有の青白さが目立ちますが、この方、生前は大変モテてたであろう顔立ちをしています。

ザッとお互いに距離を取り、息付く間もなく再び剣を交えますが、速さも然る事ながら一振が重い。
剣を受け止めるのが精一杯です。それもいつまで持つか……

──このままではエルさんと共倒れです。それは勘弁願いたいところですね……

「私の相手をしながら考え事ですか?まだ余裕がある様ですね!!」

「──がはっ……」

剣を受け止めることに気を取られ、足が出てきたのに気付かずモロに脇腹に足が直撃し、派手に蹴り飛ばされました。

「……はあ……はあ……」

脇腹を抑えながらよろつきながら立ち上がると、既に目の前にアンデッドの姿が。

──しまっ……!!

「ぐはっ!!!」

アンデッドは躊躇なく再び私を蹴り飛ばしてきました。
流石に身の危険を感じ取り、二度目は受身をとりながら素早く立ち上がりアンデッドを睨みつけました。
ですが、足はフラフラです。

「ふふふっ、面白いですね。ここまでしてもまだ立ち上がりますか?いいですね、その顔。最高にそそります……そうだ。貴方をここで殺して主様にアンデッドにしてもらいましょう」

「は?」

「そして、私と主様が治める世界で共に生きましょう」

「名案ですね」と戯言を仰っておりますが、それより……貴方、後を気にした方がよろしいですよ?

「──マリーを殺す?それは、聞き捨てならないね」

ほらね?

アンデッドの首にクナイを突き付けているのは、エルさんです。
どうやら、ぐったりしていたのは気を失っていただけだったようですね。ようやく目が覚めたと言う所でしょう。
エルさんもそれなりの傷を負っていますが、まあ、これぐらいなら大丈夫でしょう。

「──……死に損ないが」

「あんまり隠密部隊舐めるなよ?」

いつものおちゃらけた雰囲気は何処へやら。
真剣な表情で、アンデッドを睨みつけています。
黙っていればそれなりの容姿なんですがね。

──残念な方ですね……

まあ、それでこそエルさんなんですがね。

「離しなさい!!」

アンデッドがエルさんに剣で斬りつけると「おっと」と素早く後ろに下がり、アンデッドを睨みつけます。
しばらく睨み合っていましたが、どちらとでもなく飛びかかり剣とクナイがぶつかり合う音が響きわっております。

──あの速さに追いついていけるとは……流石は隠密と言うところですか……

こうなると、下手に手を出すとかえってエルさんに迷惑を掛けてしまうと判断した私は大人しくその場に腰掛け、エルさんの勇姿を見守る事にしました。

「マリー!!」

不意に呼ばれ、驚いていると「剣貸して!!」と手を出しているエルさんの姿が。
慌てて手に持っていた剣をエルさんに投げ、受け取ったエルさんはすぐに鞘から剣を抜きすぐに斬りかかりました。

「ふふっ。賢い選択ですね。クナイこんなモノでは到底私を殺れませんからね」

クスクスと不気味に笑うアンデッド。

クナイこんなモノに手こずってる奴がよく言う」

エルさんが鼻で笑うと、アンデッドはギリッと唇を噛み締め悔しそうにしております。

「さっきは隙をつかれたけど、二度も同じミスはしない。お前、覚悟した方がいいよ?」

「戯言を……」
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